滞納・未払い・差し押さえ

FXで失敗し借金までしてしまった…債務整理は出来るの?

FXという言葉が一般的に知られるようになって久しいですが、FXといえば、ハイリスクハイリターンというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

事実、FXが原因で借金をしてしまったという方は後を絶ちません。

借金の金額も、とても高額になったというケースも多いですし、FXの失敗が原因で家族と離れる事になったり、その後のライフプランが大きく狂ってしまった…という方もいらっしゃいます。

では、FXに失敗し借金をしてしまった場合、一体どのようにすればよいのでしょうか?

FXで失敗して借金…どうしてこんな事態になってしまうの?

FXと言えば、失敗すると借金まっしぐら…と言われることも多いですが、実は純粋にFXが原因で借金地獄に陥ってしまうという確率は低いのです。

では、FXで失敗して借金をしてしまうような事態になるのはどうしてでしょうか?

FXがどういったものかをいま一度確認しておきましょう

そもそもFXはどういったものかというと「外国為替証拠金取引」で、その名の通り、外国為替取引と証拠金取引が融合したものとなっています。

外国為替取引は、よくテレビで1ドル=○○円と言われるようなもので、国と国との通貨を交換して行われる取引のことです。

例えば、1ドル=100円のときにドルを買っておいて、1ドル=120円となった時にドルを円に交換すると20円の利益となります。

証拠金取引は、FXを取り扱う業者の口座に証拠金を預け入れそれを担保に預け入れたお金の何倍もの金額の取引ができるようになることです。

レバレッジと言い、日本では最大25倍まで取引ができるようになっていて、例えば証拠金を10万円預けた場合、レバレッジが25倍だとすると250万円までの取引が可能ということになります。

このレバレッジにより、FXは少ない投資で大きな利益をもたらすことができると言われていますが、逆に考えると、レバレッジが大きければ大きい程、損をしたときの金額が大きくなると言えます。

以下の表をご覧ください。

※10万円を証拠金とし、1ドル=100円の時から始めた場合の例

レバレッジ1倍の時 レバレッジ25倍の時
10万円(±0円) 1ドル=100円 250万円(±0円)
12万円(+2万円) 1ドル=120円 300万円(+50万円)
20万円(+10万円) 1ドル=200円 500万円(+250万円)
8万円(-2万円) 1ドル=80円 200万円(-50万円)
7万円(-3万円) 1ドル=70円 175万円(-75万円)

このように、10万円で取引するのと、レバレッジ25倍で取引するのでは利益も損失も大きな差があることが分かりますよね。

20円下がるだけでレバレッジ25倍だと50万円の損失が出る事になり、証拠金を超えたマイナスとなってしまうのです。

また、FXの取引の中にはスワップポイント(通貨間の金利差)を受け取る方法もあります。

FXは「強制ロスカット」が働くため直接借金には繋がりにくい

簡単にFXについておさらいしましたが、レバレッジが高い程、利益も大きいけれど、損失も大きいということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

では、損失が大きい分、FXは借金しやすいのかというと実はそうでもありません。

日本の多くのFX取引業者では「強制ロスカット」を採用しているからです。

強制ロスカットとは「損切」のことで、マイナスとなった時に証拠金よりも大きな損失になる前に強制的に決済を行います。これにより、業者も当人も大きな損失を被るリスクを下げることができるのです。

また、大きな損が出そうなときには警告が出されます。その時に速やかに損切することが出来れば、元本がなくなってしまうことはあっても、マイナスとなってしまうことはそうはありません。

FXで借金をしてしまう大きな原因は2つ!

こうしてみるとFXは比較的リスクが低いと考えることも出来そうですが、どうしてFXが原因で借金をしてしまうのでしょうか?

その原因は大きく2つあると言われています。

  • ロスカットが間に合わない
  • 借金をしてまでFXに傾倒してしまう

まず1つ目のロスカットが間に合わないという点についてですが、システムの都合や、金融情勢の急激な変化などが原因で、強制ロスカットが間に合わないという事態が起こることがあります。

刻一刻と変化しますので、タイミングが少し遅かっただけで損も大きくなってしまう可能性があるのです。

その結果、口座がマイナスとなってしまい、それが借金へとつながることがあります。

また、FX自体では借金になりにくくても、取り返せると思って証拠金を借金して預け入れる方もいらっしゃいます。

まず消費者金融等に借金をし、それを元手にFXをしようと考えたり、含み損の補てんのために借金してしまったり…といずれ取り返すことを前提で借金してしまうのです。

しかし、実際には事態が好転することなくロスカットとなってしまって、借金だけが残ってしまった…なんていう事態になってしまうこともあり得ます。

このような状況により、FXが原因で借金をしてしまい、日々の生活もままならなくなってしまう…という状況に追い込まれてしまう方がいらっしゃるのです。

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ご注意をFXが理由の借金だと免責が下りない可能性があります!

FXの失敗が原因で借金をしてしまい、もうにっちもさっちもいかなくなってしまったら…アナタならどうしますか?

「自己破産したい!いったん借金をすべてなしにして再スタートを切りたい!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ご注意ください。

実はFXが原因の借金だと借金がチャラにならない可能性もあるのです。

自己破産のときに免責許可が下りないと借金は無くならない!

自己破産は借金もちの最終手段で、申し込みをしたら誰でも借金を0にすることができる!と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

確かに、自己破産は持っている大きな財産などを手放すこと、官報に掲載されることの代わりのように借金を0にすることができると認識されている方が多いのですが、実は、自己破産を申請したからと言って、誰もが借金がなくなるわけではないのです。

自己破産は裁判所に申請します。

この時、免責の許可が下りれば借金を0にすることが可能です。

しかし、中には免責不許可事由として定められているものがあります。

この免責不許可事由に当てはまる事柄については、免責が下りない可能性があるのです。

FXが原因の借金は免責不許可事項に当てはまってしまう?

免責不許可事由は、いくつかあります。

その中の一つに「浪費やギャンブルなどの射幸行為が原因で財産を失ったり、借金をしてしまった場合」という決まりがあるのです。

FXは投資だから関係ないでしょ?と思われたかもしれませんが、FXは射幸行為に当てはまります。

そのため、FXが原因の借金は、免責不許可事由に当てはまってしまうということになるのです。

免責不許可事由に当てはまる場合、自己破産をする際に管財人が付くことがあります。

この管財人は、自己破産を申請した人の財産を調べて債権者に分配したり、免責について裁判所に意見をしたりする人です。

通常の自己破産よりも手続きが複雑になります。

裁判所の判断により免責許可が下りることもあります!

FXが原因の借金で自己破産してイチから出直した!という話を見聞きしたことがあるのに、免責不許可事由に当てはまるなんて…と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

実は、免責不許可事由に当てはまったとしても、場合によっては免責許可が下りることがあるのです。

先ほどご紹介した管財人が免責許可についての意見を裁判所に報告することも有ります。

借金の原因について真摯に述べ、これからの立て直し計画をきちんと立て、さまざまな状況を総合的に見たときに、裁判所が「免責許可を出しても良い」と判断することがあるのです。

これを「裁量免責」といいますが、裁量免責を勝ち取るためには自己破産を申請するときにきちんと準備をしておいた方が良いでしょう。

出来るならば弁護士など専門家に相談した方が無難です。

自己破産まではという場合、他の債務整理も検討してみましょう!

FXが原因で借金はしてしまったけれど、自己破産まではしたくない!けど借金返済がつらい…という場合は、他の債務整理を検討しても良いかもしれません。

債務整理は自己破産の他に

  • 任意整理
  • 特定調停
  • 個人再生

があると言われています。

自己破産の場合、マイホームなどの財産を手放す必要がありますが、上記の方法の場合はマイホームを残すことも可能です。

裁判所を通さずに借金を減らす方法として任意整理がある

自己破産のように裁判所は通したくないけれど、少しでも返済が楽になればありがたい…と考えている方も多いようです。

そのような方の場合、任意整理という方法もあります。

任意整理は、それぞれの債権者と話し合いを行い、金利や返済額などの見直しを行い、双方が合意すれば、借金を減らすことができます。

それぞれの債権者と個別に話し合いを行うので、A社とは任意整理をするけど、B社とはしない…という選択も可能です。

ただし、自己破産とは違い借金は0円となりませんので、返済は今後も続きます。

特定調停は裁判所を通して返済について見直します

任意整理と同じようなものですが、裁判所を通して返済について見直しを行うのが特定調停です。

債務者が、簡易裁判所に申し立てを行い、調停をします。

この時、利息の引き直し計算をしたり、今後の返済についての話し合いを裁判官・調停委員を交えて行うのです。

調停が成立すれば、あとはその内容に沿って粛々と返済を行いましょう。

マイホームを手放したくない…個人再生を考える

任意整理や特定調停では多くの場合、元本の返済は行わなくてはいけません。

しかし、場合によっては元本分の返済すら難しい…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その場合、自己破産…という選択肢が出てくるわけですが、自己破産をすると、マイホームをお持ちの方は手放さなくてはいけなくなりこれからの生活に多大な悪影響を与える事になります。

マイホームは手放したくないけど、借金の返済を最小限にしたい…という場合、個人再生という手続きを取る方法も選択肢として覚えておくとよいでしょう。

個人再生は、裁判所に申し立てを行う必要があります。個人再生委員との面接を行い許可が下りれば、借金を大幅に減らすことができるのです。

大体の目安としては借金の額は1/5程度、返済は原則3年以内に行っていくことになるでしょう。

同じ過ちを繰り返さないように努力することが大切です!

いかがでしたでしょうか。

FXの失敗が原因で借金をしてしまい、返済が難しくなったときに行える対応をご紹介してきました。

債務整理の前に、自分の生活を振り返ってみましょう!

もちろん、このような事態になる前に、きちんと返済をしていくことが大切です。

借金は別に誰かに強制的にされたわけではなく、アナタが自ら行った行動の結果なので、安易に「債務整理すればいいや」という結論に至ってほしくはありません。

まずは、これまでの自分の生活をしっかりと振り返ってみましょう。

不要な出費は避け、出来るだけ返済に回すようにすることも大切ですし、収入を増やす為にどうすればよいのかというのを考えるのも大切です。

様々な方法を模索しても返済が難しい…という場合に債務整理という選択肢があると思っておいてくださいね。

同じことを繰り返さないためにFXとの付き合い方も考えよう

自己破産を行い、借金を0円にすることが出来たとしても、またFXに手を出して借金をしてしまっては元の木阿弥です。

再びFXに手をだし、失敗し、返済が難しいから自己破産を~と思っても、次はそんなに簡単にはいかないと自覚しておきましょう。

FXは先ほどもご紹介した通り、免責不許可事由に当てはまります。1度目の自己破産の場合はまだ裁量免責が受けられる可能性もありますが、2度目となると、免責不許可と判断される可能性は非常に高いです。

また、債務整理をした時点で、一定期間は借金は難しい状況になりますので、「さぁFXを再開しよう!」と思わずにまずは生活をきちんと立て直すことを最優先しましょう。

FXや株などはあくまでも余剰金で行うことがセオリーです。生活費を使ってしまったり、借金をしてお金をつぎ込んでも決して良い結果が待っているとは言えないのです。

FXで作った借金をFXで取り返そう!と思って再チャレンジされる方も中にはいらっしゃいますが、同じ轍を踏まないためにまずどうしたらよいのかというのをきちんと考えていくことが大切ではないでしょうか。

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