貰えるのか不安だから年金を払いたくない…いいえ払わないと損します
国民皆保険の制度がとられている日本の福祉の大きな柱として「年金制度」があるのは皆さんご存知ですよね。
しかし、年金というとよく、将来は少子高齢化が進みすぎているから、今の20~30代などの方が老齢になった時にはもらえる額も少ないし、最悪の場合もらえないんじゃないか…という話を聞くこともあるかもしれません。
このような事を聞くと、「どうせもらえないかもしれないなら今年金保険料を払うのはばからしい」「日々の生活もいっぱいいっぱいだから払いたくない!」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、年金保険料を払わずに人生を過ごすことはトータルで見ると大きな損をしてしまうことになるかもしれないのです。
払いたくないのだけど年金保険料を支払うのって義務なの?
まず、この文章で言う年金とは国民年金・厚生年金などの「公的年金」をさしています。
年金保険料を払いたくない…という方は存外に多くいらっしゃるようです。そもそも年金保険料を払うのは義務なのでしょうか?
日本に住む20歳以上の方は義務だと思っておきましょう
年金には加入や未加入期間…なんていうものがあるんだから、加入は任意じゃないの?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは年金について正しく理解していない状態と言わざるを得ません。
年金を管理する日本年金機構によると、20歳以上で60歳未満の日本に住むすべての方が年金に加入する義務があるという表現をしています。
「義務」としていますので、任意ではなく、しなくてはいけないことと思っておいてください。
日本は国民皆保険・国民皆年金というスタイルをとっている
日本は長寿の国と言われています。寿命が延びている日本において、定年を迎えた老後の保障はとても重要なことです。
日本は、世界的に見ても手厚い国民皆保険・国民皆年金というスタイルをとっています。これにより、経済格差にとらわれることなく、一定の福祉を提供することができます。
これを実現するために、社会保険方式が採用されています。
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- 社会保険方式とは…
社会連帯の精神に基づいて、保険料を加入者全員で収めて相互扶助をする方式。日本では、年金・医療・介護・雇用・労災の保険制度があります。
つまり、年金に加入している人は、保険料を支払う必要があるということです。
将来年金制度が破綻する…というのは本当?
年金を払いたくないと思っている方がよく言うのが「将来どうせ年金がもらえなくなる」という言葉ではないでしょうか。
本当に将来年金がもらえないのでしょうか?
年金の制度は時代の流れに即して改正が行われています。
少子高齢化が一層進むと考えられる今後は、一人一人の年金保険料の負担が増えるのでは…と懸念されているのも事実です。
そのため、将来もらえる年金の金額に増減はあるでしょうが、年金を収めていたのに全くもらえなくなる…ということはありません。
長寿になっていく日本で老後の生活がどのくらい続くのかわからない…という上では年金というシステムは安心の一助となるのではないでしょうか。
支払えるけど払いたくない!という言い分は通用しません
年金は、20歳以上60歳未満の方が加入する義務があるということをお分かりいただけたのではないでしょうか。
そのため、支払う能力があるのに払いたくない!という理由で滞納するのは認められません。
払わずに放置をすると思いもよらぬ事態に巻き込まれるかもしれませんよ。
年金保険料の支払いを拒否する場合は、滞納処分をうける可能性も
サラリーマンなど企業に所属している方や、公務員の方は、厚生年金にも加入し、基本給料から天引きされますので、「年金を支払いたくない!」と思っても拒否することは難しいですよね。
しかし、自営業など国民年金のみの方は、口座振替や納付書で納入したりしますので、支払いたくない!と思えば支払わないということも出来てしまいます。
では、払いたくないから…という理由で支払わない場合、一体どのような事になるのでしょうか?
決められた期日までに支払いをしない場合、支払いを促す通知が届くことになります。
それでも支払いをしない!となると通知はどんどん届くことになり、それでも支払いがされないと最終催告状と呼ばれる通知が届きます。
この最終催告状が届いたら強制執行の一歩手前まで来てしまっていると思っておきましょう。
まさか実際に差し押さえなんてされないでしょう…と思うかもしれませんが、現実差し押さえをされた方がいらっしゃるのも事実です。
このような事態になると取り返しがつきませんので、是非最終催告状が来たら(できれば来る前に)、年金事務所などに相談するようにしましょう。
【関連記事】
銀行口座が凍結される!?年金滞納による差し押さえの詳細と回避方
年金保険料を滞納すると延滞金がかかります
年金保険料の滞納を続けると、延滞金がかかる事態になることも有ります。
延滞金がかかってくると支払わなくてはいけない額もどんどん膨れ上がっていきますので注意しましょう。
督促状が送付された時に指定期限が示されますが、その期限までに支払わないとその翌日から延滞金も併せて支払う必要が出てきます。
延滞金は納期限の翌日から計算されますので状況によっては延滞金だけでかなりの金額になってしまうことも有るようです。
年金保険料を支払わないとどんな損をすることになるの?
年金保険料の支払いを怠ると最終的に差し押さえの可能性があるということが分かりましたが、それ以外に何かデメリットがあるのでしょうか?
滞納が続き加入期間が足りなくなると年金をもらえない!
年金は加入していればすべての方が受け取ることができるというわけではありません。
年金を受け取るためには必要な加入期間が定められていて、滞納など未加入の期間が続き決められた加入期間に達しない場合、1円も受け取ることができないのです。
年金を受け取るために必要な期間は年金の種類によって異なります。
- 老齢年金(20歳から60歳未満の間に必要な加入期間)
…保険料を納付した期間+免除・猶予された期間=10年以上 - 障害年金(初診日の前日の段階で初診日の月の前々月までの間に必要な加入期間)
…保険料を納付した期間+免除・猶予された期間=被保険者期間の2/3以上 - 遺族年金(死亡した日の前日の段階で死亡日の月の前々月までの間に必要な加入期間)
…保険料を納付した期間+免除・猶予された期間=被保険者期間の2/3以上
ここで登場している免除・猶予された期間というのは、年金で定められている免除や猶予のことです。
経済的に困窮するなど年金保険料を支払うのが難しい場合、申請をすると、支払いの免除や猶予を受ける事が出来る場合があります。
どのような免除・猶予を受けられるかは人により異なりますので、払いたいけど経済的に払うのが難しい…という場合は、是非一度相談してみましょう。
未払いの期間があると老齢年金の受給額が下がる!
加入期間さえ満たせば将来年金を受け取る時に問題はないのでしょうか?
老齢年金の場合、年金保険料の未払い期間があると受給額がそれに応じて下がりますので注意が必要です。
これは、20歳から60歳になるまできちんと支払いをした人とそうでない人の違いなので、当然と言えば当然ですよね。
先ほど紹介した免除や猶予の場合も満額支払ったという扱いにはなりません。特に猶予の場合は加入期間には加算されますが、支払額にはプラスされないのです。
猶予を受けた分は10年以内であれば支払うことができますので、可能であれば追納をしましょう。
年金をもらえない人は実質損をしています!
そもそも20歳になってから一度も年金保険料を支払わず60歳を迎えたなら1円も年金がもらえなくても損しないんじゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
実はこの認識は大きな間違いです。
年金の負担はもちろんみなさんからの年金保険料もありますが、それ以外に積立金や国庫からの拠出金があります。
この国庫からの拠出金というのは単純に考えると私たちが収める税金です。
つまり、年金には私たちが収めている税金が投入されているので、年金を受給する=税金の一部の払い戻しを受けているともとることができます。
そのため、1円も年金保険料を支払わなかったら損しない!というのは間違いで、税金だけ払ってその恩恵を受ける事が出来ないということになるのです。
これって実質損をしているのと同じではないでしょうか?
年金を損なく受け取るために、年金保険料は支払った方が良いでしょう。
将来のことを考えるなら…年金保険料はきちんと払いましょう!
日本人の平均寿命がのびていく中で老後の確実な収入源というのは貴重な安心材料です。
いつ起こるかわからないもしもの為にも大切な年金です!
老齢年金は老後に受け取ることができますが、年金はそれ以外にも障害年金・遺族年金があります。
明日も100%健康で元気に過ごせるとはだれも断言できません。
もしものためにも年金は大切な制度と言えるでしょう。
未払いの年金は2年までさかのぼって支払えます!
ここまでお読みいただいて、中には「今まで滞納していた時もあったけど、きちんと年金を支払おう!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
年金保険料の追納は、過去2年までさかのぼって収めることができますが、それより前の滞納分も支払いたい!となった時は難しいでしょう。
滞納していた年金を支払いたい!と思われた方は是非すぐにでも行動に起こしてくださいね。