滞納・未払い・差し押さえ

国民年金の滞納をすると退職後のお金は?やっぱりもらえないの?

「年金」と聞いても、若い方は「何のために納めるお金なの?」「あまりピンと来ない…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「年金」とは、今すぐ私達の生活に使われるものではなく「私達の退職後、収入がなくなった時に年金事務所から支払われるお金である」ということが、その大きな理由かもしれませんね。

このように、退職前の方にはそれほど身近なものではない年金ですが、もしも滞納したり支払いを拒否したりするとどうなるのでしょうか?

やはり将来的にもらえる金額が少なくなったり、何ももらえなかったりということが起きるのでしょうか。

今回の記事では、年金の滞納などについて紹介していきましょう。

年金は絶対に支払わなくてはならないものなの?

そもそも年金とは、どのようなもので「支払いは必ずしなくてはいけないもの」なのでしょうか?

…年金は、正確には「国民年金」と言いますが、20歳以上60歳未満の方は絶対に加入しなくてはならず、ある特定の場合を除いては、その支払いは義務となっています。

会社勤めの方は給与から天引きされていることがほとんどであるため、「よくわからないけど支払っていた」という方もおられるかもしれませんね。

というわけで、会社勤めの方は支払い忘れなどはないかと思いますが、それ以外の方は自分で納める必要があります。

ちなみに年金を納める場合に、学生の方や主婦の方などは特別な制度が適用されていますので、こちらも紹介しておきましょう。

20歳以上で学生の場合 学生納付特例制度
収入のない専業主婦の場合 第3号被保険者

これらの特別な制度について、ちょっとだけ詳しく見ていきましょう。

学生の場合は学生納付特例制度が適用される

20歳以上になると、どなたも年金を納める義務が発生しますが学生の場合は、年金を納めようにも収入がない場合が多いものです。

そこで、もしもその学生に収入があったとしても一定以下の収入(所得が118万円以下)なら、申請をすることにより、在学中は保険料の納付が猶予される制度…それが「学生納付特例制度」です。

ちなみに「学生」とは、以下のような状態の方を指しますので、ほぼすべての学生の方を対象としています。

  • 大学
  • 大学院
  • 短期大学
  • 高等学校
  • 高等専門学校
  • 特別支援学校
  • 専修学校及び各種学校(夜間や定時制課程、通信課程の場合も含む)

なお学生納付特例制度を申請するには、以下のような場所から申請を行います。

  • 住民登録をしている市区役所や町村役場の国民年金担当窓口
  • 最寄りの年金事務所
  • 在学中の学校から
  • 郵送で市区役所や町村役場の国民年金担当窓口への申請も可能

納付に猶予がある「学生納付特例制度」ですが、もちろん学生を卒業して社会人などになれば、納付を行う必要があります。

この納付方法を「追納(ついのう)」と言いますが、年金を10年間さかのぼって納付することができます。

普通なら延滞金などが加算されますが、この学生納付特例制度の申請によって、申請から3年間は延滞金などが加算されずに済みます。

3年度目以降、保険料を追納する時は、本来の保険料額に経過期間に応じた延滞金などが上乗せされますので、早めに追納することをおすすめします。

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収入のない主婦の場合は「第3号被保険者」が適用される

収入が少ないまたは無収入で、扶養に入っている主婦(主夫)の場合は「第3号被保険者」という制度が適用されます。

この「第3号被保険者」についてですが、日本在住の20歳以上60歳未満のすべての年金加入者は第1から第3号というグループに分けられています。

このグループ分けの方法は、以下のような基準となっています。

第1号被保険者 20歳以上60歳未満で第2号にも第3号にも該当しない者(自営業や学生など)
第2号被保険者 65歳以下で厚生年金や共済にも加入する会社員や公務員
第3号被保険者 20歳以上60歳未満の方で第2号被保険者に扶養されている配偶者
ご覧の通り、このグループ分けの中で主婦は「第3号被保険者」に該当するわけですが、パートなどで働いている場合は「年収が130万円未満であること」という条件があります。

もしも年収が130万円を超える場合、第1号被保険者となり年金の納付は自分ですべて行わなくてはならなくなります。

ちなみにこの「年収が130万円を超えた場合」の届け出は、市区役所や収入のある配偶者の勤務先への届け出も必要になります。

このように20歳以上60歳未満のすべての方に納付の義務がある年金ですが、もしも納付を滞納したり、拒否する場合以下のような事態を引き起こす危険があります。

  • 老後の年金(老齢年金)がまったくもらえない
  • もらえても額が少なく老後の生活が苦しい
  • 滞納を続けると車や給与または財産などを差し押さえられる


基本的に老齢年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)の間、ほぼ滞りなく支払うことで、65歳から受け取ることができるという仕組みなっています。

しかしながら、払っていない月が多いほどもらえる額は減額され、さらに10年間分(120ヶ月分)以下しか納付のなかった場合は、10年間は支払いをしたにも関わらず、まったくもらえないという決まりになっています。

(この期間は以前は25年間(300ヶ月)を下回る納付期間でもらえなくなっていましたが、2017年8月より、10年間の納付期間があれば年金が受け取れるようになりました。)

また、滞納を続ける場合は、車や給与、財産などの差し押さえという事態にもなりかねません。

「年金事業は将来的に破綻するかもしれない」という理由で支払いを渋っている方もおられますが、計画が破綻するにしても、支払いをした方には何らかの対策はされるはずです。

年金の滞納や、支払い拒否などはなるべくないよう、滞りなく納めるように気をつけましょう。

年金を滞納したり支払いをしないと何が起きる?

それではここからは、年金の支払いを滞納したり、納付を拒否する場合どのような状態になるのか?ということについて順を追って紹介していきましょう。

自治体にもよりますが、本来の支払日からだいたい半年から8ヶ月以上支払いがない場合、以下のような書類が届きます。

  • 特別催告状
  • 最終催告状
  • 督促状
  • 差押予告通知書

支払い期限を過ぎても年金を支払わない場合、まずは「特別催告状」が届きます。

これは、「支払いをしてください」という内容とともに「これ以上支払いを行わなければ、延滞金などが付く」という内容の書類となります。また財産の差し押さえについても記載がある書類となっています。

次に届く「最終催告状」は、特別催告状が複数回届いた後に届く場合もありますが、文字通り最終の催告状で、「これ以上は待てないので、間もなく差し押さえなどを行います」というような内容です。

その後、督促状やさらに差押予告通知書などが届く場合もありますが、このような書類が届くまでには、市区役所からの訪問もありますので、年金事務所などに出向く方がほとんどのようです。

実際「払えないから…」と滞納をしているより、本当に支払えない場合は相談に行った方が、免税や減額などをしてもらえる可能性もありますからオススメです。

支払えない場合は年金事務所へすぐ相談!持ち物は?

そこで年金事務所や市区役所へ相談に行く場合ですが、持参するものなどはあるのでしょうか?

年金事務所などに相談に行く時は、以下のような書類を持って行けば相談をスムーズに進めることができます。

  • 運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 間近の給与明細や銀行の通帳など現在の金銭事情を説明できるもの

その他に必要な書類がある場合もありますので、相談に行く前は電話などで確認した方が良いでしょう。

相談に行くことで、滞納分は以下のような支払い方法をとることができる場合があります。

分割納付 滞納分を分けて納付する
支払免除 支払額の何割かを免除してもらえる
支払猶予 支払う期間に余裕をもらえる
このような支払い方法になる場合、納付するお金はまず最初に延滞金に充てられるため、支払えるなら最初に「延滞分だけまとめて支払う」という方法もオススメします。

その他、詳しい免除方法や支払猶予の申請方法などは、こちらの記事でも紹介していますので気になる方は確認してみてくださいね。

年金の支払いは絶対!滞納のないよう気をつけましょう

今回の記事では、年金の滞納について紹介してきましたがいかがでしたか?「年金は支払っても将来もらえない」と思っている方もおられるかもしれませんが…

年金の支払いは義務ですので、滞りなく支払えるよう気をつけましょう。

また年金は基本的には20歳から60歳までの間、滞りなく支払うことで65歳からもらえるという仕組みになっています。

この間の未払いの期間が多ければ多いほど、65歳以降にもらえる金額が少なくなってしまいます。

さらに支払い期間が25年間以下になると、25年分は支払ったにも関わらず、1円ももらえないということになるので注意が必要です。

年金の滞納をすると、自治体にもよりますが年率で3.8%から14.6%の延滞金が付きます。

支払日までに支払うことが、一番安く支払える金額であることを、忘れないでくださいね。

「どうしても支払えない」という場合は、なるべく早めに市区役所や年金事務所へ相談に行きましょう。

相談の際には、本人確認書類や年金手帳など、持参することでスムーズに相談を進められるものがありますので忘れず持参しましょう。

また自治体によっては、その他に必要なものがある場合があります。相談に行く前に電話で確認すると良いでしょう。

「お金がなくて払うのが本当に無理!」という場合は、それを具体的に説明できる書類があればなお良いと思います。

例えば、毎月いくら収入があっていくら支出していて、手元に残るのはどれくらいである…というような記載のあるノート(家計簿など)や…

実際の給与を証明する「給与明細」など、「本当に支払えない」とわかってもられれば、納付額の減額などの措置をとってもらえる場合も十分にあります。

「毎月家計簿を付けるのが難しい」という場合は、2、3ヶ月分でも良いでしょう。

とにかく相談をすることによって、延滞金がかさむことも防ぐことができますし、分納するなど支払い方法を決めることもでき、色々なメリットがあります。

年金の滞納などがある場合は、できるだけ早めに、最寄りの市区役所や年金事務所などに相談に行きましょう。

 

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