滞納・未払い・差し押さえ

家賃踏み倒しの恐怖!差し押さえ!強制退去!そして住むところを失う

家賃の踏み倒しは大変危険です。社会的にも金銭的にも、さらに人間関係をも壊し文字通り「全てを失う」人さえいる程です。

景気が不安定になり、給料が下がったり会社が倒産して失業したりして、当初の予定が大きく狂ってしまう事はあります。すると月の出費で一番大きな額である家賃は、どうしても滞納しやすく踏み倒してしまいたい気持ちになるのも分かる気がします。

しかし、踏み倒した先に良い未来はありません。計画的な家賃の支払いを考え踏み倒しの危険性について理解したい方や、実際に家賃の踏み倒しを考えるような状況になりそうな方へ、踏み倒しがいかに恐ろしいのかお話ししていきたいと思います。

本当に危険で怖い!家賃の滞納、そして踏み倒した人達の末路

家賃の踏み倒しを実際にしてしまった為に、大変残念だった方の体験談をまずはしていきたいと思います。家賃の踏み倒し問題は、一般的には大家さんの泣き寝入りがニュースやネット上では取り上げられたりします。

しかし踏み倒したせいで、しっかり回収や制裁をされ人生のどん底まで行ってしまっている貸借人も当然います。典型的な2例をお話しする事で、家賃の踏み倒しがいかなるものか把握して下さい。

また、踏み倒しにも種類があります。主に3つのパターンに分かれますが、それぞれ最終的に悲惨な結果となるのでそれについてもお話ししていきたいと思います。

契約解除!差し押さえ!強制退去!そして住所不定!壮絶な体験談

それではどちらも、壮絶な結果になった体験談を2つお話しします。家賃トラブルは、1~2カ月滞納してもちゃんと相談し払えば大きな問題に発展する事はありません。しかし踏み倒し問題は、これからお話しするような結果を招く事もあります。

参考にして、是非注意して下さい。

<体験談:1>ある独身の男性の方が、職場を辞めてしまい家賃の滞納を始めました。大家さんは滞納から4カ月程の間、ポストに手紙を入れたり電話したり訪問したりしていましたが全部無視されたようです。

大家さんはそれからも何度か連絡していたのですが、体調的な問題もあって結局9カ月ズルズルと家賃の踏み倒し状態が続いてしまいました。息子さんの勧めもあって専門家に頼み内容証明と言う裁判でも有効な書類になる手紙を送ってみましたが、それでも反応がありませんでした。

最終的には、それから数カ月かけて裁判と言う形にまで持っていき強制退去と言う手段を取る事になってしまいました。大家さんも、本意ではないですが出ていくよう伝えました。

しかし、当の本人は「今出て行けと言われても、住む場所がない」「もう少し待ってもらえば、払える」と言っていたようです。ただ裁判で強制退去が認められてしまえば、残念ですがどうのような理由があっても強制執行されてしまいます。

結局、追い出される形で住居を出る事になり、滞納金の方も給与を毎月4分の1、滞納分に充てる事になりました。ただこの一件で踏み倒しが、会社で知られてしまいかなり肩身が狭い思いをする事になったようです。

この方は収入面でみると決して安い訳ではなく、逆に貰っている方でした。趣味など何かしらにお金を掛けていたんでしょうが、「滞納してもあまり強く言われなかったから、ほっといた」と言う身勝手な事を言っていたので当然の結果だったのかもしれません。

確かに、管理している会社や大家さんによっては長期間の滞納を放置する場合があるようですが、それに胡坐をかいてほっておけば数カ月で50万円以上の滞納金となってしまいます。

そして契約を解除され法的な手段を取られてしまえばほぼ敗訴するので抵抗する事が出来ずに、給料や住む場所を失ってしまいます。これは最悪なケースの1つですが、家賃の踏み倒しはこういった結果になる事がある訳です。

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<体験談:2>次は、夜逃げをして家賃を踏み倒しした方のお話しです。この方は2カ月滞納した時点で、保証会社から「未納分を一括で払って下さい。出来なければ退去を考えて下さい」と通告されたそうです。

その時の管理会社の担当の方の口調が、心底恐ろしかったようです。2カ月分がどうしても用意できなかったその方は、何も告げずに家財道具はそのままで逃げるように仕事も辞め引越しをしてしまいました。

その後、全く違う土地でアパートを借り派遣をして日銭を稼ぎ始めました。しかし派遣を始め半年、どうしても収入面で生活が安定しないので就職をする事を決意しました。その時、住民票が無いと就職できないため住民票を役所で以前の場所から移し就職活動を始めました。

就職はスグに決まり何とかなったと安心したのもつかの間、住民票を移して1カ月後くらいに管理会社から内容証明が届きました。そこには、数カ月に及ぶ滞納費と遅延損害金の支払い、さらには置いてきた荷物の撤去をしなければ訴訟を提訴すると記載されていました。

スグに管理会社に連絡をし何とか和解する事が出来たその方は、かなり苦労をして支払いを完済したそうです。

結局、逃げなければ滞納金も遅延損害金も膨らむ事はありませんでした。また結果を見れば、会社を辞めた事で収入が減って、精神的不安を抱え生活していたので状況は悪化しただけでした。

基本的に業者は、住民票で現在住んでいる場所を特定できます。

その事を知っていたこの方は住民票をスグには移動させませんでしたが、就職や福祉サービスなどを受けるには住民票が必要になります。ですから結局、住民票を取得せざる得なくなり居場所がバレてしまった訳です。

※余談ですが、住民票は引っ越し14日以内に移動させないとそれ以降は手続きに手間が掛かりますので注意が必要です。

家賃を踏み倒した時の滞納金は、消える訳ではありません。夜逃げなどで踏み倒しても、最終的にはより大きな金額を失ってしまう可能性があります。また今までの生活を捨てる事になるので、人間関係も無くなってしまう可能性があるのが踏み倒しという訳です。

踏み倒しの3パターン!それぞれに降りかかる悲惨な結果

最終的には、家賃の踏み倒しは最悪な結果しか生みません。ここで、主に3つある踏み倒しのパターンをご紹介します。どのような状況で、踏み倒しが起きどういった結果を生むのかお話しします。

  • 大家さんが忘れていて、結果的に踏み倒しになるパターン

これは稀ですが、年配の大家さんにありがちなパターンです。大家さんの中には、管理会社や保証会社などを経費の面から利用したくても出来ない場合があります。すると、1人で何件も管理するので見落としが出ます。

そのため滞納しても全く連絡が来ないので、そのまま滞納を続け踏み倒しと言うパターンになる訳です。こういったケースでは、「滞納金をまとめて支払って下さい」と言う連絡が突然来ます。

ここで支払わなければ、催告(支払いの催促)→連帯保証人への連絡→内容証明(支払わないと契約解除と通告)→法的な続き(支払督促・訴訟など)へと発展して行きます。

  • 払えないが引っ越しも出来ないので、居座りながら踏み倒してしまうパターン

家賃の滞納トラブルは、残念な事ですが年々増加しています。その理由は、給与の減少や失業、結婚や子供の誕生などで生活費が増加するなどして当初の予定通り家賃分を確保できなくなる事にあります。

その為、分かっていても払えず出て行こうにも引越し費用もないので仕方なく居座ってしまう訳です。踏み倒しをする方全般に言えますが、たいていは親や知人などから資金援助も利用できる状態ではないので連帯保証人も上手く機能しません。

気付けば月日だけが経ち、催告→内容証明→法的手続き→強制退去と言う流れで、最悪の場合は住む場所を失ってしまいます。

  • どうしても払えないので、逃げて踏み倒すパターン

滞納後、住居に確認しに行くと家財道具がそのままで消えてしまっていたと言うパターンです。大家さん側にとっては、旅行などで長期不在なのか踏み倒しでいなくなったのか判断に困るケースです。

踏み倒しと判断すると、住民票、親、連帯保証人、勤務先、探偵などを利用して大家さんは失踪した契約者を探します。場合によっては見つからない事もあるようですが、見つかった場合は滞納金や遅延損害金以外にも放置した家具、損害賠償などのお金をさらに追加で支払う事になってしまいます。

全部で10個もある!家賃を踏み倒した時のデメリット

挙げればキリがありませんが、家賃を踏み倒しすると様々なデメリットがあります。ここでは主だったもの10個を確認し、踏み倒しの悲惨・苛酷さを理解して頂きたいと思います。

家賃を踏み倒すと、まず3つのデメリットを背負うハメになる

踏み倒しは大家さんにとっても大きな損失ですが、行う本人にも相当な損失となります。

◆1.遅延損害金
◆2.連帯保証人への連絡
◆3.精神的負荷

一般的に家賃の踏み倒しは、滞納分が3、4カ月以上と金額が多い特徴を持っています。その為、発生する遅延損害金(上限14.6%)は大変大きなものとなります。

また、連帯保証人に連絡が入り人間関係を壊すトラブルに発展したり、支払えない苦痛や追い出される可能性を常に感じるようになり、精神的負荷により病気や体調不良を起こす危険性もあります。

居座るにしろ逃げるにしろ、お金の面、人間関係の面、精神的な面で家賃の踏み倒しは辛い訳です。

住居に居座り踏み倒し!しかし、実行しても1年後には強制退去

さらに引越す事ができず長期に渡って居座ってしまうと、2つのデメリットが発生します。

◆4.契約解除をされ、差し押さえや強制退去の法的処置をされる

まず踏み倒して住居に居座っていれば、賃貸借契約を違反しているので「支払わないと契約を解除します」と通告されます。その後、支払いが無ければ契約解除となり、滞納分と退去を通達されます。

この段階で処理できれば良いのですが、踏み倒すぐらいなので金銭的余裕はないので訴訟と言う手段に発展して行きます。

そうなれば最終的には、お金や住む場所を強制的に失ってしまいます。

家賃の滞納から裁判を通じ強制退去させられるまでは、おおよそ1年程かかります。

◆5.勤務先や近隣住民にバレて、精神的に追い込まれる

法的手段の1つに、給与の差し押さえがあります。一般的には差し押さえる前に、会社へ身辺調査として連絡が入ります。給与額を把握され、その上で民事執行法152条に基づき給与の4分の1を差し押さえられます。

会社にバレると、噂などで他の社員に流れる可能性も出てくるので注意が必要です。また、住居に居座った状態でいると訪問やポストへのチラシで近隣の住民に知られてしまうと言うデメリットもあります。

夜逃げで家賃を踏み倒し!住所不定で「今」より生活が苦しくなる

精神的に追い込まれ今の苦しみから逃げたいと住居を逃げ出すのですが、基本的にさらに苦しい状況に追い込まれてしまいます。

◆6.住民票が取れないので、住所不定で職に就きにくく行政サービスも受けられない

住居をそのままにして逃げる方や、夜逃げをされる方は、基本的に次を決めて出て行きます。しかし、住民票から足がつく事を恐れ移す事を避ける傾向にあります。

確かにバレにくくはありますが、親族関係、住居周りの聞き込み、勤務先からなどその手の調査を専門的にされている業者はいますので隠れ続ける事は難しい物です。

ただ、住民票を移さないのは踏み倒して逃げる方にとって1つの対策なので実行されやすい訳です。住所不定のデメリットは、就職しにくいことも挙げられます。

通常、「住民票記載事項証明書」と言う書類を企業は必要とし
ます。交通費などの支給は、この書類が無いとできません。その為、住所不定は就職できる企業の幅を狭めます。

またその地域の福祉サービスなどの、行政サービスを受けにくくなります。住所を移さないと言う事は、建前上は「以前の住所」に税金を納めているという状態になっているからです。

◆7.職権削除で住民票の喪失

実は、住所をそのままの状態にしておくと場合によっては、役所から住所を抹消される事があります。それを職権削除と言います。

<職権削除>
納税未納や自治会からの通知未達、身内の人間からの連絡など住民が住所に住んでいないと判断された場合、役所が住民登録を抹消する。

いつ抹消されるかは、役所にバレるまでなので正確には分かりません。ただ、抹消されると完全に住所不定となります。

◆8.新規のローンやカードローンの審査に通らない

これは当然ですが、住所不定の方への審査は通りにくいです。銀行系や消費者金融の審査は基本的には「安定的な収入」と「信用」を見ますが、住所不定は連絡が取りにくいと言う判断から信用性に掛けるとして落ちる傾向にあるようです。

以前の住所の住民票や免許などを利用する事で対応できるかもしれませんが、キャッシング会社などは住所不定の方をまず審査で落とす傾向にあるとだけ覚えておいた方が良いでしょう。

◆9.訴訟を提訴される

大家さんや、管理会社は逃げれられてしまうと泣き寝入りをしなければいけないのでしょうか?確かにそのような場合もありますが、実は公示送達という貸借人が不在の場合に訴える方法が存在します。

これを行われると、裁判所に張り紙をされ本人不在で裁判が行われてしまいます。契約者本人としては知らなかったですが、そういった事が通用せず強制的に賃貸契約の解除や強制退去などの判決の勝訴を、大家さんは得る事が出来る訳です。

家賃の踏み倒しは民事事件?刑事事件?踏み倒しの罰を知る

ではもう少し、踏み倒しの罰則についてお話ししていきたいと思います。踏み倒しを行う方の中には、「滞納分を払わなければ訴えます」「出て行かなければ警察を呼びます」「期日までに支払いが無ければ、鍵を交換します」などの通告が怖くなって逃げ出したと言うケースもあります。

身勝手な理由ではありますが、滞納している後ろめたさがあるからこそ斜め上の行動に出てしまうのかもしれません。そこで、家賃の踏み倒しが法的にどのような罰則となるのか確認していきましょう。

家賃の踏み倒しは債務不履行!故に民事的な制裁を受ける事になる

家賃の踏み倒しは、債務不履行にあたります。

<民法541条>
契約に基ずく債務を履行(約束などを実際に行う事)しない場合、催告(督促状や電話、訪問での支払い催促)を一定の期間行い、その期間内に履行がない場合は契約の解除をする事ができる。

賃貸借契約は、大家さんである賃貸人と契約者本人である貸借人との法的な拘束力のある約束です。契約は、4つの義務があります。

  • 賃料支払義務(決まった定額を毎月支払う義務)
  • 善管注意義務(住居を不当に壊さないよう管理しながら利用する義務)
  • 用法遵守義務(ペット、ピアノ禁止など契約の内容に沿った方法で利用する義務)
  • 目的物返還義務(退去する際、原状回復して変換する義務)

家賃の踏み倒しは賃料支払いの義務を怠る事となり、民事事件として扱われます。

<民事事件>
金銭問題、隣人とのトラブル、会社・解雇問題、不倫などのトラブルに対して、私人(個人・法人)VS私人(個人・法人)と言う構図で行われる争いです。

つまり家賃の踏み倒しは、債務不履行であり賃貸借契約の解除とそれに伴う制裁を民事事件として訴える事が出来るという訳です。

踏み倒してもほぼ逮捕されない!だからこそ大家さんは裁判をする

「家賃を踏み倒して逃げた場合、もし後で見つかったら逮捕されますか?」と刑事罰を不安視される方がいますが、家賃の踏み倒しでは逮捕される事はありません。

民事不介入と言う言葉があるように、警察は民事事件に原則関わる事が出来ません。但し、窃盗、詐欺などを示唆できる状況があった場合、刑事事件となる可能性があります。ただ、踏み倒しだけで刑事事件になる事はほぼありません。

このため大家さんは警察が頼れないので、裁判所と言う「国家権力に頼る」手段を取らざるを得ない訳です。契約者と大家さんなら対等に話し合えるでしょうが、契約者と国(裁判所)となると法の下で裁かれるだけになってしまい大家さんにとっては助かる訳です。

故に、家賃の踏み倒し問題は裁判へと発展しやすいのです。

逃げても踏み倒した金額は消えない!将来を見据えて行動すべき

「借金には時効があるから、数年姿を消していればチャラになる」と言う記事などを、インターネットで見る事があります。確かに、家賃の滞納金には時効があります。しかし多くの場合、時効が成立する事は難しいと言わざるを得ません。

時効とは何か?そして、時効などに頼らない踏み倒しの解決方法をお話ししていきます。

踏み倒して5年経てば時効!但し、時効は簡単に覆る

大家さんが家賃をの受け取る権利を、賃料請求権と言います。賃料請求権は、5年でその権利が消滅します。つまり、家賃の踏み倒した滞納金は5年で時効になるわけです。

ただ、時効の消滅を止める方法もあります。それが「時効の中断」という法的措置です。

<時効の中断>
「請求」「差押え」「仮差押え」「仮処分」など、裁判所へ訴える事もしくは裁判の判決が出た場合などで、それまで経過した期間をリセットする事が出来る法的措置です。

このように踏み倒しをされ、時効を待つ事で家賃の滞納分を無くそうとしても、それを阻止する方法はある訳です。そして公示送達や支払督促などの判決が確定した場合、さらに時効が10年延長となります。

つまり時効の中断や裁判などを利用すれば、時効はほぼ期待できないと言える訳です。

生活を捨てる前に大家さんへの相談とお金の計画的返済を考える

ここまで、家賃の踏み倒しの危険性や怖さをお話ししていきました。故に、家賃滞納や踏み倒しはしてはいけないと言うとてもシンプルな結論に辿り着くと思います。

そこで、もし踏み倒しの状態ならどうすれば良いのか?について、唯一の解答をお話しします。それは、「滞納分を支払う」しかありません。

①お金を借りる回避するだけでは、借金が膨らむだけで意味のない結果になるかもしれません。しかし、踏み倒しだけは回避する事を考慮されるのも1つの案です。

親、親族、消費者金融、行政サービスなどを利用し、住居だけは確保する事も必要です。ただし、計画的に行わなければ傷を広げるだけなので、十分考えて行動をするようにして下さい。

②交渉して分割・2カ月分を一括一番重要な事ですが、大家さんに相談する事です。「分割して支払います」「来月まとめて払います」など、まずは支払う意志を伝えるべきです。

当たり前の事ですが、相談する事こそ最初の一歩であると思います。

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