お金がなくて年金が払えない!払わずに済む方法はないの?
年金を支払いたいけど、お金がなくて払うことができない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
国民年金保険料は、平成31年4月から毎月1万7,000円と、金額的にも決して安い金額ではないですから、収入の少ない時期は支払いが滞ってしまっても仕方ないですよね。
その他、年金の場合「払っても将来、ちゃんともらえるかわからないし」と、払えるのに払ってない方もいらっしゃるかと思います。
このような場合も含め「年金を支払わずに済む方法」というのはないのでしょうか?
今回の記事では「年金が払えない、払わなくて済む方法はないのか?」ということについて紹介していきましょう。
国民年金保険料の支払いが免除されるのはどんな場合?
さて、それでは早速ですが「年金を払わなくて済む場合はあるのか?」というと条件によっては「あり」です。
年金の支払いが免除されるのは、以下のような条件に当てはまる方に限られます。
- 厚生年金に非加入で所得が一定金額よりも低い方
- 学生で収入がない、または収入が少ない方
- 失業中で収入がない、または転職で収入が極端に減ってしまった方
これ以外の場合、国民年金保険料の支払いは基本的に、日本国内に在住している20歳から60歳までが必ず支払わなくてはならない納付対象となっています。
このため、「支払いができるのに支払わない」という場合は、財産の調査や給与の差し押さえの執行といった事態も起こりうるので、支払える場合は少しずつでも支払うことをおすすめします。
「国民年金に加入しても帰国しちゃうんだけど…」という方のためには、「脱退一時金」という制度があります。
これは外国籍の方が、日本を出国し国民年金などの被保険者資格がなくなった場合、出国後2年以内なら納めた年金の一部を請求することができる、というものです。
年金を納めていた期間や、障害基礎年金を受給したことがある場合など、ケースによっては請求できないこともあるので、請求する際は一度年金事務所に問い合わせてみましょう。
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この場合は支払い免除可能!所得が低い場合
さて、話はそれましたが厚生年金に非加入で所得が一定金額よりも低い方の場合、支払いが免除されたり、納付期間に猶予を設けることが可能です。
ちなみに「厚生年金」とは、会社員や公務員などの正社員としてお勤めをしている方が加入している年金制度を指します。
厚生年金に加入している場合は、給与から年金分が天引きされているため、年金の支払いが滞納するようなことはあまりありません。
以上のような場合で所得の低い方は、本人や世帯主、配偶者など一緒にお住まいになっている方々の所得などを審査した上で、年金の支払いが免除されるかどうかの決定がされます。
年金事務所などで相談する場合は、「国民年金保険料免除、納付猶予制度の相談をしたい」ということで問い合わせを行いましょう。
支払い免除可能または納付猶予!学生の方のための制度
次に学生の方ですが、この場合は両親の所得は関係なく「学生である本人の所得」を審査した上で免除されるかまたは納付猶予が設けられるかが決定されます。
こちらの学生の方が活用できる制度は、「学生納付特例制度」と呼ばれる制度です。
なお、ここでいう「学生」とは夜間学校や通信制の学校、専門学校などほぼすべての20歳以上の学生の方を対象としています。
対象となる学生の方は、遠慮なく「学生納付特例制度」を活用するようにしましょう。
支払い免除可能な可能性大!失業中で収入なしの方
最後に失業中や、転職して極端に収入が減ってしまった場合も、免除などの相談をすることができます。
この場合は世帯主や配偶者の所得が審査された後に、免除可能であるかが決定されます。
この場合は「失業による特例免除」という制度が適用されることになります。…以上の3種類の支払い免除、または納付猶予制度が適用できる場合について、下記にまとめておきましょう。
所得が一定金額以下の方 | 国民年金保険料免除、納付猶予制度 |
---|---|
20歳以上で学生の方 | 学生納付特例制度 |
失業中や所得が減った方 | 失業による特例制度 |
ところで「所得が一定金額以下であること」が年金の支払い免除の条件として挙げてありますが、「一定金額って?」と思った方もいらっしゃると思います。
一定金額とは、どれくらいの金額なのでしょうか?それは、世帯の人数など世帯構成によって異なります。
日本年金機構では、所得に応じて「全額免除」「3/4免除」「半分免除」「1/4免除」と免除される割合が分かれています。
「自分の所得なら全額免除、または一部免除の対象になるのではないか?」という場合は、未納のままにしないで、なるべく早めに年金事務所に問い合わせをしてみましょう。
これは「配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除」という制度ですが、この場合は配偶者の所得に関わらず、DV被害者である本人の所得が一定金額以下であれば保険料を免除することができます。
この申請を行う場合、年金手帳や申請用紙の他、初回の申請に限り、婦人相談所や配偶者暴力相談支援センターなどの公的機関が発行する「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」が必要となります。
また、配偶者と住居が異なることが確認できる書類も必要となります。もしも申請を行う場合は一度問い合わせてみて必要書類を確認し、忘れずに持参しましょう。
年金は「未納」よりも「免除申請」をオススメする理由
「年金を支払いたいけど支払えない」という方の他に「支払えるけど支払っていない」という方もおられるかと思います。
しかし、年金は払えるなら払った方が良いですし、払えない方でも未納にしておくより、免除の申請をした方が将来的に良いことがあるのをご存知でしょうか。
ここからは、「未納の場合」と「免除申請をした場合」の差について紹介しておきましょう。
未納の場合のデメリット…
- 追納はさかのぼって2年間まで
- 障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない
- 老齢年金を受け取れない
- 財産や給与の差し押さえが執行されるおそれがある
免除申請した場合のメリット…
- 追納はさかのぼって10年間まで可能に
- 老齢年金の他障害基礎年金や遺族基礎年金が受け取れる
- 一部免除された金額でも納付すれば全額納付したものとみなされる
年金を未納のまま放置しておくと、過去2年間分の年金までしか納めることができません。
「納めるつもりないし、それで良いよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが…
この場合注意しておきたいのが、年金は最低でも10年間分(120ヶ月分)以上納めないと、将来1円ももらうことができないということです。
つまり「やっぱり老後が不安だから納めよう」と途中から納め始めても、その納めた月日が10年間分に達さない場合、老齢年金は給付されないということになります。
また「退職後に年金がもらえなくても、老後用に貯金しているから別に大丈夫」という方もおられるかもしれません。
まず一つ目に、年金は「将来退職してから給付されるもの(老齢年金)」としての認識は、多くの方が知っていると思いますが、その他に以下のような機能もあることは、あまり多くの方に知られていません。
- 障害基礎年金としての機能
- 遺族基礎年金としての機能
以上の機能について、ちょっと詳しく紹介しておきましょう。
老齢年金だけではない年金の機能1「障害基礎年金」
国民年金の老齢年金以外の機能として挙げられる一つ目の機能が、「障害基礎年金」としての機能です。
この障害基礎年金は、一生涯にわたって給付される、というのも大きなポイントです。
「じゃあ年金を払っていれば医療保険とか要らないかも?」と思った方もおられるかもしれませんが、障害基礎年金はケガをしただけでは給付されないので、医療保険などと併用されると良いでしょう。
なお給付される金額は、後遺症の内容によっても異なりますが、後遺障害等級1級で「年額974,125円」、また2級では「年額779,300円」となっています。
ちなみに後遺障害等級1級…とは要介護を要する状態で、神経系統の機能や胸腹部臓器などに大きな障害が残り、常に介護が必要な後遺障害を指します。
後遺障害等級1級でも常に介護の必要でないものには、以下のような例が挙げられます。
- 両目の失明
- 咀嚼や言語機能を失った
- 両腕のすべてまたは肘関節以上で失った(麻痺も含む)
- 両脚のすべてまたは膝関節以上で失った(麻痺も含む)
また2級では、神経系統の機能や胸腹部臓器などに障害が残り、随時介護が必要な状態を指します。
また、片方の目は失明したが片方は視力が0.02以下である場合や、両腕の手関節以上で失った場合、両脚の足関節以上で失った場合などが2級となります。
年金を支払っているだけで、実はそんな手厚い補償もあったとは、ビックリですよね。
老齢年金だけではない年金の機能2「遺族基礎年金」
次に紹介するのは「遺族基礎年金」としての機能です。遺族基礎年金とは、18歳未満の子供がある配偶者とその子に対して給付されるものです。
遺族基礎年金は、残された配偶者と18歳未満の子供に対して支払われますが、子供の給付額は2人目までは同額で3人目からは変化します。
その金額は、妻などの配偶者に対しては「年額779,300円」、18歳未満の子供に対しては2人目まで「年額224,300円」、3人目以降は「年額74,800円」となっています。
年金を、決められた最低限以上の期間納めることで、退職後の年金の他に以上のような補償があるのです。
ちなみに国民年金は、もしも「老齢年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」を重複して受け取ることになった場合、すべて受け取るということはできません。
そのような事態になった場合、一番高い金額がもらえるものを選択して受け取ることになります。
年金の半分は国が出してくれるって知ってた?
二つ目の「年金を納めた方が良い理由について」ですが、年金の財源は私達が納めたお金のみで成り立っている…と思っている方は多いのではないでしょうか。
少子化が進んでいる現代に、これでは「将来年金は、もらえないかも」と不安になって年金を納めない方が増えているのも仕方のないことです。
しかしながら、実はそうではなく年金の財源は、半分は税金でまかなわれていることをご存知でしょうか?
つまり年金の半分は自分が納めたお金ですが、もう半分は国が出してくれるお金ということになります。
これは最低でも10年間分の年金を納めなければ1円ももらえませんが、10年間分以上納めれば、必ずもらえるのです。
きちんと納めれば、半分は国が援助してくれる…なんて、何だかとてもお得な感じがしますよね。
もちろん、20歳から60歳までの40年間もらさず満額を納めた場合と、10年間分しか納めていない場合とではもらえる額は変わってきます。
多く納めた方が給付額は大きくなりますので、納める分はより多く、満額に近い方が良いでしょう。
国民年金は2018年の段階では、満額納めると年額でおよそ800,000円もらうことができます。これは月額にすると66,666円になります。
日本の平均寿命は年々延びていますが、女性の平均寿命は2017年の調査では世界でも2位に入る87.26歳となりました。
60歳からすぐにもらい始めて平均寿命の歳までもらい続けるとなると、27年間もらい続けることになりますね。
年間800,100円×27年=21,600,000円で、2千万円以上の年金を受け取ることになります。100歳まで生きる場合はこれの倍近くの金額を受け取ることになります。
「老後のお金なら貯金するから問題ない」と思っている方も、いらっしゃるかと思います。
ですが、2千万円から4千万円近いお金を貯金することは、資産運用などがよほど上手な人でもなければ、なかなか厳しい金額ではないでしょうか?
年金支払いが免除されるのは特定の条件に当てはまる場合のみ
今回の記事では、「年金が支払えないが、払わずに済む方法はないの?」ということについて紹介してきましたがいかがでしたか?
それでは最後に、今回の記事の中でのポイントをおさらいしておきましょう。
-
- 年金の免除や納付猶予は所得が低い方や学生、失業中の方なら適用される可能性大
- 未納で放置しているとさかのぼって納められるのは過去2年まで
- 免除申請を行えばさかのぼって10年まで追納可能になる
- 年金は10年間分(120ヶ月分)以上納めないと給付されない
- 年金には老齢年金以外に「障害基礎年金」「遺族基礎年金」の機能がある
- 納付期間が足りないと老齢年金の他に障害基礎年金や遺族基礎年金の給付もない
- 年金の財源の半分は税金なので年金制度が破綻する可能性は低い
- きちんと納めていればもらい始めてから一生もらえる
以上のようなことが今回の記事のポイントとなります。年金を今現在支払っている状態の方は、将来ちゃんともえらえるのかわからず、未納で放置してしまっている方もおられるかもしれません。
しかしながら年金の制度は、一般の保険会社などで老後のお金を用意するよりも、手軽でお得にお金を準備できる優れた制度です。
年金制度の財源は、半分は税金であることなどからも、年金の制度が破綻するということは考えにくいと言えます。
もしも未納で放置してしまっている場合は、少しずつでも支払いをしましょう。また、支払えない場合はなるべく早めに年金事務所へ相談することをおすすめします。
その他、年金を少しでも安く納めたい…という場合には、前もって早めに納めれば、割引がされるというシステムがあります。
これは年金の前納というシステムですが、半年分や1年分、または2年分を前もって支払う方法で、申請を行って前納すれば通常通り支払うよりも2〜4%くらい安い金額になります。
年金をお得に納めたい、という方はぜひ「前納」をしてみてはいかがでしょうか。