滞納・未払い・差し押さえ

競馬にハマって作った借金が返せない…自己破産はできるの?

日本の公営ギャンブルのうちの一つである競馬ですが、年に何回も大きなレースがあり、テレビなどで放送されるので一度は見たことがある!という方も多いのではないでしょうか。

ただレースを見たり、たまに少額の馬券を買ったり…という程度であれば問題ありませんが、中には競馬にのめりこんで大金をつぎ込んでしまう人もいます。

それでも、ご自分の収入の範囲でやっていればまだ良いのですが、だんだんと生活もままならなくなり、借金をしてしまう…借金してまでも競馬をする!という方がいるのも事実です。

競馬にハマって作ってしまった借金が返せない!となった時どうすればよいのでしょうか?自己破産は出来るのでしょうか?

借金が返せずどうにもできない!自己破産の手続きとは?

借金をした人が、返済が出来ずにどうしようもない事態に陥ってしまったときに、選択肢としてあるのが自己破産です。

では、自己破産をするにはどうしたらよいのでしょうか?

自己破産をするためには裁判所へ申し立てが必要です

自己破産をする場合、ご自分で「自己破産します!」と宣言すればそれで自己破産できるわけではありません。

一定の手続きを踏む必要があるのです。

自己破産をする場合、必ず裁判所に申し立てを行う必要があるということは覚えておきましょう。

自己破産の手続きは大きく分けて二つあります。

  • 同時廃止
  • 少額管財

この二つの方法は、ご自分で選べるわけではなく、それぞれ条件があります。

同時廃止は、高額な財産がなくて、免責において破産管財人による調査が必要ないと判断されるときにとられる方法です。

高額な財産とは、現金33万円以上や、20万円以上の価値がある資産のことを指します。

少額管財は、上記の同時廃止に当てはまらなかった場合の自己破産手続きです。高額な財産を有していたり、免責において調査が必要な場合にとられる手続きとなります。

少額管財は、裁判所から破産管財人が選任されます。

【破産管財人とは…】
破産をする人の財産などを管理し、債権者に公平に分配したり、免責に値するかどうかを見極め裁判所に意見をしたりする人の事です。業務は主に弁護士が担当します。

先ほどから登場している「免責」という言葉は、言い換えると「借金を払わなくてよい」ということです。

自己破産の申請をしたからと言って、すべての人が借金がなくなるわけではありません。

免責の許可を受けた人だけが借金の支払いから逃れることができるのです。

免責の許可を受けられなければ、借金は返済し続ける必要があります。

自己破産の手続きに入る前に…自分の資産を確認しよう

自己破産をしたい!と思ったら、まずはご自分の資産となるものを整理しておく必要があります。

なぜなら、自己破産をすると一定以上の資産は処分されてしまうからです。

例えば、住宅ローンを支払中の持ち家をお持ちの場合、住宅ローンだけきちんと支払うから家は残したい!と思っても、そのようなことはできません。一定の価値がある車なども同様です。

ご自分の資産を計算し、それでもなお、自己破産をしなくてはいけない…という状況になったら、自己破産の手続きを進めていくようになります。

ご自分が個人で自己破産の申請を行うことができないわけではありませんが、基本的には弁護士等専門家に相談を仰いだ方が無難です。

【関連記事】

借金の肩代わりで失敗しない方法。差し押さえや自己破産を回避する

自己破産の手続きを行い、免責許可が下りると借金がなくなります

弁護士に相談し、自己破産が妥当となると、自己破産の手続きに入ります。

自己破産の手続きを行うには裁判所に破産手続き開始の申し立てを行い、免責審尋があるため裁判所へ足を運ぶことになるのです。

同時廃止の場合は、裁判所から免責の許可がでれば、1か月後には自己破産が成立し借金をチャラにすることができます。

少額管財の場合は、破産管財人が選定されますので、破産管財人との面接があります。

また、債権者による集会も行われその際も一度出席する必要があるでしょう。

免責の許可が下りれば同時廃止と同様に1か月後には自己破産が成立します。

少額管財の場合は、手続きが同時廃止よりも複雑になりますので時間がかかる傾向にありますから注意しましょう。

ご注意を!競馬による借金は免責が受けられないことも…

借金の返済がどうしようもなく生活もままならなくなったときに、自己破産を選択するのは決して悪手とは言えません。

債権者には損失を与える事になりますし、ご自分の信用情報も傷つくことにはなりますが、金銭面では人生をリセットしてやり直すチャンスを得ることができます。

しかし、中には自己破産の免責許可が下りないケースもありますので注意しましょう。

ギャンブルが原因の借金では免責許可が下りない?

自己破産の免責許可が下りないケースは法律で「免責不許可事由」として定められています。

破産法第252条第1項によると、下記のような場合は免責不許可事由とされているのでご自分が当てはまらないか確認することが大切です。

  • 債権者への侵害を目的とする財産の破壊、減少活動をする行為
  • 破産手続きの開始を遅らせる目的で、闇金など違法なところから借り入れしたり、クレジットカードの現金化をしたりする行為
  • 特定の債権者に利益を与えたり、他の債権者へ不利益を与えるために特定の借金だけ進んで返済したり、担保がないのに担保を付けたりする行為
  • 極端な浪費やギャンブルなどの射幸行為で著しく財産を減らした場合
  • 破産手続きの申し立てをした日の1年前から開始決定の日までの間に、借金が返せないとわかっていながら無謀な借金をしたり財産を手に入れる行為
  • 関係書類を偽造したり、隠ぺいしたりする行為
  • 債権者名簿等を偽って提出する行為
  • 破産手続きの調査をする裁判所に対して虚偽の証言をしたり、証言を拒否したりする行為
  • 手続きにおいて、不当な手段で業務を妨害する行為
  • 過去に免責許可を受けた日から7年を経過していない
  • 過去に給与所得者等再生の再生計画を遂行したことがあり、再生計画認可決定がされてから7年を経過していない
  • 民事再生法第235条第1項の免責を受けたことがあり、その再生計画認可決定がされてから7年を経過していない
  • 第40条第1項第1号、第41条または第250条第2項に定められている義務などに違反する行為

このなかで、気になるのは「極端な浪費やギャンブルなどの射幸行為」という点ではないでしょうか?

競馬はギャンブルにあたります。

単純に考えると、ギャンブルが原因による借金は、自己破産しても免責許可が下りないということになるのです。

免責許可が下りないということは、借金の返済義務がなくならないということになります。

「そんなの困る!」と思われた方も多いのではないでしょうか。

どうあっても、競馬が原因の借金は免責されないのでしょうか?

競馬が原因による借金でも免責が許可される場合がある?

上記でご紹介した通り、原則では、競馬などのギャンブルが原因となる借金は免責不許可事由となり、免責許可が下りないケースが多いです。

しかし、すべてのケースで免責許可が下りないかというとそうではありません。

裁判所では、一定の事情等を考慮し、免責不許可事由に該当する場合でも、免責を与えても問題がないと判断をする場合があるのです。

これを裁量免責といい、その名の通り、裁判時の裁量に任されている部分でもあります。

自己破産を申し立てている人の家族状況や、生活環境、例えばギャンブル依存症であるならば、その治療を率先して行っているなど改善へ向けた取り組みなどを総合的に鑑みて免責許可を判断するのです。

そのため、競馬が原因による借金の場合でも「どうせ免責許可下りないし…」とあきらめる前に、一度は弁護士など専門家に相談してみましょう。

免責されても対象外となるものもありますので注意!

自己破産をし、免責をされると借金は一度チャラになりますが、支払いをしなくてはいけないものすべてがチャラになるわけではありません。

以下のようなものは、免責の対象とはなっていませんので注意しましょう。

  • 税金
  • 親族間(夫婦含む)の扶養義務に基づいた生活費など
  • 子どもの養育費
  • 労働者に対する賃金など
  • 罰金
  • 犯罪等の損害賠償金   など

自己破産できたから税金も払わなくてよくなった!ということはありません。また、扶養親族に対しての扶養義務はなくなりませんので生活費や養育費は支払う必要があります。

自己破産以外にも…様々な債務整理の方法があります

自己破産はある意味最終手段と言えます。

特に、住宅や車を所持している場合、それらも没収されてしまう可能性が高く、その後の生活がままならない…なんていう事態にもなりかねません。

それでは、自己破産以外にも、何か方法があるのでしょうか?

裁判所を介さない任意整理を選択する人も増えています

返済が難しい借金を何とかしたいけど裁判所にまで行くなんて…と思われる方が多く、そういった方が債務整理をする手段として任意整理を選ぶ方が増えています。

任意整理は、自己破産のように裁判所に行く必要もありませんし、官報に掲載されることもありません。ただし、信用情報機関の情報には登録がされるので注意しましょう。

また、任意整理をするものとしないものを選択することができ、例えば、消費者金融のカードローンだけ任意整理して、住宅ローンなどはそのままということも可能となっています。

任意整理は、特定の業者と直接返済などについて話し合いを行い、基本金利をカットして元本のみの返済をしていく方法です。期間は大体3年程度となります。

そのため、失業などにより収入がなくなってしまった方の場合、任意整理は難しいと思っておきましょう。

また、任意整理と似た方法で「特定調停」というものがあります。これは、裁判所を通して債務者と債権者が協議を行い、返済計画を練り直すものです。

住宅を手放したくない場合は個人再生という手もあります

自己破産の場合、持っている財産の多くは処分されてしまいます。特に住宅などは手放さなくてはいけないことがほとんどです。

しかし、今住んでいる住宅を手放すのはなかなか難しいですよね。そういった方が債務整理をする方法としては個人再生があります。

個人再生は、裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に減額して返済していく方法です。期間は大体3年程度となります。

個人再生の最大の利点は住宅を残すことができるという点ですが、競馬などギャンブルによる借金をどうにかしたい!という方にはもう一つ利点があります。それは、個人再生の場合は、免責がないので、ギャンブルによる借金でも認められる可能性があるということです。

ただし、裁判所に申し立てを行う時に、返済計画(再生計画)を提出する必要があり、借金はチャラになりません。

自己破産に陥ってしまう前に…出来る事をやりましょう!

ここまで、競馬が原因でした借金が返せなくなったときにとれる手段をご紹介してきました。

自己破産の場合は、免責許可が下りるか下りないかが最大の焦点となりますので、自己破産を決意した時点で弁護士など専門家とよく相談するようにしましょう。

相談するときは真実をきちんと話すことが重要!

ギャンブルでは免責許可が下りないことがある…と聞くと不安で、借金の理由などにウソをつきたくなってしまうかもしれません。

しかし、弁護士や裁判所に対してウソをつくのは絶対にやめましょう。

自己破産の際には、弁護士からも裁判所からも詳しく原因や日ごろの生活などについて聞かれますし、その時にウソをついてつじつまが合わないことを発言してしまうと、追及されてしまいます。

真実でない証言は、先ほど挙げました通り免責不許可事由となりますから、結局借金がなくならないという事態に陥りかねません。

きちんと真摯に対応することが重要です。

競馬で作ってしまった借金はしなくてもよい借金です!

突然の失業で収入がなくなった…たまたま冠婚葬祭が重なり手持ちでは対応できなくなった…など不慮の事態でお金が必要となりキャッシングをする方もいらっしゃいますよね。

そういった方と、競馬でお金を使いすぎて借金をした…という方は全く別物です。

厳しい言い方になりますが、競馬でお金を使いすぎた故の借金は、本来する必要のない借金と言えます。

そのことをしっかりと自覚し、借金をどうにかしたい!と思ったらまずは競馬との向き合い方も考えていきましょう。

自己破産が出来て一度借金がチャラになったとしても、また再び競馬でお金を借りる行動をとれば、同じことです。

借金が返済出来ない…自己破産しかない…となる前に、競馬を控えたり、生活環境を見直したり家計を整理したりなど出来ることはあるはずですから、まずはそちらから取り掛かるようにしましょう。

閉じる
閉じる