国民年金の保険料の保険料が払えない!免除のための条件とは
国民年金の保険料が免除になる場合があることをご存知ですか?
所得の低下や失業など、年金保険料の支払いが経済的に困難な時に利用できる、支払いの免除制度があるんです!
しかし、申請で認められるためには一定の条件を満たす必要がありますし、免除された場合には将来もらえる年金額が支払った場合よりも減額されます。
それでも、免除を受けずに年金保険料を滞納して未納とするよりは、多くの金額を将来受け取ることができます。
免除はどういう人が対象になるの?
国民年金の加入者は、パート・アルバイト等の仕事をしており自身で年金保険料を収めている「第1号被保険者」と、会社勤めをしていて厚生年金に加入しており給与からの天引きで年金保険料を収めている「第2号被保険者」、そして第2号被保険者の配偶者で扶養対象となっている「第3号被保険者」とに分類されます。
日本年金機構のHPによれば、年金保険料免除の種類は以下の2つとなっています。
- 保険料免除制度
- 失業による特例免除
サラリーマンは関係ないかというとそうでもなく、失業時には第1号被保険者となります。その時に適用できる可能性がある制度が、二点目の「失業による特例免除」となります。
なお、日本年金保険機構のHPを見ると、「学生納付特例制度」というものも記載されています。しかしこれは、年金保険料の支払いを免除するものではなく猶予するものです。猶予ですから後で未払い分をしっかり払う必要があります。
何も手続きをせずに年金保険料を支払わなかった場合は「未納」という状態になり、未納期間に応じて将来受け取れる年金受給額が下がります。免除が認められた場合でも、年金保険料を全期間支払った状況に比べれば年金受給額は下がります。
それでも、未納と比べれば将来受け取れる年金額は増えるのです。
もし「未納」状態が非常に長く続いた場合には、年金を一切受け取れないということにもなりかねません。年金保険料の納付期間が10年を下回ると年金を受け取る資格が得られなくなります。年金保険料を納付した期間を年金受給資格期間と呼び、年金受取り額の計算に利用されます(期間が長いほうが当然多くの年金をもらえます)。免除が認められた場合には、免除された期間も年金受給資格期間として期間算入されます。
免除をうけた場合にもらえる年金はどれくらい?
第1号被保険者の場合、国民年金は毎月払う保険料はいくらで、もらえる年金額はいくらなのでしょうか?
保険料の支払い免除は、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4段階となっています。保険料の支払いが免除となった場合は、免除の段階に応じて受給できる金額が変わってきます。各免除の段階と、免除された期間に関する年金受給額は以下の通りとなります。
半額免除6分の8
免除の割合 | もらえる年金の割合 |
---|---|
全額免除 | 2分の1 |
4分の3免除 | 5分の8 |
4分の1免除 | 7分の8 |
この「もらえる年金の割合」を使った基本的な計算式(年額)は以下の通りとなります。
受け取れる年金額 = (保険料を支払った月数÷480)× 年金支給額 + (免除の月数÷480)× 年金支給額 × もらえる年金の割合
40年は480ヶ月ですから、上記式の分母は480となっています。年金支給額の部分は2018年度であれば779,300円となります。
例えば、免除が認められ40年間まったく保険料を支払わなかった場合は
( 0 ÷ 480 )× 779,300円 +( 480 ÷ 480 )× 779,300円 × 2分の1
となりますので、年額にして半額の389,700円が受け取れます(100円未満四捨五入)。10年間の全額免除なら
( 360 ÷ 480 )× 779,300円 +( 120 ÷ 480 )× 779,300円 × 2分の1
となり、681,900円ほどの年金を受取ることができます。もし、この免除10年間を未納としてしまった場合は、
( 360 ÷ 480 )× 779,300円
となり、584,500円ほどの受取ですから、きちんと手続きしたほうがお得なことがわかりますね。
所得が一定額を下回る場合の免除
免除制度を利用するためには、どのような条件を満たせばいいのでしょうか?
免除制度を利用するためには、本人・世帯主・配偶者それぞれにおいて、前年所得が以下の範囲内であることが条件となります(本人、世帯主、配偶者全員が満たす必要があるということです)。
なお、1月から6月の間に申請を行う場合には、前々年の所得が審査の対象となります。
半額免除118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
免除の種類 | 所得の基準 |
---|---|
全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 |
4分の3免除 | 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
4分の1免除 | 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 |
扶養親族等控除額は38万円が基本となります。しかし、扶養家族の年齢によっては以下の通りとなります。
70歳以上の扶養親族48万円
区分 | 控除額 |
---|---|
16歳以上23歳未満の扶養親族 | 63万円 |
社会保険料控除額等は支払う社会保険料等により変わります。源泉徴収票や確定申告の申告内容をご確認ください。
なお、所得=収入ではありませんのでご注意を。給与所得者を例にとると、月給や賞与などの収入から、経費として認められる給与所得控除額を差し引いた金額になります。例えば年収180万までは40%(65万に満たない場合は65万)が控除されますので、年収が免除基準の金額を越えていても、所得が範囲内であれば認められる可能性があります。
失業による特例免除は少し違う
失業による特例免除の場合も所得の基準は同じですが、一つ異なる点は「世帯主・配偶者」が所得審査の対象になるということです。
つまり、本人の所得は対象となりません。
突然の失業となった場合、第1号被保険者として年金保険料を払わなければなりませんが、当然収入が途絶えたわけですから支払いが厳しくなることもあります。しかし、免除は「前年の年収」で審査が行われますから、本人を含めてしまうと失業前の所得で評価することとなってしまいます。支払いが厳しいのは失業した今ですから、本人の所得は評価に加えないわけです。
失業による特例免除の場合には、
- 雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し
- 事業の廃止を証明するもの(個人事業主の開廃業届出書など)
を国民年金保険料 免除・納付猶予申請書とともに提出する必要があります。詳しくは日本年金機構のHPで確認するとともに、お近くの年金事務所などで相談して必要な書類を揃えましょう。
しっかりと手続きをして老後への備えを!
年金保険料を未納のままにしておくと
- 将来の年金(老齢基礎年金)を受け取れない場合がある
- 障害基礎年金や遺族年金が受け取れない場合がある
といったことが考えられます。年金というと、「老後に受けとるお金」というイメージがあるかと思います。
国民年金においては老齢基礎年金が老後に受け取るお金となりますが、他にも障害による収入の減少をカバーするための障害基礎年金や、死亡の際に遺族の生活を支えるための遺族基礎年金があります。
しかし、初診日や死亡日の前々月までの1年間に未納があると障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されません。
国民年金は将来の備えだけではなく、もしもの場合にも支えとなる制度です。支払いが経済的に困難な場合も、未納のままとせず免除制度の利用を検討しましょう。
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