年金が払えない!滞納を続けていても将来年金はもらえるの?
サラリーマンの方など、会社で社会保険に加入している方は普段年金保険料を支払っているという感覚は薄いかもしれません。また、給料から天引きされますので、基本的には年金保険料が払えない!という事態に陥ることもありませんよね。
しかし、自営業者の方など国民年金の第一号被保険者の方の中には、年金保険料をつい滞納してしまった…払うことができない…という方もいらっしゃるかもしれません。
年金保険料の支払いが出来ずに滞納を続けてしまった場合、将来受け取る年金に影響があるのでしょうか?
教えてほしい!そもそも年金はどういった人が加入しているの?
年金に関して、言葉を知っていても、正確にその知識を有している人は実はあまり多くありません。
まずは、年金とはどういったものかをおさらいしていきましょう。
年金には公的年金と民間の年金があります
まず、これからお話しする「年金」ですが、これは「公的年金」を指しています。
年金と一口に言っても様々な年金が存在し、民間の年金事業もあるのです。
よくテレビなどで取り上げられている「年金」は公的年金の事になります。
公的年金は、大きくわけて2階建て構造となっていて、基礎的な「国民年金」と公務員や企業に所属する方が加入する「厚生年金」です。
よく、「厚生年金」に加入している人は「国民年金」に加入していないと表現されることがありますが、厳密に言うと少し異なります。
年金は「国民年金」というベース(基礎年金)があって、国民年金に加入していてかつ、公務員やサラリーマンの方が加入しているのが「厚生年金」なのです。
年金に加入しているのはどんな人なの?
年金に加入しているのは一体どういう人なのでしょうか?
日本では、年金に加入するのは日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方に加入する義務があるとなっています。
つまり、アナタが今20歳以上で60歳になっていなければ年金に加入しているといえるでしょう。
国民年金に加入している方は3つに分けることができます。
- 第1号被保険者
- 第2号被保険者
- 第3号被保険者
厚生年金にも加入している方は、第2号被保険者となります。この第2号被保険者の配偶者で扶養に入っている方は第3号被保険者となるのです。
そして、第2号被保険者にも第3号被保険者にもあてはまらない方が第1号被保険者となります。
年金の給付の種類は大きく3種類あります
年金というと、毎月毎月支払わなくてはならないもの、老後にならないと受け取れないもの…というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、一概に老後にしか受け取れないというわけではなく、年金の給付の種類は大きく分けて3種類あるのです。
- 老齢年金
- 障害年金
- 遺族年金
老齢年金は、名前の通り、老後に受け取ることができる年金です。現在は原則満65歳以上になると受け取れることになっています。
障害年金は、病気やけがで障害が残ってしまったときに受け取ることができる年金です。金額は障害の程度によって異なります。
遺族年金は、年金加入者が亡くなった時に、お子さんがいる配偶者、またはお子さん自身が受け取ることができる年金です。
つまり、年金は老後の心配を解消するだけでなく、いつ訪れるかわからないもしもの時にも利用できる安心材料となります。
年金は年を取らないと役に立たないというのは誤った認識です。
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では、年金保険料の支払いが出来ず、滞納をした場合、年金を受け取ることはできるのでしょうか?
年金を受け取るには必要な加入期間が存在する
年金に加入するのは義務なら、受け取るのも当然の権利じゃないの?と思われるかもしれませんが、年金保険料の滞納をしている場合は、その権利を受け取れない可能性もあります。
年金を受け取るには、必要な加入期間というのが存在するのです。
ただし、免除や猶予などを受けている場合は、そちらの期間も加入期間に加算されます。
それぞれの年金を受け取るために必要な加入期間を簡単にご紹介しましょう。
年金の種類 | 加入期間 |
---|---|
老齢年金 | (20歳から60歳になるまでの間に) 保険料を納付した期間+免除・猶予された期間=10年以上 |
障害年金 | (20歳から初診日の月の前々月までの間に) 保険料を納付した期間+免除・猶予された期間=被保険者期間の2/3以上 |
遺族年金 | (20歳から死亡日の月の前々月までの間に) 保険料を納付した期間+免除・猶予された期間=被保険者期間の2/3以上 |
これらの期間を満たしていない場合、たとえそれまで多少保険料を支払っていたとしても、年金を受給することはできません。
つまり、年金保険料の滞納が続き、受給条件を満たすことが出来なくなると、年金を1円も受け取ることができないということです。
これはかなりつらい現実ですよね。
では、年金保険料がどうしても払えない!と思ったらどうしたらよいのでしょうか?
年金が払えない!と思ったら…免除などの申請を検討しましょう!
年金を受給するためには必要な期間があるというのがお分かりいただけたのではないでしょうか。
では、滞納が続いて加入期間が短くなってしまう事態を止めることはできないのでしょうか?
経済的に厳しい時は免除や猶予を申請してみましょう!
収入が著しく低下したり、思わぬ失業で無職になってしまったり…ということが起こってしまった場合、年金保険料の支払いが厳しくなることも有るかもしれません。
このように、経済的事情で年金保険料の支払いが難しい場合は、是非一度お近くの年金事務所などに相談をしてみましょう。
日本年金機構のホームページでは、経済的に年金保険料の支払いが難しい方に向けて、保険料の免除や、納付猶予の手続きを紹介しています。
免除の場合は、全額免除から、4/3、1/2、1/4の4種類の免除があり、それぞれの状況により判断されます。
納付猶予は20歳から50歳未満の方が対象となっていて、一定期間納付が猶予されます。納付猶予の場合は、10年以内であれば保険料を納めることができ、納めた保険料は年金額に反映されます。
免除も納付猶予も加入期間に加算されますので、ただの滞納となるのと比べると雲泥の差です。
アナタがどのタイプに当てはまるのかは一概に言えませんので、まずは窓口に相談をしてみてくださいね。
年金を未納のままにしておくのは絶対にオススメしません!
いかがでしたでしょうか?滞納のままにしておくと年金をもらえない可能性もあるということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
受給のための必要な期間を満たすだけでは満額もらえない
ここまでのご説明で、必要な加入期間さえクリアすればそれ以降は年金保険料の支払いをしないでもいいんじゃないの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、絶対にそのような事はありませんので注意しましょう。
例えば、老齢年金の場合、将来受け取ることができる年金の額は、アナタが支払った金額と大きく関係しています。
トータルで支払っている期間・額が多い人ほどきちんと年金がもらえる制度になっています。
また、注意してほしい点としては、先ほどご紹介した納付猶予を適用した方です。納付猶予はあくまでも「納付するのを猶予してもらう」というだけで、加入期間には加算されますが、将来貰える年金額には反映されません。
免除の場合は年金額に反映されますが、満額ではないということは頭に入れておいてくださいね。
どうしても支払いができない…という場合、滞納するよりも免除や納付猶予を受けた方が良いですが将来の生活のためには払えるのであればきちんと年金保険料を支払っておいた方が良いでしょう。
日本人の平均寿命がどんどんのびていますから、老後に年金は強い味方ともいえます。将来の生活が困窮してしまわないために、今少しだけ頑張ってみることも必要ではないでしょうか。