滞納・未払い・差し押さえ

株の借金は自己破産できない?株で借金した時の自己破産の流れ

あなたは株取引などは行っていますか?同じようなものでは株以外にもFXをしている方もいらっしゃるかもしれませんね。

株取引は本来は株価の上昇によって利益を生み出し、お金を増やすという「自分の資産を増やすため」に行うものですが…

株の取り扱い方によっては、株価の下落などにより損失を出してしまうこともあります。

そのようにして、もしも大きな金額を損失してしまった場合、株による借金での自己破産は可能なのでしょうか?

ギャンブルが原因の自己破産は不可能なことが多いので、株ではどうなのか?というのは気になるところですよね。

今回の記事では株による借金は自己破産は可能なのか?ということについて紹介していきましょう。

株取引が原因の借金は自己破産することは可能

それでは早速紹介していきましょう。まず、株取引によってできてしまった借金は、自己破産を行って0円にすることは可能なのでしょうか?

答えは、ケースによっては「可能」です…株取引で作ってしまった大きな借金は、自己破産をしてなくすことができます。

しかしながら、「え?株で借金ってできないんじゃない?」という疑問を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに株を現物取引という方法で行っている方は、借金はできませんので、安心してください。

現物取引の場合は、自分が所有している資産が減ったりなくなったりして最終的に0円になるだけで、マイナス…つまり「借金」にはなりません。

借金になる可能性があるのは、「信用取引」という方法で株取引を行っている場合です。

株取引で借金を作る可能性があるキケンな信用取引とは?

信用取引は、手元にあるお金を担保にして証券会社からお金を借り、担保の3倍の金額で取引を行うことができる方法です。

つまり、手元に60万円ある場合は、その60万円を保証金(担保)として借金をして、180万円という金額で株取引を行うことができる、という方法になります。

証券会社からお金を借りる…という方法を見ての通り、信用取引は「借金」と深く関わります。

信用取引は利益が出れば、利益も3倍となりますが損失が出た場合は、保証金分プラス損失分も、証券会社に支払わないとならない事態となります。

損失分が出たところでやめておけば良いのですが、パチンコや競馬などのギャンブルのように、「次回頑張れば、大きな金額が稼げて損失分も取り戻せるのではないか?」…

と何度もお金を借りては取引をしているうちに、借金が膨大に膨らんでしまい、自己破産をしなくてはならないような状況に陥ってしまう方がいらっしゃいます。

もしも信用取引で株取引をしている場合、マイナスの損失分が出てしまったらそこで取引をやめ、「株取引以外の方法で」損失分をマイナスからゼロへ戻してから取引を再開するようにしましょう。

株取引での借金はどうやって自己破産したら良い?

それでは、もしも株取引での損失分を取り戻すことができずに、借金が大きく膨らんでしまった場合…

自己破産をするにはどのように手続きをすれば良いのでしょうか?自己破産を行うには、以下のような方法を取ります。

  • 借金問題などに詳しい弁護士に相談する
  • 自己破産の手続きのための正式な契約をする
  • 弁護士は裁判所へ依頼者の自己破産の申し立てを行う
  • 破産審尋などを経て問題がなければ免責確定となる

免責確定…とはつまり「借金がなくなる」ということです。免責確定となるためには、いくつかの条件が必要となり、条件に当てはまらない場合は免責確定とならないこともあります。

免責確定とならない場合にはどんなものがある?

免責確定とならない場合、自己破産の申し立てをした方が「免責不許可事由」に当てはまる場合が考えられます。

免責不許可事由とは、そもそもどんなものなのでしょうか?…免責不許可事由とはつまり、「このような条件に当てはまる場合は、免責確定となりませんよ」というような取り決めのことです。

これは「破産法」の第252条1項にて定められている、れっきとした法律であり、例えば以下のようなことが決められています。

  • 持っている財産を隠したりウソの申告をした
  • 管財人弁護士(財産の調査をする人)の調査に非協力的だった
  • 自己破産をするのを前提に信用情報を偽って借金をした
  • 管財人弁護士などの調査の邪魔をした、暴力などをふるった
  • 株取引やギャンブル(射幸行為)などが原因の借金

免責不許可事由の中に「株取引などが原因の借金」が入っているじゃないか!…と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしながら最初に記載した通り、株取引などが原因で大きな借金をしてしまっても、免責許可をおろせる方法があります。

株取引が原因の借金でも大丈夫なの?裁量免責とは?

「裁量免責」とは、破産法第252条の第2項に定められている法律で「免責不許可事由に当てはまる場合でも、その人の事情などを考慮して免責確定を許可することができますよ」というものです。

この法律がなければ、ギャンブルなどで借金などが膨らんでしまって自己破産する人は、だれも免責確定とならない…ということになってしまいますので、とても大事な法律です。

しかしながら、この「裁量免責」を適用させてもらうには、以下のような条件がありますので注意が必要です。

  • 借金の原因となった株取引のことをキチンと反省しているのか?
  • 借金の原因になった株取引はやめたか?
  • 借金を少しでも返そうという気持ちがあり職などに就くか就く努力をしているか?

自己破産は、弁護士に相談したら終わり、裁判所に行けば終わり…というような簡単なものではなく、免責確定という結果がおりるまでには最長で1年間という長い時間がかかることもあります。

また、手続き中には財産の調査や反省文を提出しなければならないなど、少々面倒な手続きも多くあります。

自己破産しなくても良いならそれが一番ですが、いざ自己破産をする…となった時は、免責許可がおりるよう、自分の環境を正直に申告し、反省するようにしましょう。

株が原因の借金は自己破産できる!が株取引は慎重に楽しもう

株取引でできた借金は、自己破産でなくすことはできるのか?ということについて紹介してきましたが、いかがでしたか?

株取引による借金は、厳密には「免責不許可事由」に該当するため、一般的には自己破産によって借金をなくすことはできません。

ですが、「裁量免責」という法律を通せば、免責許可がおりることも多くあります。

免責許可をもらうためには、まずは株取引で借金を作ってしまったことを反省していること、また株取引から手を引いていることなどが挙げられます。

その他、弁護士や裁判官の質問にはウソ偽りなく答え、誠実な対応を心がけましょう。

しかしながら、そうしても免責許可がおりなかった…ということも残念ながら稀にあります。

そのような場合は、免責不許可の告知を受けた日から1週間以内に、「即時抗告」の申し立てを行いましょう。

「即時抗告」とは、高等裁判所でもう一度、免責許可の判断をし直してもらうことです。

または、自己破産以外の債務整理の方法を試してみる、という方法もあります。自己破産以外の方法、というと以下のようなものがあります。

  • 個人再生
  • 任意整理


とくにこの2つの方法に関しては、免責不許可事由の適応外なので、借金の原因が株でも気にすることはありません。

…たとえ自己破産が実現できなくても、株による借金を解決できる、いくつかの方法があります。

もしもあなたが株で大きな借金を負ってしまった場合…まずは専門の弁護士などに相談をするところから始めてみてください。

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