滞納・未払い・差し押さえ

マンション修繕費の滞納トラブル!知らないと損をする6つのリスク

マンションを所有する方は、修繕費や共益費などを月々支払っています。このマンションを管理する上で必要な費用を、滞納するトラブルが最近増えています。特に修繕費は、将来に備えた修繕や突発的な修繕など金額的にも大きな物を扱うので高額になりやすい出費です。

しかし、修繕費が無ければマンションの補修などが出来ず老朽化が止まりません。また個人だけの問題ではなく、マンション全体の問題でもあります。

修繕費とは一体どういった物なのか?そしてなぜ必要なのか?修繕費を理解して滞納する事で起こるトラブルや危険性などを回避できるよう、注意点から解決方法までお話ししていきます。

マンションの修繕費はなぜ必要?修繕費の大切さを理解する

マンションの管理費は維持管理費や修繕費などに分けられます。国土交通省が出している「平成25年度マンション総合調査結果について」を見てみると、2324の管理組合の内37%もマンションの管理費を滞納していると答えています。

特に修繕費は高額で滞納問題は社会現象となっています。では、なぜ修繕費を集めなくてはいけないのでしょうか?集めなければどのような事が起きるのでしょうか?マンション修繕費の基本的な部分のお話しをしていきます。

マンションの老朽化を防ぐ3つの修繕費用

マンションは多くの住民が利用しています。その為、必ず時間の経過に伴って劣化していきます。修繕費の目的は老朽化を防ぐ為ですが、それ以外にも様々な部分で修繕費は利用されています。

マンション修繕費については、主に3つ理解しておく必要があります。

  • 大規模な修繕

国土交通省が長期修繕計画作成ガイドラインと言う書類を、ホームページで配布しています。これをもとにマンションの管理組合は長期の修繕に対して予定を立てます。

特に外装の補修や防水対策、塗装など外観部分の修繕は数十年に一度の大規模修繕です。その際、耐震工事や雨漏り対策など普段行えない大規模な修繕も合わせて行います。その為、マンションの規模によっては数千万~数億円に上る巨額の費用を必要とします。

  • 一般的な修繕

大規模修繕以外にも、耐震工事、雨漏りの防水工事、階段などの修繕、他にも駐輪場、駐車場、花壇など毎年時間の経過とともに劣化するもののメンテナンス費用や修繕費用は必要となってきます。

エレベーターなどがあるマンションで、老朽化が酷いのに修繕できなければ命の危険さえ伴ってしまいます。またマンションは家族での利用も多い為、小さな子供たちの危険を考えれば出来るだけ安全対策上壊れている物が無いように気を付けなくてはいけません。

  • 特別な修繕>

大雨、台風、地震など、自然災害は突如やってきます。災害によって想定外な修繕を行う際、滞納などのせいでスグに直せなければ生活に支障が出てしまいます。

例えば、マンションの壁に車が突っ込む事故があった場合、保険が下りるまでそのままとは行きません。取り敢えず、修繕費から出すしかありません。いざと言う時の保険と言う意味でも、ある程度の修繕費の蓄えは必要な訳です。

修繕費とは、大規模、一般、特別などの住民の生活に必要不可欠な3つの修繕を賄う為の費用だと言えます。

その為、管理組合に払う修繕費は滞納してしまうとマンション全体に影響してしまいます。

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マンションの修繕費滞納に伴う6つのリスク!

それでは修繕費を滞納すると、実際どんな問題やトラブルがあるのか6つのリスクを見てみましょう。

1.十年に一度の修繕で困る

修繕費の滞納は上記でも挙げたように、数年、十数年に一度の大規模修繕で困る事になります。修繕費の滞納は、ここに一番大きな影響あると言っても過言ではありません。

マンションの規模にもよりますが、修繕費は月に10000~40000円と幅もあります。修繕費の積立額を考えれば、高額だと言う事が修繕費の必要性や重要性を物語っているとも言えます。修繕費の滞納は、この高額の支払い時に大きな問題となるリスクがあります。

2.日常生活に支障がでる

水回りの配管工事、劣化による亀裂などの補修、耐震補強やバリアフリー化など、マンションの生活改善の為にも修繕費は利用されますが、修繕費が滞納されるとこれらが改善できません。

つまり、日常生活において支障が出る訳です。マンションは高齢者から子供まで、様々な年齢の方が生活をする場です。些細な事が、大きな事故に繋がります。多くの人が集まり利用する事を念頭に置けば、劣化と破損はすぐに対処しなければいけない訳です。

日常生活のトラブルは、簡単に大きなトラブルへと発展します。修繕費の滞納は、このようなリスクも抱えている訳です。

3.マンションの資産価値が落ちる

マンションに生涯住み続ける方もいれば、売却して新天地に行く方もいます。転居する方は売却時、老朽化によって価値が低く見られる可能性があります。その為、そういった事に敏感な住民の方とトラブルになるリスクがあります。

また自分自身が、過敏に滞納している方を攻撃する可能性もあります。修繕費の滞納は、意外な所でトラブルのリスクを持っている訳です。

4.突発的な対処が出来ない

これは上記でもお話しした、自然災害時の修繕に影響がでてしまうリスクです。マンション修繕費は電気代や光熱費、清掃代などの共益費と違いどこで利用されているのか分かりにくいお金です。

しかし、生活を支える重要な物なので滞納には気を付けなくてはいけない訳です。

5.リフォームなどのローンが組めない

修繕費の滞納率が10%を超えると、住宅金融支援機構でローンが組めなくなるリスクがあります。マンションのリフォームなどをしようと考えた時、まとまったお金が必要になります。その際、修繕費だけではなくローンなどを利用する事は少なからずあります。

その審査に落ちるリスクが、滞納率が高いとある訳です。

6.住民とのトラブル

自分が払っていて、他人が払っていないと不公平感をかなり感じます。その為、基本的には滞納者を、公表する事はありません。しかし、滞納が長期化すれば管理組合で問題となり議題に挙げるかもしれません。

そうすれば周知となり、住民とのトラブルになる危険性が出てきます。1カ月程の滞納なら問題はないでしょうが、長期化する滞納は大きなトラブルのリスクを抱えている訳です。

修繕費は住民の義務!滞納を続けてはいけない本当の理由

出来るなら、マンションの修繕費は払いたくないものです。せっかく大きな金額で家を購入したの、まだ月々の支払いから解放されない事に不満を持つ方は大勢いらっしゃいます。

しかし、残念ながら修繕費は法律で支払う事が義務付けられています。また、滞納が長期化すれば大変恐ろしい結果を招く事にもなりかねません。マンションの修繕費の法的な部分と、滞納による危険性についてお話ししていきます。

マンション所有者は修繕費を支払う義務がある!

マンション購入者には、区分所有法が適用される事になります。マンションの修繕費については、区分所有法19条に書かれています。

<区分所有法19条>
規約に別段の定めがない場合は、共用部分に対する各マンション購入者の持分(専有部分の床面積)に応じて分担する

つまり、住んでいる住居の面積に応じて管理費や修繕費を支払う義務があると定めている訳です。

財産を失う!修繕費の滞納トラブル

修繕費は月々の支払い額が大きい為、滞納が長期化すると50万円、100万円と金額が大きくなるのも特徴の1つです。

その為、管理組合も滞納額が大きくなると口頭の催促ではなく、最終的には法的手段に訴える事を検討します。まずは滞納金を回収する事だけを考慮した場合、2つの方法を検討します。

支払督促 督促状の内容に異議が無い場合は、裁判なしで判決が確定します
少額訴訟 60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用する事ができます

支払督促は、通常の訴訟と違って費用も時間も早いのが特徴です。判決が出れば、給与や預金を差し押さえる事が出来ます。少額訴訟は、1回の審理で判決をする事を原則としている特別な訴訟なので、時間短縮になります。

これらの手続きによって「債務名義」を取得する事が出来ます。債務名義とは、強制執行をする事を公的に証明した文書です。これがあれば、修繕費の滞納者の方に差し押さえなどの法的手段が取れる訳です。

住む場所を失う!滞納の果ての競売の危険性

実は修繕費の滞納は、差し押さえよりも恐ろしい結果になる可能性があります。それが、強制競売に掛けられる事です。

マンション管理組合が上記の債務名義を取得した場合、金銭的な処理だけを考えれば給与や口座の差し押さえで回収されると思います。しかし滞納者を追い出す事を検討している場合、この強制競売を執行されるかもしれません。

裁判所に強制競売が申立てられると、「競売開始決定通知」が自宅へ届きます。

ただ、通知が来ても物件の落札や立ち退き要求までには半年以上は通常掛かります。

住む場所を無くす可能性はありますが、パニックにならず対処をしていって下さい。

修繕費の滞納トラブルは、管理組合との関係が左右する

「もし強制競売を掛けられたら、実際どうなるのだろう」と言う、疑問や恐怖を持つ方は多いと思います。ただ実際に競売になるまでには、支払督促や少額訴訟と違いいくつかの壁があります。

簡単には競売にはならない!しかし滞納を続ければ可能性はある

そもそも管理組合は、強制競売を申立ててもあまり意味がない可能性があります。マンション管理組合が、競売をする意図についてお話ししていきます。

◆住宅ローン債務が有るか無いか確認する

まず競売にかける場合、滞納者の物件に住宅ローンの債務が有るのか無いのかがとても重要になります。なぜなら、もし債務が残っているなら競売自体が無駄に終わるかもしれないからです。

もし競売で物件を売ったとしても、残念ですがその売却益はまず抵当権を持った銀行に回収されてしまいます。その売却益によって、住宅ローンの補填に充てる訳です。

そして売却益より住宅ローンの債務が大きければ、管理組合に回って来るお金が無いと言う事になります。こうなると、競売に掛ける意味がなくなってしまうのです。

◆裁判所が競売を認めない!

上記のように、競売自体が管理組合に全く意味をなさない事が明確な場合、裁判所の判断で競売の申立てを取り消してしまいます。これを、無剰余取消しと言います。

◆区分所有法59条を適応する

しかし、それでも競売を行える可能性が残されています。それが区分所有法の59条です。条件はありますが、クリアすれば裁判所へ競売の申立てが出来る訳です。

ただこれまでの話で分かるように、競売は全く意味のない物に終わるかもしれません。そもそも修繕費を滞納する方が、住宅ローンを完済しているとは中々考えられません。つまり、売却益は銀行に流れる可能性が大いに高いと言えます。

では、このような回りくどい手続きをしてまで競売をする必要があるのでしょうか?そこには、管理組合の意図が隠されている訳です。

追い出す事が目的?管理組合との関係を見直す

なぜ金銭の回収が出来ないかもしれないのに、そこまでするのか?それは、新たな所有者に入居して欲しいからです。

実は、修繕費の滞納額は次の所有者へ請求する事が出来ます。

これは区分所有法第8条に明記されています。滞納分の債務は、新しいマンション所有者である特定継承人が支払わなくてはいけないと明記されています。

つまり滞納した金額を回収するだけなら、支払督促や少額訴訟で事足ります。しかし、滞納の長期化で「問題ありの住民」と判断された場合、競売と言う手を使って追い出し新たな入居者を求める検討もされてしまう訳です。

当然、管理組合はマンション住民による組合です。同じ住民を陥れるような気は、全くない筈です。

そのため競売とは本当に最後の手段だと言える半面、もし実行された場合はマンション住民の総意を重く受け止めなくてはいけないかもしれません。

マンション修繕費の滞納トラブルの流れと対処法を把握する

それでは、実際に滞納から競売までどのような流れなのかまとめてみました。また流れを確認する事で、最悪な事態になる前にどう対処するべきなのかも同時にお話ししていきたいと思います。

金銭か?それとも追い出しか?全体の流れを把握する!

1.滞納分の催促をはがきや訪問で行う
2.内容証明の郵送されて来る
3.支払督促・少額訴訟を起こされる

マンション修繕費を滞納すると、まずはポストへの文書か訪問による支払の催促があります。タイミングとしては、早くて滞納から1週間以内、遅くても2週間ほどで1回目の催促があると思います。

その後何度も文書や訪問などがあると思いますが、3カ月から6カ月程の滞納をすると内容証明が届くかもしれません。この段階で、数十万円以上の滞納額があると思います。

内容証明は、裁判での証拠となる書面です。この内容証明が来たと言う事は、管理組合が法的手続きを検討している可能性があると言う事です。

重要なのは、この内容証明が送られてきた段階で修繕費の滞納を完済もしくは話し合いで解決しておく事です。

ここで止められないと、支払督促や少額訴訟へと発展して行ってしまいます。

4.お金の回収が目的 → 差し押さえをされる

給与の差し押さえの場合、「民事執行法152条」により原則給与の4分の1が差し引かれて渡される事になります。これが、滞納分の完済まで続きます。

口座の差し押さえは、突然お金が引き落せなくなって分かるので大変怖い処罰です。

4.追い出す事を視野に入れている場合 → 強制競売を申立てられる

競売に掛けられると、まず売却されるまでに数カ月掛かります。そして、強制退去にまた数カ月程掛かるので、すぐに退去とはなりません。しかし、住所や住む場所をなくしてしまう恐ろしい処罰です。

こうならないよう、修繕費の滞納だけは回避するようにして下さい。

管理組合とのコミュニケーションが滞納トラブルの対処法!

マンション修繕費を滞納しそうになったら、まずは管理組合に相談して下さい。これが最善の解決策です。しっかり相談すれば、2~3カ月の猶予や分納を許可されるかもしれません。

また、精神的にもかなり余裕が出来ると思います。修繕費の滞納トラブルは、長期化すればするほど金額が高額になり手に負えなくなってきます。ですから、最初が肝心なのです。

修繕費の滞納は、心苦しい物であり中には恥ずかしいと感じる方もいるようです。しかし、普段から住民の方や管理組合などに参加しコミュニケーションを取っていれば苦しい時こそ助けて貰えるものです。普段から、コミュニケーションを取る事も解決の1つと言えます。

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