滞納・未払い・差し押さえ

国民健康保険の滞納をするとどうなる?医療費は10割負担?

「国民健康保険」は保険料を支払うことで、病院にかかる場合に利用者の医療費の負担が全体の3割で済むという保険です。

「どこも悪くならないから、病院なんて滅多にかからない」という元気な方もおられますが、だいたいの方の生活に医療はなくてはならないものでしょう。

会社に勤めておられる方は、社会保険として給料から天引きされている場合も多いので支払い忘れはあまりないかと思いますが、自営業の方やアルバイトの方の場合、支払い忘れが起こることもありますよね。

そのような場合、どう対処するのが良いのでしょうか?また延滞した場合はどうなるのか、延滞金は付くのか?など…今回の記事では国民健康保険の延滞についてまとめてみましょう。

そもそも国民健康保険って何?みんな入っているの?

国民健康保険の滞納について紹介する前に、そもそも「国民健康保険」とは何なのかということも理解しておく必要があります。

国民健康保険は各市区役所が運営している保険であり、登録や保険の種類の切り替えは市区役所で行います。

この国民健康保険を簡単に説明すると、国内に住所のある方で、次のうちどれにもあてはまらない方が加入する必要のある保険です。

  • 勤務先で健康保険に加入している方とその扶養家族
  • 船員保険に加入している方とその扶養家族
  • 国民健康保険組合に加入している方とその世帯家族
  • 75歳以上の方で後期高齢者医療制度の対象者
  • 生活保護を受けている方

どれにもあてはまらなくても「加入したくない!」と言って保険料の支払いを拒否できるわけではありません。

健康保険に関しては、「国民皆保険制度」という制度のもと、国民健康保険や社会保険に必ず加入する義務があります。

外国籍である外国人も、日本国内に1年以上滞在する場合は国民健康保険などに加入しなくてはならないのです。

「無駄な保険料を支払いたくないし、登録に行かなきゃ払わなくてもバレないよね?」というような考えを持っているとしたら、そのようなことはやめましょう。

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国民健康保険を延滞すると差し押さえとかが起こるの?

以上のような国民健康保険を延滞すると、どのようなことが起こるのでしょうか。順を追って紹介していきましょう。

まずは支払日を1ヶ月半ほど過ぎても納付を行わない場合、振り込み用紙などが自宅に届きます。

これは、携帯料金や公共料金の支払い忘れの際などにも届くものですが、「国民健康保険料の支払いがまだですので支払ってください」という内容のものです。

これを支払わない場合、本来の支払い日から2ヶ月ほど経つ頃に、督促状などが自宅に届きます。

督促状が届いてしまうと、この発行日から10日以内に支払わないと、いつ差し押さえをされてもおかしくない状態になってしまうので要注意です。

ただ、差し押さえがいつ執行されるかについては、自治体によってそれぞれで「すぐに行う」というところもあれば、「その後4ヶ月以上放置しても大丈夫だった」という場合もあります。

しかしいずれにせよ危険な状態にかわりありませんので、「まだ大丈夫だろう」と支払いを放置するべきではありません。

その後4ヶ月目に入ると、市区役所の方が自宅に訪ねて来たり、電話や封書などで督促勧告書と共に「一度市区役所に相談に来てください」という内容の提案があります。

ちなみに「相談」というのは、「今いくらなら支払えそうか?」ということや「分割で納付するならいくらなら可能であるか?」

…などの納付に関する打ち合わせのためであり、相談に行ったからといって「払え!」と脅されるようなことは絶対にないので安心してくださいね。

さて、だいたいの方はこの督促勧告書が届いたあたりで相談に行かれる方が多いかと思います。

ですが、これも無視する場合は、いよいよ車や給与の差し押さえなどが起こる可能性が高くなります。…ここまでの流れを簡単にまとめておきましょう。

支払日から約1ヶ月半経過 振り込み用紙と催促状などが届く
支払日から約2ヶ月目 督促状が届く
支払日から約4ヶ月目 市区役所の方が訪問または督促勧告書などが届く
支払日から4ヶ月目以降 差し押さえが執行される可能性が高くなる
ちなみに給与の差し押さえについては、毎月「全額差し押さえ」ということはないものの、およそ給与の1/4が、滞納分プラス延滞金の支払いが終わるまで差し押さえられます。

給与の差し押さえが行われるということは、もちろん職場にも国民健康保険を滞納していることがバレてしまいます…国民健康保険を滞納することは避けたいものですね。

また、自営業の方以外のアルバイトなどの方は、就職の際に勤務先の勤務形態や福利厚生などをしっかり確認し、健康保険料が天引きされるような職場を選ぶことも、払い忘れを防ぐ一つの方法です。

国民健康保険の延滞は医療費が10割になる?

病院にかかる際に利用している国民健康保険ですが、もしも滞納が長引くと医療費は10割負担になるのでしょうか?

答えはイエスです…もしも滞納が長引く場合、医療費は最悪の場合10割負担になってしまいます。

「10割負担ってピンとこない…」という場合は、例えばあなたがもしも風邪をひいて、耳鼻科などの診察で1200円の診察料を支払ったとしましょう。

この金額は3割の負担額であるため、10割負担に換算すると、(1200÷3)×10=4000円ということになります。

その後薬局で、900円で薬を処方してもらったとしましょう。これを10割負担に換算すると、(900÷3)×10=3000円です。

以上のように、もしも医療費が10割負担になってしまった場合、風邪をひいて耳鼻科にかかるだけでも7000円という大きな額が必要になってしまいます。

耳鼻科や内科などで済めば良いですが、ケガをして手術などを受けるようなことになればさらに大きな金額が必要になりますね。

さて、10割負担になるタイミングですが、支払い延滞後すぐに…というわけではなく、最初のうちは有効期限が短い国民健康保険証の「短期被保険者証」が発行されます。

有効期限の短い短期被保険者証は、本来の支払日を半年も過ぎると発行されることがほとんどです…「意外と時間がないな」と感じた方もおられるのではないでしょうか。

この短期被保険者証は、滞納分と延滞金の分をすべて支払うまでは、解消されません。

有効期限の短い健康保険証では「いつ国民健康保険の期限が切れるか?」とドキドキしながら病院に行かなくてはならず、「落ち着いて病院にもかかれない状態」というのは精神的にも良くありませんね。

なお短期被保険者証の有効期限は、自治体によってだいたい3ヶ月間から6ヶ月間であり、有効期限が切れれば役所へ出向いて更新する必要があります。

その後も支払いを行わない場合、「被保険者資格証明書」というものが発行されるのですが、これは病院で提示しても保険証の効力がない書類です。

つまり、この被保険者資格証明書が発行されてしまうと医療費は10割負担へと移行してしまうことになります。

支払日から6ヶ月以降 短期被保険者証の発行(医療費は3割負担)
支払日から9ヶ月目以降 被保険者資格証明書の発行(医療費が10割負担)
支払日から1年以上 給与や財産などの差し押さえが執行

ちなみに国民健康保険の滞納期間が長引くほど、延滞金も高くなっていきます。

延滞金は延滞している金額に対して、最大で14.6%という利率で発生してくるため、滞納分が多いほど、また延滞期間が長いほど延滞金の額は膨らんでいきます。

なお延滞金の利率については自治体によって様々で、年率9.1%というところもあれば最大利率である14.6%である場合もあります。

被保険者資格証明書の発行後も1年以上支払いのない場合、給与や財産、車などの差し押さえが執行される可能性が高くなります。

このような事態を避けるためには、「支払えない」とわかった時点でなるべく早めに市区役所へ相談に行くことが大切です。

国民健康保険を延滞する場合はとりあえず相談には行くべき

国民健康保険の滞納は、医療費が最悪で10割負担になってしまうおそれがあるため、滞納しないよう注意が必要です。

なお支払日の翌日から延滞金が発生するため、「支払えない」とわかったらなるべく早いうちに市区役所へ相談に行くことが大切です。

この時、免許証などの本人確認書類に加えて、国民健康保険証や印鑑、督促状などを持参するとスムーズに相談できます。

市区役所へ相談に行く際の持ち物…

  • 運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
  • 健康保険証
  • 自宅に届いた督促状や振り込み用紙
  • 印鑑など

また「お金がなくて支払えない」という方がほとんどだと思うので、給与明細や家計簿なども持参しましょう。

「お金がない」ということをより具体的に説明できれば、分割納付や支払額の減額などの処置をしてもらえやすくなります。

一番良くないのは、お金があるのに「支払わない!という態度をとること」と、「何も相談せず放置しておくこと」です。

延滞金とあわせた滞納料金も膨らむ一方ですし、最後には医療費も全額自己負担になってしまいます。

支払いが滞りそうな場合は、できるだけ早めに市区役所へ相談へ行きましょう。

ちなみに手元の健康保険証を紛失してしまった場合、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類を市区役所へ持参し、再発行の手続きを行います。

また健康保険証は悪い人に拾われると、消費者金融などで悪用されてしまう可能性もありますので、紛失に気付いたら早めに再発行の手続きとともに警察署への紛失届も行いましょう。

すでに悪用されたのではないか、と不安な場合は警察署への紛失届の他、健康保険証の発行元である健康保険組合や全国健康保険協会などにも届け出をしましょう。

 

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