滞納・未払い・差し押さえ

国民健康保険の分割払いはできるの?滞納してしまった時の対処法

国民健康保険の保険料は前年1月〜12月の所得に応じて決まります。

退職して勤務先の健康保険から国民健康保険に切り替わった方や、売上が昨年から大きく減ってしまった個人事業主の方などにとっては、保険料の負担が大きくのしかかり支払えないということもあるのではないでしょうか?

国民健康保険は加入者が病気などで医療費が発生したとき、自己負担を3割(未就学児は2割、70歳~74歳の方は1割または2割)に抑えることができる大切な制度です。

「お金が厳しいし、病気にもならないから払いたくないなぁ」

と感じる方もいるかもしれません。しかし、国民健康保険など公的医療保険は国民の義務であり、義務である支払をしなければ滞納となってしまうのです。

「自分は健康」では済まされない!公的医療保険への加入義務

日本では「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するために国民皆保険制度が整備されています。この制度により、国民は何らかの公的医療保険に加入することが義務付けられています。主な公的医療制度は以下の通りとなります。

保険の種類 概要
健康保険 会社員などが勤務先で加入
国民健康保険 個人事業主や会社を退職した人、パート・アルバイトの人などが加入
後期高齢者医療制度 75歳以上の人が加入
共済組合 公務員や学校職員などが加入
船員保険 船舶で働く人が加入

健康保険や共済組合、船員保険などは給与から保険料が支払われるため、勤め先がしっかりと納付している限りは未納となってしまうことがありません。しかし国民健康保険は、自身で保険料を納付する必要があり、お金が足りなければ滞納してしまう可能性もあります。

何らかの公的医療保険に加入することが義務付けられている以上、たとえ病気にならなかったとしても、払っていない保険料は「滞納」扱いとなります。「病気になったら自己責任」では済まされません。

督促ももちろん行われますし、最悪の場合には財産の差し押さえが行われることもあるんです!

国民健康保険料の滞納を続けるとどうなるか

厚生労働省の「平成 28 年度国民健康保険(市町村)の財政状況について=速 報=」では、滞納世帯数の割合が全国で15.3%であると公表されています(平成29年6月1日時点)。

多くの人が払っていはいるものの、6〜7人に1人は滞納してしまっている状況となります。

国民健康保険の保険料を滞納しつづけてしまった場合、どうなってしまうのでしょうか?

延滞金が発生

保険料を期日までに支払わないと、延滞金が発生します。例えば東京都世田谷区の場合は、以下の方法で延滞金が計算されます(平成30年の場合)。

支払うまでの期間 延滞金の割合
納付期限後3ヶ月以内 2.6%
納付期限後3ヶ月後 8.9%

世田谷区の場合は最初の3ヶ月以内か3ヶ月後かにより延滞金計算の割合が変わっていますが、これは市区町村により異なります。例えば神奈川県平塚市では、最初の1ヶ月以内か1ヶ月後かで割合が変わります。

短期保険証の発行

保険には有効期限があり、保険料をすべて支払っている場合には更新タイミングで新しい保険証がおくられてきます。しかし、もし更新タイミングで保険料に未払いがある場合、保険証ではなく市区町村の役所で手続きするよう記載された案内が送られてきます。

役所で手続きを行うと、保険料の滞納が1年未満の場合には有効期限の短い保険証(短期被保険者証といいます)が交付されます。有効期限は短いですが、普通の保険証と同様に病院などで使用することができます。

保険証の返還要求と被保険者資格証明書の交付

被災などの特殊な事情がなく1年以上保険料を滞納していると、「保険証を返してください」と要求されます。保険証を返却すると、代わりに「被保険者資格証明書」というものが交付されます。

被保険者資格証明書は保険証と同様に病院で提示するものですが、診察料などの医療費は一旦全額を自分で支払わなければなりません。後から市区町村の役所で手続きをすることにより、国民健康保険負担分の7割が保険給付分として支払われることになります。

一時的な立て替えとはいえ、通常の3倍以上のお金を払わなければいけないわけですから大変です。風邪をひいて薬をもらっただけで1万円を超えることも十分にありえます。

保険給付の一時差止、そして滞納保険料との相殺

さらに滞納を続けて1年半を過ぎることには、保険給付の支払が止められることがあります。全額立て替えたあとに市区町村の窓口で手続きをしても、7割の保険給付をもらえないということです。

ここで差し止められた保険給付のお金は、滞納している保険料の支払いに充てられます。通常の医療費だけではなく、高額医療費や出産育児一時金の保険給付についても、一部または全部が差し止められる可能性があります。

特に、高額医療費の場合は一定額を超える全額を国民健康保険で負担しますので、この保険給付が差し止められると大変高額な医療費を自己負担することになってしまいます。

財産差し押さえの可能性も

保険料の滞納を続けていると、財産の調査が行われます。そこで滞納している保険料に充てることができそうな財産が確認された場合は、法律に基づく滞納処分として財産の差し押さえが行われることがあります。

法律に基づく行為ですので、事前の警告などが行われないケースもあり注意が必要です。突然、預金や給与、生命保険など換金しやすい財産が強制的に差し押さえられてしまうかもしれないのです。

基本的には、払う意思を示さないような悪質な滞納者に対して、財産の差し押さえが行われることが多いようです。しかし、国民健康保険は各地方自治体にその運営が任されており、自治体の財務状況が厳しいところでは、差し押さえなど取り立てが厳しくなる傾向にあるようです。

滞納した保険料が払えなくなったら分割払いの相談を!

滞納が続けば続くほど、その金額は大きなものとなり、一度に支払うのは困難なものとなります。カードローンやキャッシングなどが利用できるなら、一旦は借入で滞納保険料を支払って、その後は借入の方を分割払いで返済していくということもできますが、もしカードローンやキャッシングが利用できないような状況では、市区町村の窓口で分割払いの相談をするしかありません。

分割払いに対して快く対応してもらえるかどうかは市区町村によって差があるようですが、基本的には相談に乗ってもらえます。一回あたりの分割金額をどれくらい低くできるか、分割回数をどれくらいまで増やせるか(期間を長くできるか)といった支払計画を相談しましょう。

なお、相談に乗ってもらうためには、以下の内容がわかる書類を作成してもっていく必要があります(直近3ヶ月ほどの内容)。詳しくはお住まいの市区町村窓口に確認してみましょう。

  • 収支(収入と支払)の内訳が分かるもの
  • 資産と負債の内訳が分かるもの

国保は健康で文化的な最低限度の生活を保証するもの

憲法は日本の法律において最も重要なものとなりますが、その25条で

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

と定められています。この「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するためには、国民皆保険制度と公的医療保険を維持しつづける必要があります。

そのため、国民健康保険を運用する各地方自治体は、滞納金を納めるための分割払いや、生活が苦しく支払が困難な方に対する減免制度など、国民皆保険制度を維持するために様々な対応を取っています。

何より、保険料の未払いは病気にかかってしまったときに病院へいくことができず、命の危険に関わる事態となる可能性だってあります。

滞納すればするほど支払が難しくなる保険料、なるべく延滞することなく支払うよう気をつけましょう。

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