つけで支払いをした分の滞納!支払わないと訴えられる可能性は?
「つけで支払う」とは「つけ払い」とも言いますが、実際のところは払い終わっている状態ではなく「今度支払います」という未払いの状態です。
個人の経営している店舗では現在もある支払い方なのかもしれませんが、支払うことを口約束のみで決めるのでトラブルに発展することもあり、あまり良いものではありません。
お店側とお客さん、両方の信頼関係のみで成り立っている「つけによる支払い」ですが、もしも支払い分を滞納して支払いを行わない場合、どのような問題が起こる可能性があるのでしょうか。
今回の記事では、つけによる支払いのトラブルなどについて紹介していきましょう。
若い人には馴染み薄?そもそもつけでの支払いはどう使うもの?
若い方の中には「つけ払い」という言葉自体は聞いたことがあっても、どういうふうに使うものなの?という方も多いのではないでしょうか。
まずは「そもそもつけによる支払いとはどういうものなのか」について、紹介していきましょう。
つけによる支払いとは、お金を使ったらその場で支払わず、後日まとめて支払うという支払い方です。
クレジットカードを使う支払い方法や、消費者金融などでお金を借りて支払うような支払い方にも似ていますが、つけの場合は以下のようなメリットがあります。
- 強制的な口座振替などが起きない
- 店側と交渉して支払いを延長できる
- 実際に支払いを行うまでの利子が付かない
クレジットカードを利用した場合は、引き落とし日になれば強制的に、口座から利用した分のお金が引き落とされたり、引き落としにしていない場合でも振り込み用紙などが届きます。
振り込み用紙を無視をすれば、催促状や督促状などが届き、クレジットカードも使えなくなってしまう可能性もあります。
ですがつけの場合は、引き落としも起こりませんし、ある程度の期間内に支払えば、振り込み用紙などが送られてくることもありません。
また、店主に相談すれば支払いまでの期限を延ばしてもらうことも可能です。その他、消費者金融からお金を借りて支払う場合は、利子が付きますが、つけの場合は利子が付かない、というのもメリットの一つです。
ちなみに「つけ」という言葉の語源は「帳簿に書き付けておいて!後日支払うから」と客側が指示した際の「書き付ける」から「付け」のみが取られ「つけ」という言葉になりました。
「よく個人店の居酒屋やスナック、ホストクラブなどで使われる」と、いうイメージの方がほとんどかと思います。
実際、チェーン店でつけで支払う…というのは、チェーン店全体の会社の規則で禁じられているので、ありえないことです。
ちなみに2016年に、大手ファッション通販サイトのZOZOTOWNでも「ツケ払い」という支払い方法が新規に追加されましたが、こちらのつけ払いは2ヶ月間という期限が設けられています。
商品を購入し手元に届いてから、2ヶ月間のうちに支払いを行えばOKということですね。
ZOZOTOWNの例や実際につけで支払う場合もそうですが、つけはクレジットカードが使えない状態の方や、クレジットカードが作れない年齢の18歳未満の方でも利用できます。
つけ払いは、今手元にお金がなくても買い物ができたり飲食ができるなどのメリットもあるのです。
その一方で、お金を使っている感覚があまりないのと、後日まとめて支払いを行うため「予想以上にお金を使っていて、支払いするのが大変困難になってしまった」などのデメリットも発生します。
先ほど紹介したZOZOTOWNでも、つけによる支払い方法を選択した一部の若い方々が、買い過ぎにより支払いができずに滞納が問題になったというニュースがありました。
そうなると、支払いが滞納すれば信用情報にもキズがつくという事態となります。
信用情報にキズがつくとは、一般的に言う「ブラックリストになる」ということですね。
信用情報にキズが付いてしまうと、クレジットカードを作れない、またカードローンの審査に通りにくい、などの弊害が発生します。
個人店のお店などでつけ払いを利用する際は、クレジットカードの情報を使うわけではないので、キチンと支払いをすればブラックリストになることはありませんが…
つけによる支払いをする場合は「店側に会計を任せっきり」という方がほとんどだと思います…ですが実際は、その場で支払いを行う時以上に、「いついくら使ったか?」ということを自分自身で明確に把握しておく必要があります。
そうでなければ、もしも店側に虚偽の明細を申告されても、気付くこともできません。
そういう意味では、つけによる支払いはその場で支払いをするよりも色々なリスクがある、とも言えるのではないでしょうか。
つけによる支払いを滞納する場合のリスクやトラブルとは?
それでは、以上のようにメリットもデメリットもあるつけによる支払いですが、もしも支払いができずに滞納してしまうとどんなトラブルが起こるのでしょうか?
まずは、先ほど例に挙げたZOZOTOWNでは、つけによる支払いを選択した場合は2ヶ月以内での支払いが決まっていました。
ですが、明確に規則の定まっていない個人の経営する飲食店などで利用する場合は、どれくらいで支払うのが妥当なのでしょうか。
これには人それぞれの認識があると思いますが、できるだけ早い方が良いでしょう。お店側にお金を借りている状態とあまり変わりありませんからね。
また遅くなればなるだけ、支払いを忘れてしまう可能性も出てきます…できれば翌日、遅くとも月末までには支払いを終えるようにしましょう。
後ほど紹介しますが、支払いを忘れてしまえば滞納状態となり、裁判に発展する可能性も出てきますから、支払いを長引かせることはたいへん危険です。
「つけといて!」と言う方はそれほど気にしていない場合が多いものですが、お店側はつけていることをなかなか忘れられるものではありません。
例えば、あなたがお店側の方だったとして、いつもつけで支払っていて長期間支払いをしてくれないようなお客さんがいたら、すごく気になりますよね。
「いつ支払ってくれるのか?本当に支払ってくれるのか」また「支払わずに逃げられたらどうしよう」などなど…
しかしながら、そのお客さんが来る度にお店側から「今日は払ってよ」と急かすのも、お店を経営している身としてはやりづらいですよね。
もしもあなたがつけによる支払いをした場合は、お店の方のこともよく考えて、なるべく早く支払ってあげるようにしてください。
「えっ?じゃあ自分は滞納している状態かも」と思った方もおられるかもしれませんね。このような場合は、どんなトラブルが起こりうるのか見ていきましょう。
- 内容証明による郵便物が届く
- 簡易裁判所からの支払督促が届く
- 民事訴訟として裁判になる
- 財産や給与などを差し押さえられる
それぞれの事柄について、どのような状態となるのかちょっと詳しく紹介していきましょう。
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送られた書面の内容や配達記録が残る…内容証明とは?
内容証明とは、中に記載されている内容が郵便局に保管される郵便物です。
これ意外の用途で使う場合は、例えば「クーリングオフを利用したい時」や「時効の援用」の他「契約を解除したい場合」などに利用されるものです。
この際に店側から送られてくる内容証明には、お店を利用した際の日にちや金額、支払期限などが記載されます。
また「支払期限までにお金を支払わない場合は、法的措置を取りますよ」という内容も含まれます。
簡易裁判所からの支払い督促状は無視しないように!
次に、簡易裁判所からの支払い督促状が届く場合もあります。こちらの督促状が届いた場合、督促状に記載されている支払期限までに、お店で利用した分のお金を支払うか…
督促状の内容に不服がある場合は、2週間以内に督促状に添付されている「異議申立書」を裁判所に提出します。
異議申立書を提出した場合は裁判となりますが、お金を支払った場合はそれで一件落着となります。
簡易裁判所からの督促状が届いた場合は、速やかにお店にお金を支払いましょう。
また、「支払いがすぐには無理…」という場合でも督促状を無視しないで、お店や裁判所などに相談に行くようにしてください。
ちなみに店側が、客の名前も住所もわからない…という場合は以上のような措置を取ることはできません。
名前も住所もわからないような客につけ払いを許すお店もなかなかないとは思いますが…。
「住所がわからなければ、つけで支払っても良いのか」と、つけを利用する際に、店主に住所を聞かれてウソの情報を伝えるなんてことをしてはいけませんよ。そうなれば詐欺罪や無銭飲食として違う罪に問われてしまいます。
支払いはなるべくその時に!つけるなら月末には支払いを
今回の記事では、つけによる支払いはどんなトラブルが起きる可能性があるのか?ということについて紹介してきましたが、いかがでしたか?
最近ではつけ払いをできるようなお店は、昔に比べて減ってきているため「つけ払いなんてしたことない」という方も多いと思いますが…
もしもつけ払いを利用する場合、お店の方のことを考えて支払いはなるべく早めにするようにしましょう。
できれば翌日、遅くとも月末までには支払いを終えるようにした方が良いでしょう。
さもなくば「滞納かも?」と疑われて、督促状が届いてしまうという事態もあり得ますので注意が必要です。
つけでの支払いは、お金がない時やクレジットカードが使えない時などにとても便利な支払い方法ではあります。
しかしながら、お金を使ったことを忘れやすい支払い方法でもあるので、利用せずに済むなら利用しない方が無難です。
つけでの支払いを検討する前に、まずはクレジットカードなどが使えないか聞いたり、お財布の中にお金があるか確認してからお店へ向かいましょう。