滞納・未払い・差し押さえ

滞納で差し押さえられる可能性の高い「車」差し押さえを防ぐには?

税金や公共料金など支払うべきものを長期に渡って滞納した場合、最終的には差し押さえという事態が起こり得ます。

差し押さえの対象となるものには、リサイクル業者に渡せばお金になりそうな財産や毎月の給与の他、車もその対象となります。

差し押さえられたものは、リサイクルショップへ売られたり競売などにかけられ、その売上金が滞納分にあてられてます。

車は売却すればある程度の金額が見込めるので、もしも差し押さえという状況になった場合は財産などの次に高い確率で差し押さえられる可能性があるのです。

今回の記事では「いざ差し押さえ!」となった場合に車の差し押さえを防ぐ方法はないのか?ということについて紹介していきましょう。

こわい差し押さえ…どのような段階を踏んで起こる?

差し押さえとは強制執行のことで、滞納している方に対して滞納金や延滞金などを支払ってもらうためのいわゆる「最終手段」です。

よって、差し押さえになるまで支払いを放置しているような方のみが、差し押さえを行われる可能性があります。

つまり、ちょっと滞納しているくらいなら差し押さえは行われないし、差し押さえは突然起こるのではなく、それが起こるまでにはいくつかの段階があるということですね。

差し押さえになるまでには、どのような段階があるのでしょうか?まずは、その段階について紹介しておきましょう。

なお滞納しているのが税金や社会保険料などである場合と、カードローンや携帯電話の利用料などである場合では、差し押さえが起こるまでには少々異なった流れになります。

まず最初に、税金や社会保険料などを滞納している場合から紹介していきましょう。税金や社会保険料などの支払いを支払い期日までに行わないと…

  • 支払い期日から約20日後以内に「督促状」が届く
  • それでも支払いのない場合10日から20日以内に「催告書」が届く
  • その後も進展のない場合「差し押さえ予告書」や「最終催告書」が届く
  • やがて差し押さえが執行される


税金や社会保険料などの滞納の場合、裁判沙汰にはなりませんが、差し押さえ予告書や最終催告書などが届いたら、いつ差し押さえが起こっても不思議ではありません。

ですので「差し押さえ自体を避けたい」という場合は、督促状や催告書などが届いているうちに支払いを行う方が良いでしょう。

差し押さえ予告書などが届いた後も「どうせすぐには来ないだろう…」と思っていたら突然、自宅に差し押さえの執行員が訪ねて来て、大切なものをすべて持って行かれた…という事態にもなりかねません。

またこのような場合に執行員の作業を邪魔すること(差し押さえを妨害したり、差し押さえするものに貼られたシールを剥がすなどの行為)は、強制執行妨害罪にあたり罪に問われてしまいますので抵抗は不可能です。

ちなみに、所得税や住民税などの税金類、また国民健康保険料や国民年金などの社会保険料類は、もしも長期に渡る滞納で支払いが困難になり「自己破産」をしても、支払わなくても良い…とはなりません。

このような債務(支払うべきもの)を「非免責債権」と言いますが、自己破産を行った後もコツコツと支払っていく必要があります。

税金の支払いについて「支払えなかったら自己破産すればチャラになるから、支払わなくてもいいや」というような考えを持っている場合は、そのようなことはできない、ということを忘れないでください。

次に、カードローンや公共料金の利用料、携帯電話料金など、私的な債務の滞納についても、差し押さえまでの段階を紹介しておきましょう。

カードローンや携帯電話料金などの滞納金を支払い期日に支払いを行わないと…

  • 支払い期日から約1〜2週間以内に「督促状」と「振り込み用紙」などが届く
  • 支払いのない場合支払先(債権者)が裁判所に強制執行の許可を申請する
  • 強制執行の申請が通ると滞納している方(債務者)に「支払督促申立書」が届く
  • その後2週間異議申し立てなく経過すると「仮執行宣言付支払督促申立書」が届く
  • 分割払い希望など異議申し立てがある場合は速やかに申し立てる
  • 「仮執行宣言付支払督促申立書」が届くとやがて差し押さえが執行される
このような場合の支払い方法は「滞納分は一括で支払ってください」という場合が多いため、もしも「分割で支払いたい」「納付猶予が欲しい」という場合は2週間以内に異議申し立てを行いましょう。

税金や社会保険料などを滞納して差し押さえになる場合と、カードローンなどを滞納していて差し押さえになる場合との違いは、間に裁判所への手続きが必要か必要ないかという違いがあります。

カードローンなどの滞納の場合は、裁判所へ申し立てなどを行わなければ差し押さえが執行できませんが、社会保険料などの滞納では、裁判所への手続きを取らなくでも差し押さえを執行できます。

これは、「税金などは督促状を送って10日以上経っても支払いのない場合は、差し押さえを執行できる」と法律で定められているためです。

【関連記事】

市役所からの差し押さえに遭った!差し押さえられたお金取り戻せる?

車の差し押さえには数日間の猶予期間がある場合も

差し押さえが行われると、財産や給与、銀行口座などのお金の他に、車も差し押さえ対象となります。

ちなみに、差し押さえられる順番としては財産や銀行口座内の預金、給与、車というような順番が多く、車よりも財産の方が先に差し押さえられることが多いようです。

給与が差し押さえられてしまう場合は、もちろん勤め先に滞納金があることがばれてしまうので、会社に居づらくなってしまう方も多くいらっしゃいます。

このような状況を回避するためにも、差し押さえが起こるまでに滞納金の支払いを行うことをおすすめします。

ちなみに給与の差し押さえは、毎月全額差し押さえられるわけではなく、給与の1/4が差し押さえられ、これは滞納分の支払いが終わるまで続きます。

さて、車の話に戻りますが、差し押さえでは、家宅捜索で見つかった財産はその日のうちに持って行かれてしまう場合が多いのですが、車は保管場所の確保のために数日間はその場で待機ということがあります。

車の差し押さえはどのように行われるのでしょうか。詳しく紹介していきましょう。

差し押さえがいつ行われてもおかしくない状態にある時、差し押さえは土日でも、早朝でも深夜でも、突然に行われます。

前日に「明日差し押さえに行きますよ」などの連絡はありませんので、注意してください。

これはもちろん、前日に「明日差し押さえます」などの連絡をしてしまうと、夜のうちに夜逃げをしたり、銀行口座内のお金を隠したりといった行動を取る方がいらっしゃるからですね。

  • まず車に「差し押さえ物件」などと書かれたシールやテープが貼られる
  • タイヤに重りやロックなどが付けられ動かせない状態になる
  • 差し押さえ対象の車の保管場所が見つかるまでそのままの状態で放置
  • 保管場所が確保でき次第レッカーなどで移動

タイヤに付けられる重りやロックは「タイヤロック」などと呼ばれる車輪止めの一種ですが、ホイールを両側から挟み込んで装着するようなものです。

このタイヤロックを壊したりすることは強制執行を妨害することになりますので、強制執行妨害罪や刑法96条「封印等破棄」などで罰せられることになりますので、そのようなことは絶対にやめてくださいね。

差し押さえられた車はやがてレッカーで持って行かれてしまいますが、その後はインターネットなどでオークションにかけられ、その売上金が滞納金にあてられます。

差し押さえで売れた車の金額が滞納分よりも多い場合は、過剰分のお金は手元に戻ってきますが、いつも使っていた車がなくなるというのはたいへん不便ですよね。

なお車の売上金でも滞納分の金額にとどかない場合は、その他のものを差し押さえたり、いつまでにいくら支払うなどの取り決めをしたりして、滞納分をすべて支払うような手続きをします。

愛車を取り戻したい…差し押さえられた車は取り戻せる?

差し押さえが行われる前までに、滞納分や延滞金などをすべて支払い終えることができれば、差し押さえを防ぐことが可能です。

ですが「お金が間に合わず、差し押さえをされてしまった…」という場合もあるかもしれません。

車は差し押さえられてからレッカーで持って行かれるまでに、何日間かの猶予がありますが、この期間内でも滞納分をすべて支払えば差し押さえを中断させることができます。

また、差し押さえられた車はすぐには競売にかけられませんので、レッカーで持って行かれてしまった後でも3日以内なら、滞納分をすべて支払うことができれば車を手元に取り戻すことができる可能性が高いです。

どうしても車の差し押さえを避けたい、取り戻したい、という場合はまず第一には差し押さえが起こるまでに滞納分などを支払えるよう頑張りましょう。

車が差し押さえられてしまったら、レッカーで移動されるまで、もしくは移動されても3日以内には滞納金などを支払うようにしてください。

滞納で差し押さえが起こる前になるべく早く支払いの相談を

今回の記事では、車の差し押さえを防ぐ方法はないのか?ということについて紹介してきましたが、いかがでしたか?

差し押さえが起こるまでには、督促状や最終催告書などの様々な書類が届きます。

差し押さえを防ぐには、それらの書類を無視せず、滞納金などをきちんと支払うことが、車の差し押さえを防ぐ一番の方法です。

また「どうしても支払えそうにない」という場合は、なるべく早めに支払先に連絡し、現在の状況を説明しましょう。

「ケガをして無職で収入がない」「前年より大幅に収入が減ってしまった」など状況によっては、支払いを免除または減額、その他支払い期限に猶予をもらえる可能性などもあります。

一番良くないのは、届く書類をすべて無視し支払いもせずに放置しておくことです。

支払いを放置することで、滞納金の他に損害遅延金などの延滞金も上乗せされていってしまいます。

滞納しているお金の種類にもよりますが、税金などの延滞金の利率は高い場合で14.0%、カードローンなどの損害遅延金では年率20.0%という高い年率の場合もあります。

損害遅延金は長く放置していれば放置しているだけ溜まりますし、損害遅延金が上乗せされ滞納金自体が高くなれば、年率はその金額に対して付加されますから、最終的な支払い金額は雪だるま式に増えていきます。

支払いが難しい、と思ったらできるだけ早めに支払先、または専門の弁護士などに相談に行きましょう。

閉じる
閉じる