滞納・未払い・差し押さえ

滞納金には時効がある?時効過ぎたら支払いしなくても良いの?

住民税や健康保険料、携帯電話の利用料など、本来支払わないとならないお金が、支払えずに溜まってしまうのが「滞納金」です。

長期に渡って滞納することで滞納金には、延滞金や遅延損害金なども含まれることも多く「滞納金を詳しく調べたら、とんでもない額になっていた…」ということも多々あります。

今回の記事では、これらの滞納金について、支払わなくて良くなる「時効」という期限はないのか?ということについて紹介していきます。

はたして、滞納しているものでも時効がくれば払わなくても良くなるのでしょうか?そして時効まで滞納することは可能なのでしょうか。

滞納金には時効がある!しかし時効まで耐えることは?

それでは早速ですが、滞納金には時効があるのでしょうか?答えは「YES」です。滞納金の種類にもよりますが滞納金には時効があります。

最後に督促状や催促状をもらってからこちらの期間が経過すれば、滞納金は消滅し支払わなくても良い状態になります。

税金関係から携帯代などの身近なものまで、様々な滞納金について時効となる期限を挙げてみましょう。

住民税 5年間
自動車税 5年間
所得税 3〜7年間
相続税 5〜7年間
贈与税 6年間
電気代 2年間
ガス代 2年間
水道料金 2年間
下水道料金 5年間
携帯電話の利用料金 5年間
家賃 5年間
NHKの受信料 5年間

以上の時効までの期間について、ちょっと詳しく紹介していきましょう。

国税の時効はケースによって5年から7年間

所得税や相続税などの国税は、ケースによって3年間から7年間という時効までの期間が定められています。

この違いは、申告の期限内に申告を行っていたか?行っていなかったか、などによって変化します。

例えば、相続税の時効は基本的には5年間となっていますが、この申告期限は相続開始日の翌日から10ヶ月間です。

この期間内に申告を行っていれば、時効は5年間になりますが、申告を行っていなかったり、わざと申告をせず「悪質だ」と判断された場合の時効は7年間となります。

ちなみに、もしも税金を納め過ぎてしまった時に、払い過ぎた分を請求する際の時効も、およそ5年間となっています。

「税金を納めすぎている場合」とは、例えば500万円の相続税を申告してその分の税金を納めたのに、実際に遺産相続をしたら300万円だった…などの場合です。

この場合は200万円分多く税金を納めていることになりますから、こちらから請求して過剰分を取り戻さなくてはなりません。

この例は「相続税の還付」という手続きになります…どの税金にしても納め過ぎた税金は、こちらから請求しないと還付されませんので、「払い過ぎた」とわかっているものがあれば遠慮なく請求しましょう。

公共料金などの時効はおよそ2年間から5年間

次に電気代やガス代などの公共料金ですが、こちらの時効はおよそ2年間となっています。

しかしながら公共料金は、支払わずに供給がストップされてしまうと生活することが困難ですし、時効まで待って滞納分を消滅させることは難しいと言えます。


なお「どうしても支払いが難しい」という場合、2年間という時効を待つよりも自己破産を行えば、滞納分をなくしてしまうということは可能です。

しかし水道代だけは免責の対象とならないため、自己破産などを行っても水道代は支払いを行わなくてはなりません。

そこで「自己破産したら電気やガスは使えなくなるのでは?」と心配する方もいらっしゃるかと思いますが、公共料金は自己破産をした方でも利用可能ですので安心してください。

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携帯代金の時効は5年間だが支払いを放置すると…

携帯代金の時効は5年間となっています。しかしながら、携帯代金を長期に渡って支払わずに放置した場合のデメリットは大きいです。

まず、他キャリアでの契約が不可能になります。現在利用しているキャリアがダメでも他の所なら契約できるだろう、と思っている方は多いのではないでしょうか。

携帯会社では、信用情報機関で顧客の信用情報を共有していますので、支払いを行っていないことは他キャリアの契約に行ってもバレてしまいます。

携帯会社も「携帯代金を支払っていない」と、わかっている顧客に対して契約を結ぶようなことはしません。

次に、携帯料金の支払いを滞納すると信用情報にキズがつくことがあります。信用情報にキズがつく、とはいわゆる「ブラックリストになってしまう」ということです。

支払いの延滞や滞納といったキズの記録は、支払いが完済した後も5年以上残ることもあり、支払いの延滞中や支払った後も長期に渡り、その他の金融商品の契約に大きなダメージを与えます。

その他の金融商品とは、例えばマイカーローンを組めない、住宅ローンの審査に通らない、カードローンが作れない、などで弊害が起きるということです。

5年間の時効を待つよりも、少しずつでも支払うか、安い携帯に替える、携帯を手放すなど、その他の方法をとることを強くオススメします。

家賃やNHKの滞納金の時効はおよそ5年間

最後に家賃とNHKの滞納金についてですが、こちらはだいたい5年間となっています。

家賃やNHKに携帯代金、公共料金についてもそうですが、時効は自動的に成立するわけではなく、確実に成立させるためには、弁護士などに相談して「時効の援用」という手続きを取らなくてはなりません。

本来は支払わなくてはならないものを、支払わなくて良い状態にするのですから、時効を成立させるためにも手続きが必要、ということですね。

「時効の援用」を行うには、以下のような手続きを取りますが、費用や様々な書類も必要となります。

  • 時効援用通知書の作成
  • 作成できたら支払先に内容証明郵便で送る
  • 何も連絡なく2週間経過すれば成立

時効援用通知書には決まった書式などがありますので、作成する際は専門的に作成ができる弁護士や司法書士などに依頼する方が良いでしょう。

また内容証明郵便にも定まった書式があり、それに当てはまらない場合は発送することができないので注意が必要です。

例えば、縦書きの場合は1行につき20文字以内で1枚には26行まで、と文字数が決まっています。

一般の方が時効の援用手続きを行うのは、なかなか難しいと言えるでしょう。なお、弁護士などに依頼する場合のおおよその費用は以下のようになっています。

弁護士 要見積もり後決定
司法書士 1件につき3万円から
行政書士 1件につき1万円から2万5千円

司法書士や行政書士の場合、1件につき〜ということですから例えば「携帯代金もガス代金も電気代も時効の援用をしたい」という場合は、3件ということになります。

時効の援用をするにも、意外と大きな費用が必要になりますね。しかしながら、時効の援用をしたからといって必ずしもそれが成功する、という保証はありません。

時効を待つ…ということは、それだけ延滞金などのお金も増え続け、支払うものが増えていくということになります。

また時効を待つ間は、お金の支払先から身を隠しておかなければなりませんから、もし引っ越したとしても住民票を移すこともできません。

以上のようなことから、時効を待つということは様々なリスクや面倒も伴うということは忘れないでください。

滞納金を時効まで待つことができない理由とは?

さて先ほど紹介してきた通り、滞納金には時効があります。また、時効を成立させるための「時効の援用」という手続きもあります。

「それなら、滞納していても催促状や督促状も時効まで無視し続けて、援用の手続きをすれば払わなくても良くなるの?」というと、そういうわけではありません。

時効は、督促状などが届いた後に、5年間や7年間といった定められた時間が経過すると成立します。

つまり、催促状などが届き続ける限りは、そこからまた時効までのカウントダウンが中断されてしまうのです。

重ねて言いますが、催促状や督促状、裁判所からの訴えには時効を中断、またリセットさせる効果がありますので、実質的には時効の成立は難しいと言えます。

しかしながら、中には借入先から現住所がバレないように隠れ、逃げ続けることで時効を成立させようとする方もいらっしゃいます。

このような方がもしも時効の援用を行う場合、必ず時効が成立しているのを確かめてから、手続きを取ることが必須となります。

もしも時効が成立していないのに手続きを行った場合、現住所がバレてしまったりしてひどい取り立てを受ける可能性が高いからです。

また取り立てを受けた場合は、時効までのカウントダウンがリセットされてしまうという危険もあります。

確実に時効が成立した、と確認するためには以前届いた督促状などを手元に取っておくことが重要です。

この「最終返済日」を確認しましょう。この期日から時効までの時間が経過していれば、時効の援用の手続きを取ることが可能となります。

さて、話はそれましたが督促状や催促状には時効を中断させる力があります。その他にも、時効を中断またリセットさせるもの(中断事由)があるので挙げておきましょう。

請求 催促状や裁判所からの訴えなどのこと
債務承認 借金があることを認めること

時効までのカウントダウンがストップする「請求」

請求、とは督促状が届いたり「これ以上支払わないと裁判所に訴えますよ」という書類が届いたりする状態のことです。

この書類が届いているうちは、時効までのカウントダウンがストップされてしまいます。

また裁判で訴えられた場合は、時効までの期間がさらに延長される場合も多いため、このような場合には時効成立は確実に難しいと言えます。

その他、裁判は訴える相手の住所が不明でも進行させることが可能ですので、支払先から逃げ続けている方でも、知らないうちに訴えられて、時効までの期間が延びていた…ということもあり得ます。

時効までのカウントダウンがストップ!「債務承認」

次に債務承認ですが、聞き慣れない言葉かと思います。債務承認とは「自分には支払っていないお金がある」と認めることです。

時効を成立させようと思ったら、時効までの期間には一切支払いを行ってはいけません。

延滞分のみでも支払いを行うことで、「自分には支払っていないお金がある」と認めることになり、支払えば時効までのカウントダウンがリセットされてしまいます。

支払うものに対して、最初から「時効を待って支払わずに済まそう」という方は少ないと思いますが、時効の援用の手続きを計画している場合は早いうちから弁護士や行政書士などに相談する方が確実でしょう。

以上のように、時効には様々な中断事由があり、時効は簡単には成立しません。時効を待つならば、債務整理などをした方が精神的な苦痛もなくおすすめです。

滞納金を支払いたくなくても時効成立は難しい!

今回の記事では、滞納金の時効と「滞納金を支払わずに済む方法はないのか?」ということについて紹介してきましたが、いかがでしたか?

滞納金の時効は5年から7年、ケースによっては10年と決まっています。

しかし、定期的に届く督促状や、支払先の方が自宅に訪問してくるなど、時効まで耐えることは精神的な苦痛も伴います。

また督促状などが自宅に届き続ける度に時効は中断、またリセットされてしまうため、実質的には時効はない、時効成立は困難と言ってもいいでしょう。

滞納金を支払わないで済むという方法はありませんので、もしも本当に支払えない…という事態になった場合は、支払うべき場所へ相談に行くことをおすすめします。

支払うべき場所、とは例えば年金なら年金事務所、税金なら税務署、携帯電話の料金なら携帯ショップ、公共料金の延滞金なら電力会社やガス会社ということですね。

税金の場合は、免除申請を行うことによって支払うべき税金の支払いが免除されたり減額されたり、また支払い期間に猶予を設けてもらうことも可能です。

時効を待つのはなかなか大変なことです。どうしても支払えない、という場合で相談に行っても支払いが難しいという時は、任意整理や自己破産なども視野に入れて計画を立ててみましょう。

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