所得税を滞納してしまった!差し押さえされないための対処方法
個人事業主としてお仕事をしている場合、高い所得税で悩まされることもありますよね。
所得税を滞納していると財産を差し押さえられる可能性もあります。こうなると資金繰りがさらに苦しくなってしまい倒産する可能性が大きくなります。
倒産しないためにも差し押さえは絶対回避したいですよね。
きちんと支払いたいという意思がある場合は「納税緩和措置」を受けることができます。
滞納から差し押さえまでの流れについて、差し押さえを回避するための「納税緩和措置」について解説します。
所得税滞納から財産差し押さえまでの流れ
所得税は滞納しだしてからどのくらいで財産を差し押さえられてしまうのでしょうか?
いつ差し押さえられる?滞納から財産差し押さえまで
所定の期日までに所得税を支払わなかった場合、50日以内に督促状が郵送されてきます。この督促状には延滞税が追加された支払い金額がかかれています。
督促状の前後で税務署から電話や訪問での催促がある場合もあります。10日以内に所得税を納めなかった場合、差押予告書が送られてきます。
差押予告書が送られてきた場合はいつ財産の差し押さえが行われてもおかしくありません。
つまり、滞納してから財産の差し押さえがが可能になる約2ヶ月の間に対応しなければならないことになります。
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差し押さえられるもの
預貯金だけでなく自動車や不動産なども差し押さえの対象となります。
預貯金は差し押さえの限度額がないため全額差し押さえられます。
ですが、キャッシュカードや通帳自体が取り上げられるわけではなく、口座が凍結するわけでもないので差し押さえされた後も口座自体は通常通り利用することができます。
また子ども手当などが預金に含まれていた場合には子ども手当の差し押さえは法律で禁止されているためその金額分は差し押さえが行われません。
その他、生活に必要な家具、家電や仕事に必要なもの(パソコンやプリンター、飲食店であれば冷蔵庫などの設備)は差し押さえの対象とはなりません。
ですが、高級な家具や大型のテレビ、自身が経営している店の商品など競売で換金できるものは差し押さえられる可能性があります。
差し押さえの対象となるのは債務者(滞納している人)の名義の財産だけになりますので、家族の財産が差し押さえられることはありません。
もし間違えて債務者以外の家族の持ち物を差し押さえられてしまった場合には異議申し立てをして差し押さえを無効にしてもらうこともできます。
債務者の家に行ったけれど差し押さえられるものがない場合には基本的に差し押さえはできません。「不納欠損」となり時効と同じ扱いになります。
故意に差し押さえられる可能性がある財産を隠したりした場合は「滞納処分免脱罪」という刑事罰に問われますので注意してください。
延滞税の利率について
所得税を滞納していると延滞税が加算されていきます。
この延滞税は滞納し始めてから2ヶ月以内は原則として年利7.3%、2ヶ月以上であれば原則として年利14.6%です。
消費者金融と変わらないくらいのかなり高い金利ですよね。
ですが、この金利はあまりにも高いため平成26年度以降、特定基準割合という金利が適応されるようになりました。
この特定基準割合は毎年変わっていくため、何年度分を滞納しているかによって金額もかわってきます。詳しい金利は国税庁のホームページでご確認ください。
特定基準割合の場合も2ヶ月を超えると延滞税の金額が大きく変わってしまうので早めの支払いを心がけたいですね。
また延滞税は単利です。単利の場合は元本のみに金利が加算されるため延滞税自体に延滞税が加算されることはありません。
「納税緩和措置」で納税できるようにしてもらおう
どうしても支払いが難しい場合には財産の差し押さえが行われる前に管轄の税務署などに相談してください。
相談することで「納税緩和措置」を受けることができます。
延納について
所得税を期日までに2分の1納めている場合は5月31日までの期間、納税を待ってもらうことができます。
確定申告する際に「延納の届出」いう欄に納税額の半分の金額を記入しておくだけで残りの金額を約2ヶ月半の間先延ばしできます。
延納の届け出をした場合、延滞税は発生しません。かわりに利子税が加算されます。5月31日までの延滞期間の利率は平成30年度は年利1.6%です。
延滞税よりかなり低く設定されていますので、支払いが難しい場合にはまず延滞の届出をしましょう。
「納税の猶予」について
「納税の猶予」は所得税を分割で支払うことができる制度です。この猶予期間中は延滞税が減額されたり、場合によっては免除されたりします。
納税の猶予は誰でも受けられるわけではなく、下記の条件に当てはまる場合に受けることができます。
- 震災などの災害や盗難にあった場合
- 生計を共にしている親族が病気や怪我をしている場合
- 事業が廃止、休止になった場合
- 期限から1年以上経った後に修正申告などで税金額が確定した場合
条件に当てはまる場合には「納税の猶予申請書」を提出して納税の猶予を受けましょう。
納税の猶予を受ける場合には原則として担保が必要です。
ですが、「金額が100万円以下」「猶予期間が3ヶ月以内」「担保となるものがない、提供できない特別な事情がある」といった場合には担保は必要ありません。
審査後、猶予に該当すると認められると差し押さえを受けることはありません。
原則この猶予期間は最長1年とされています。税務署の担当の人と話し合い無理のない範囲で支払いの計画を立てていきましょう。
また、1年で支払いきれない場合にはもう1年延長することもできます。
分割納付の延長が認められるかは滞納している金額や会社の規模にもよりますので税務署の担当の人に相談してみてください。
換価の猶予について
換価とは差し押さえたものを競売で換金することを指します。
「換価の猶予」とは差し押さえたものを換金せずに分割で支払うことを認める制度です。
この猶予を受けている間は新たに財産を差し押さえられたりすることはありません。
換価の猶予は「納税に対して誠実な意思を持っている」「換価によって生活や事業の維持が難しくなる」場合に認められます。
分割で支払いが行える収入があることも換価の猶予をうける条件の一つとなります。
申請書は早めに提出
猶予を受けるためには納付期日から6ヶ月以内に申請書を提出する必要があります。
ですが、猶予が認められたとしても申請書を提出するまでの期間に発生した延滞税は軽減されません。
延滞税の軽減は申請書を提出してから適応されます。早めに提出することで高い延滞税の支払いを回避しましょう。
きちんと対処することで差し押さえを回避!
滞納してしまいそうなときはまず税務署の担当窓口などに相談してください。
督促状を無視していても高い延滞税が加算されたり、財産の差し押さえが行われたりといいことはありませんし状況は改善されません。
電話で税務署に相談することもできますが、実際に税務署に行き担当の人と納付の計画を立てましょう。
「納税緩和措置」を受けるために担当の人の理解は非常に大切です。
無理のない範囲で分割納付を認めてもらい、差し押さえを回避しましょう。