滞納・未払い・差し押さえ

国民年金を払わないと実際はどうなるの?将来の不安

国民年金という言葉は知っているけれど、漠然としたイメージだけで詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。

中には、「将来年金制度は破たんするから年金保険料は支払わない方が得だ!」という意見をそのまま鵜呑みにしていらっしゃる方もいるかもしれません。

これは事実なのでしょうか?

「国民年金保険料を払わない」とすることができるのでしょうか?

今回は、国民年金保険料を払わない場合、一体どのような未来が待っている可能性があるのかについて調べてみました。

国民年金を払いたくない!とお考えの方、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。

原則として国民年金保険料を払わないという選択肢はない!

年金制度が破綻するかも…という話が出たときに「破綻するなら国民年金保険料を支払いたくない」と考えた方も少なくないのではないでしょうか。

では国民年金保険料は、任意で支払いを決められるものなのでしょうか?

国民年金は加入する義務があり保険料を支払う必要があります

国民年金は、日本の保険制度の柱の一つです。日本は国民皆保険という立場をとっていて、国民は公的保険制度に加入しています。

国民年金は、20歳以上60歳未満の日本に住む人は加入をする義務があり、年金保険料を支払わなくてはいけないのです。

日本国籍を有していなくても、日本に住む人としているのが特徴で、外国籍の方でも日本に住んでいるなら加入する必要がありますし、逆に外国で働いている日本人などは強制加入ではなく任意加入となっています。

なお、外国籍の方の場合は自国へ帰国するときに、手続きをすれば脱退一時金を受け取ることが可能です。

また、会社勤めで厚生年金の人は国民年金に加入してないじゃないかと思われる方もいらっしゃいますが、それは少し違います。年金は、国民年金が基礎となり、その上に厚生年金が積み重なっている構造になっているのです。

つまり、厚生年金に加入しているというのはイコール国民年金にも加入しているということに他なりません。

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国民年金が破綻する可能性が高いってホント?

国民年金の話題になると「将来破綻する」というフレーズを耳にすることがあります。

しかし、原則的には国民年金が破綻することは考えにくいです。

そもそも国民年金は相互扶助の考えのもとに成り立っていて、現在年金を収めている世代が、今年金をもらっている世代を支えています。

この仕組みの為、少子高齢化が予測される近い未来では、少ない若者でたくさんの高齢者を支えきれないから年金制度は破たんするといわれているのです。

ただ、国民年金は納められる年金保険料だけで対応しているわけではありません。

年金保険料の他にも、国からのお金(税金)やこれまでの積立金なども財源とされています。

また、給付の特徴として物価の上昇や下落に合わせた年金額が給付されるようになっていて年金額は常に一定というわけではありません。

もちろん、年金の給付額が減る時もありますが、さらなる長寿が予測される日本では、亡くなるまでずっと給付される年金制度はとても重要なものとなっていくことでしょう。

国民年金保険料の支払期間が足りないと将来年金がもらえません!

今現在年金に加入すべき年代なのに、年金保険料を払っていない!という方もいらっしゃるかもしれません。

そういった方は将来困ったことになるかもしれませんよ。

必要な加入期間に足りないと年金は給付されません!

国民年金は、20歳以上60歳未満の日本に住む人が加入することになっていますが、中には保険料を支払わないという方も少なからずいらっしゃいます。

また、以前は払っていたけれど、失業などの理由により払えなくなってそのまま払っていないという方もいらっしゃるかもしれません。

現在年金保険料を払っていないという方は注意が必要です。

なぜなら、国民年金の給付を受けるには必要な加入期間(国民年金をきちんと支払った期間)が必要となり、この期間に1日でも足りないと年金を1円も受け取ることができないからです。

年金の給付を受けるために必要な期間は10年となっています。

連続10年ではなく合算で10年となっていますので、万が一加入期間に加算されない期間が途中あったとしても、問題はありません。

ただし、加入期間が短いとその分給付される年金額も少なくなります。20歳から60歳になるまでの期間きちんとすべて支払わないと満額はもらえません。

既に支払いをしていない期間がある!という方は、過去2年分であればさかのぼって支払うことができますので検討してみてください。

悪質な滞納を繰り返すと…最終的に差し押さえられる?

国民年金保険料を滞納している…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

国民年金保険料を滞納した場合、いったいどうなってしまうのでしょう。

国民年金を払えるのに払わない方に対して厳しい姿勢をとっています

国民年金を滞納した場合、将来年金がもらえなかったり、もらえる年金の金額が下がったりするほかに、何かデメリットはあるのでしょうか?

国民年金を滞納すると、まずは年金保険料を納め忘れていませんか?というお知らせから始まります。それでも納められない場合、「支払いましょう」という督励が行われることになるでしょう。

また、日本年金機構では、国民年金を支払う能力があるのに支払いをしない方に対し、何度も支払いを促しているのに支払わない場合、強制徴収という形をとっています。

具体的には2018年の場合、控除後の所得が300万円を超える方は未納期間が7ヶ月を超えると、督促など強制徴収に向けて動き出しているのです。

強制徴収の流れは、まず、最終催告状を送付します。

  • 日本年金機構が通知する最終催告状とは…
    最終催告状は納付書と共に送られ、期限を指定し、それまでに未納分が納付されなければ財産差し押さえの滞納処分を行うことが記載されています。

最終催告状を送付してもなお期限までに年金保険料が払われない場合は、督促状を送付します。

督促状が届くといよいよ待ったなしの状態になります。督促状にも納付期限が示されていて、それまでに支払わないと、本人や連帯納付義務者の滞納処分(財産の差し押さえ)が始まります。

また、滞納処分が始まると延滞金も加算されますので支払う金額は更に大きくなるのです。

2017年4月~2018年3月までの強制徴収の実績を見ると、財産の差し押さえは14,000件以上行われていました。

国民年金保険料の支払いが難しいならまずは相談してみよう!

ここまでで、国民年金保険料を払わないままでいると年金がもらえなくなったり、最終的には財産差し押さえの可能性があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

給付される年金の半分は税金ですから、年金がもらえなくなるということは、その税金分ももらえないということになります。

これは明らかな損ですよね。

国民年金保険料は支払った方が良いのかも…と考えるきっかけになれば幸いです。

しかし、実際に年金保険料を支払いたいけど、収入が無くて支払えない!という場合はどうしたらよいのでしょうか。

経済的困窮が原因の場合は免除や猶予を受けられることも…

日本年金機構では、経済的困窮が原因で国民年金保険料を払うことが難しい場合、免除や猶予が受けられる可能性があります。

免除は、その名の通り、年金保険料の支払いが免除されますが、その間は未納とならず加入期間に加算され、かつ将来の年金額にも満額ではありませんが組み込まれます。

また、免除には全額免除の他、3/4免除、半額免除、1/4免除がありそれぞれは所得額で決定されます。

猶予は、年金保険料の支払いは今はできないけど数年たてば支払える…という場合に利用し、年金保険料の加入期間には加算されますが、将来の年金額に反映されることはありません。

そのため、猶予を受けた場合、その間の年金保険料を追納という形であとから払うとよいでしょう。

追納は10年以内という期間があり、3年度目以降は通常の保険料に一定額が加算されるので注意が必要です。

それぞれの対象者は大まかに以下のようになっています。

免除を受ける事が出来る人 ・失業した場合
・本人、世帯主、配偶者の前年度の所得が日本年金機構の定める金額よりも下回る場合
(1/4免除だと158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等)
猶予を受ける事が出来る人 ・20歳以上50歳未満
・本人、配偶者の前年度の所得が(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円の範囲内である場合

免除や猶予を受けられる場合は、未納になるのとは雲泥の差ですから、ご自分が対象となるのかどうか確認してみてください。

また、年金保険料の支払いについて、難しいと感じたり、聞きたいことがあれば、お住まいの近くの窓口に相談してみましょう。

国民年金は、アナタの将来の生活の一助となりますので、ぜひ未納にせずに支払いをするようにしてくださいね。

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