滞納・未払い・差し押さえ

サラ金は踏み倒しできるの?滞納から民事的制裁までの流れと回避方法

「お金が払えない!このままサラ金からの借金を踏み倒して逃げたい!」このような悲痛な叫びを上げたい方は、意外に多いと思います。

滞納を続けと、返す金額はどんどん大きくなってしまいます。滞納金の大きさや、滞納をしている精神的プレッシャーから全てを放り出して逃げ出したくなる事もあるでしょう。しかし、そもそも踏み倒しは出来るのでしょうか?

滞納するとサラ金業者から様々なアクションがあります。その時の対処によって事態が良くも悪くもなり、正しく対応しなければ法的な罰や人生を捨てて逃げてしまうような事態になる可能性もあります。そうならない為に、滞納と踏み倒しの危険性と回避方法をお話ししていきます。

民事罰を受ける!サラ金の踏み倒しとは詰まるところと法律違反

サラ金と聞くと、あまり良いイメージを持たない方が多いような気がします。しかし、それはあくまでもイメージであり、実際はそんなことは全くありません。実際は、生活や突発的な事故などで金銭的に苦しい状況を助けてくれる頼れる会社です。

ただお金を借りている訳なので、返済しなければ当然ペナルティを負います。まずは、サラ金業者の実態とサラ金業者が滞納や踏み倒しをどのように見ているのかお話ししたいと思います。

サラ金とは法律を守っている金融業者である

サラ金とは、法律を守った金融業者の事を指します。昔はサラ金というと、高利貸しとして高い金利で貸し付け取り立ても脅迫まがいと言うイメージだったので、今でもその名残で良い印象が持たれないのでしょう。

ただ、それらはいわゆるヤミ金と呼ばれる業者で、本来の金融業者は至って健全なサービスを提供しています。サラ金は、街金や消費者金融と同義です。これらの業者と、ヤミ金の違いは2つあります。

  • 金融庁へ登録している
  • 貸金業法を順守している

1つは、金融庁へ届出をしているかどうかです。お金を借りる際、その会社がサラ金かヤミ金かは金融庁のホームページで簡単に確認する事が出来ます。登録が無ければ、ヤミ金(無登録業者)と判断する事が出来ます。

もう1つは、貸金業法を守っている業者だと言う点です。これにより、法外な金額の貸し付けや誤った金利での貸し付けが出来ないようになっています。

つまりサラ金とは、金融庁に管理され貸金業法を守る、健全な金融業者の事を言う訳です。

3段階で警戒!サラ金業者が考える踏み倒しレベルを知る

サラ金から借りたお金を踏み倒すと言う事は、つまるところ法を破る事になります。もし、滞納が余りにも長期に渡ったり悪質であったり、また踏み倒して支払いから逃げてしまった場合、刑事罰ではなく民事罰を受ける可能性が出てきます。

滞納金を支払わない事は、民事では債務不履行に当たります。債務不履行の状態が長期間続くと、サラ金業者は契約を解除する事が出来ます。

契約を解除されると期限の利益が喪失する為、滞納金のみではなく借りている全額と遅延損害金を一括で支払うようサラ金業者から通達されます。

<期限の利益の喪失>
借りているお金を、返済期限が来るまで返さなくても良い権利を期限の利益と言います。これを喪失すると、債権者(サラ金業者など)は返済期限に関係なく返済を要求する事が出来ます。

※交渉によっては分割で返金できるかもしれませんが、あまり期待する事は出来ません。

さらにサラ金業者から一括請求されても滞納を続けると、次の手段として民事的な法的手続きに訴えられます。これにより、給与や預金口座などの財産を差し押さえられる可能性が出てきます。

サラ金側としては、滞納があった → 長期化して回収ができないと判断 → 契約解除 → 完済されなければ法的手段と行動を起こしていきます。

その際、債務者(お金を借りている側)に対して、3段階で分け対処する事になります。

レベル1:踏み倒しを警戒し強めの催促をする
レベル2:踏み倒しの可能性が高くなっている事から、法的手段を考える
レベル3:踏み倒して逃げられる前に、司法の力で対処する

サラ金業者にとって、貸したお金が返ってこない事だけは避けなくてはいけません。借りている方が踏み倒して逃げるつもりが無くても、経済的に先行きが不明な為、サラ金業者は滞納が始まった段階で警戒を始めています。

その後、レベルに応じて行動が変わってきます。レベルが高くなるほど、被るデメリットも大きなものになるので注意しなくてはいけません。

レベル1!督促状で踏み倒しを未然に防ぐ

サラ金業者は、滞納が始まると督促状を送付します。この段階で支払いが完了すれば、全く問題ではありません。

滞納が始まった段階で、サラ金業者がどのような行動に出るのか?また、どのようなデメリットなどが発生するのかお話ししていきます。

踏み倒しの第一歩!滞納すると督促状がサラ金から届く

支払日に支払えない場合、その翌日から滞納日が開始します。この段階でサラ金業者は、まず「支払いをお忘れではないですか?」と言うお知らせのはがきを出します。それが、督促状です。

◆①滞納日

◆②督促状

督促状の内容は、再支払いの期日と金額が記載されているだけの簡単なものです。本当に、ただのお知らせです。滞納する理由は主に2つあり、「お金が無い」「忘れていた」と言うものです。

サラ金業者にとって、お金が無いと言われてもどうしようもありませが、忘れていたと言う点においては注意喚起する事で対処する事が出来ます。故に、まずは督促状が届く訳です。

督促状は滞納から、基本的には1~2週間以内で届きます。

数日から1カ月程度の滞納は、そこまで大きな問題とサラ金業者は捉えていません。ただ、督促状が届いた日から数日以内に振込が無い場合、警戒レベルを1段階上げる事になります。

【関連記事】

支払督促の概要と防ぎ方とは。放置や無視は絶対に避けよう!

ポイントは3つ!踏み倒しのデメリットと注意点

滞納すると、その瞬間からいくつかのデメリットや注意点が発生します。

ポイント1.遅延損害金が発生
ポイント2.連絡を無視するとズルズル滞納が続く
ポイント3.金融商品の滞納は信用情報に傷がつく

滞納日から支払完了日まで、遅延損害金が発生します。金融業者によってまちまちですが、サラ金と呼ばれる消費者金融系は総じて高く、罰則金利として20%と言うものあります。

督促状には、「支払えない・遅れるなどの場合は相談のご連絡をお願いします」と記載があります。滞納が長引き法的手続きまでされてしまう方の多くは、連絡を極端にしない傾向にあります。滞納していると、確実に返済できるまでは連絡しても無駄と考えてしまう方もいるようです。

ただ、それがあだとなって後々さらに支払いが厳しくなった時に「もっと早く連絡すれば良かったと」後悔し、連絡がしづらくなってしまう事もあります。払えなかったら一旦連絡する位の気持ちが一番だと思います。

信用情報機関という、個人の債務情報を管理する機関に、滞納の記録が残ります。これは1日でも滞納したら登録されます。ただ、2~3日程度の支払い忘れの滞納はあまり問題になりません。これが長期になって来ると、今後の金融商品の審査に大きな影響を与える事になるので注意が必要です。

<信用情報機関>
個人の金融商品(クレジットカードや消費者金融などのカードローン)の債務状況や債務履歴を管理、保管している第三者機関。金融業者は信用情報機関(CIC、JICCなど)の加入が義務付けられています。

レベル2!内容証明こそ、サラ金業者の最後通告だと理解する

督促状でも支払いが無い場合、より強い態度で返済を要求する段階にレベルが上がります。この段階からサラ金業者は、踏み倒しの可能性を強く感じるようになります。

督促状が届いても支払いが無い場合は、催告が始まります。そして、それでもダメな場合は内容証明が届く事になります。内容証明は、大変重要な文書です。今後に多大な影響がありますので、十分注意しなくてはいけません。

3カ月が目安!サラ金業者の催告が内容証明に代わるタイミング

催告とは、電話・はがき・訪問などで支払いの催促をする事を言います。この段階で、連絡を取り返済方法の相談を行う事が一般的です。しかし、これを放置してしまうとズルズル最悪な事態へと進んで行ってしまうので気を付けて下さい。

催告は、内容証明が届くまで何度も繰り返されます。当然、サラ金業者も民事的な手続きは出来るだけ避けるように行動します。ただ、あまりにも連絡が取れなければ別の手段に移行せざる得なくなって来る訳です。

◆③催告

◆④内容証明

一般的に、滞納から3カ月程度で内容証明がサラ金業者から郵送されてきます。内容証明は裁判で有効な文書の為、送られてきた場合はある程度の覚悟を持って対処しなくてはいけません。出来るだけお金を集め、支払いに充てるようにした方が賢明だと思います。

内容証明には、滞納金、遅延損害金、借入のある金額の全額返済、契約の解除などが記載されています。

また、支払いがなければ、法的な手続きに入る事も加えて記載されています。

催告の段階で対処する!サラ金業者から逃げずに相談する

サラ金業者にとって滞納しているお客様は、踏み倒し予備軍としてある意味認識しています。故に、連絡や相談をする事で、逃げずに支払う意志と言うものを見せる事が大切になってきます。

ここで無視や放置などすると、民事的な制裁が思ったより早く執行されてしまう可能性が出てきますので慎重に行動する必要があります。

ポイント1.連絡が精神的な負荷となる。連帯保証人がいれば連絡がある
ポイント2.催告を無視する事は内容証明の送付を早めてしまう
ポイント3.滞納が3カ月になれば、信用情報機関に「異動」と登録される
ポイント4.内容証明が届いても放置すると裁判という司法に判断が委ねられる

相談などをしていると、一先ず催告は止まります。連絡が取れないと、催告は絶えず掛かって来るので精神的に辛くなります。また、連絡が取れないと連帯保証人などへの連絡される場合があります。

滞納から3カ月程で内容証明が届き、裁判と言うものが現実味を帯びてきます。支払いについて相談したり、お金を集め滞納金の支払いに注力したりする必要があります。

また滞納から3カ月で、信用情報機関に「異動」と記載されます。これは、金融事故を起こした人という事です。異動と記載された場合、新規の金融商品(クレジットカード、車のローンなど)の審査にはほぼ通らなくなってしまいます。

内容証明が届いたら、裁判の事を視野に入れる必要があります。記載している事に従えない場合は、民事的な手続きに移行する事になるので、この段階で滞納が解消できるよう「3カ月」と言う期間を大切に行動して下さい。

レベル3!踏み倒しをさせない最終手段こそ差し押さえ

内容証明は最後通告です。これで支払いがなければ、貸したお金を踏み倒されてしまわないように民事的な制裁を含め対処するようにサラ金業者は最後の段階へと移行します。

実際、踏み倒して支払いから逃げてしまう事が出来るかもしれません。たまにニュースなどで、社会問題として取り上げられたりもしています。しかし、普通の暮らしがそれ以降できる可能性は極めて低いと言えるでしょう。

また、逃げたとしても専門の業者によって場所を特定され、更なる罰則を課せられるかもしれません。逃げる事よりも、今までお話ししてきたレベル1や2の段階で、なるべく滞納トラブルを解決するように努力した方が健全であると言える訳です。

人生を捨てるか?サラ金へ返済するか?差し押さえまでの流れ

内容証明の支払期日に支払えない場合、またこの段階でサラ金業者とコンタクトを取って返済の予定を立てていなければ、民事訴訟という段階に入ります。

サラ金などの訴訟は、基本的に支払督促で行われます。支払督促は、裁判所に出向くことなく簡単な手続きで「判決」が貰えるので、多くの債権者にとって助かる法的手続きになっています。

支払督促が郵送されてきた場合、異義申し立てをするかどうかを判断する必要が出てきます。「支払いを分割にして欲しい」「支払い予定を、このようにしたい」など要望を伝える事が出来るのはこの時だけです。意義が無ければサラ金業者の要望を全て納得した事になります。

手続きが簡単であるからこそ、借りている側は常に滞納の先に訴訟がある事を忘れてはいけない訳です。内容証明の支払期日から、訴訟を提起されるまでの期間は1カ月程度を1つの目安にすると良いと思います。但し、早くなる可能性もあるのでそこは注意が必要です。

◆⑤訴訟

◆⑥差し押さえ

通常の訴訟では判決は、2~3カ月程の期間が掛かります。しかし、支払督促はその半分ほどの期間で判決が出ます。

ただ判決が出ただけでは、差し押さえがすぐに行われる訳ではありません。

裁判所の判決で、滞納金や遅延損害金などのお金の支払いをまずは命令されます。この段階でも支払いが無い場合、サラ金業者は再度に裁判所へ今度は「差し押さえ」の申立てをします。

一般的には、この差し押さえの申立てから強制執行までは1~2カ月程掛かると言われています。判決が出ても、差し押さえまでは少しだけ猶予があります。この段階が本当に最後のチャンスとなります。

滞納トラブルは、滞納から差し押さえまで1年近くの期間が掛かる事になります。意外に猶予はある物です。踏み倒して逃げる事を考えるよりも、お金を必死に貯め支払いを出来るだけサラ金業者と相談しながら行う道を進む方が良いと思います。

訴訟を提起されればほぼ敗訴!様々なデメリットを把握する

訴訟、差し押さえとなれば、生活に大きな影響が出ると思います。また、上記で挙げたきたデメリット以外にも新たに発生します。

ポイント1.遅延損害金、滞納金、訴訟費用などが加算され請求される
ポイント2.訴訟はほぼ敗訴
ポイント3.支払督促は異義申立てが行えるが期限付き
ポイント4.差し押さえ前は財産調査が行われ、勤務先などに確認される
ポイント5.差し押さえは滞納金+違約金が支払わなければ解除されない
ポイント6.時効は考えても無駄

訴訟までいくと、滞納金以外にも支払う罰則金が増えていきます。また明確な理由がない場合は、ほぼ敗訴になります。例えば、震災、災害などで支払う事が出来なくなった場合などです。こういったケースでは、完全敗訴を免れるかもしれません。

先程も述べましたが、支払督促は異義申立てを裁判所に行わなければサラ金業者の要望を丸呑みする事になります。この場合、借りている金額の一括請求になる事がほとんどです。

お金が無いから滞納している訳ですから、基本的に一括請求に応じる事は厳しいと思います。そこで異義申し立てを行う訳です。但し、異議申し立ては2週間以内と言う期限付きです。その点には十分注意して下さい。

実際に、差し押さえが行われる前に財産調査が行われます。その際、給与について勤務先などに連絡が入る場合があり、それにより周知となる場合があります。そうなると、勤務先で精神的負荷が掛かる可能性があります。

また給与の差し押さえの解除は、滞納金などが完済されるまで続きます。請求額が多ければ多いほど、その期間は延びていきますのでやはり早めの対処が必要な訳です。

債務の時効を気にする方がいますが、あまり考えても意味がないかもしれません。一般的には、金融商品(サラ金)の時効は5年です。但し、支払督促などの訴訟を提起されるとさらに10年延長されてしまいます。

つまり、15年も借金は消えない訳です。サラ金業者は、時効にならないよう細心の注意を払っていますので、あまり考えない方が健全だと思います。

債権者にとって踏み倒しは、ある意味では滞納した瞬間から始まっています。踏み倒し切られる前に回収できるか、踏み倒されて回収できないかの2択しかサラ金業者にはありません。だからこそ、法的手段を使ってでも全力で回収に来る訳です。

一連の流れを把握し、踏み倒さないためにはどうするのかこれまでのお話しを参考にして下さい。

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