滞納・未払い・差し押さえ

株が原因で破産することは無い?借り入れをする際の注意点

資産運用の方法でおそらく最も多くの人が知っているのが、「株式運用」でしょう。証券取引によって株式を購入し、それによる配当、および売却によって利益をあげる資産運用です。

今回は、この株式運用と銀行や消費者金融の利用にまつわるトラブルについて解説していきます。

「こんなことは絶対しない」と考えている人であっても、状況によっては当事者になる可能背があることなので、株式運用をしている人、これからやってみようと考えている人は知っておくべき事柄です。

株式運用で破産することは基本的にはあり得ない?

さて、株式運用では自身が保有している余剰資金を利用して株式を購入し、それを保有、または売却することによって利益を出すのが基本的な流れです。

株式が最も価値を失うのは、対象企業が経営破綻(倒産)したときです。いわゆる「株が紙切れになった」という状態です。株式が紙切れになった場合は、その価値は0円になりますが、マイナスには絶対になりません。倒産した企業の経営者であれば、債務を負担することもありますが、ステークホルダー(企業の利害関係者)の一つである株主は、債務の負担義務はありません。

これは、株式会社という企業形態であるためです。言ってみれば、自分が出資した以上の金額の損失責任は負わなくていいというのが、株式会社の特徴でもあります。

もし企業が倒産した時に、株主にも残った債務返済義務があれば、誰も株を購入しようとは考えなくなるでしょう。

株式証券の価値は最低でも0円、これは絶対です。つまり、たとえ持っている株が全て無価値になったからと言って、借金地獄になるということはあり得ないのです。

保有株式が一度に全て無価値になることもない?

株式をはじめ、資産運用をしている人であれば、やっていて当然と言えるのが、「リスクヘッジ(危機管理)」です。投資の素人でもなければ、自身の資産を単一の投資対象につぎ込むような真似はしません。

リスクヘッジは、よく卵と籠に例えられます。卵を自分の資産、籠が投資対象だと考え、1つの籠に卵を全部入れてしまうと、籠が壊れた時、中の卵も全てダメになってしまうが、複数の籠に卵を分けて管理すれば、1つの籠が壊れても卵を全て失うことは無いということに例えて、自分の資産を分散して投資することが推奨されています。

株式運用でも同じで、たとえ投資した株式会社が倒産しても、持っている株式を複数の企業に分散させて保有することで、一度に資産を失うことを防ぐのです。この観点から見ても、株式運用で破産するということは基本的にあり得ません。

つまり、株式の損失による資金減少は、破産の直接的な原因には成り得ないということを念頭に置いておく必要があります。

では、なぜ株式が破産と関連して語られることがあるのかという話になります。

株の損失を借金で補おうとするのは絶対ダメ!

株式は、あらかじめ購入した債権の価値がなくなる以上の損失は出さないので、余剰資金が一文無しという状態にはなっても、借金という状態にはなりません。では何が問題なのかという話になります。

株式運用で破産云々が出てくるのは、「投資の損失分を借り入れによって補おうとする行動」が原因です。損失を外部の金融業者で補填しようとして、それをさらに投資、再び損を出し、借り入れの金額を返済できなくなるという悪循環によって破産に向かってしまうのです。

この状態は、ある種ギャンブル依存症の一種とも言えます。例えば、ギャンブルで負けが込み、生活費を使って負け分を取り返そうとして泥沼に嵌まる状態に似ているといえます。

株式の運用は、あくまで自己資本によって行われなくてはいけません。この線引きを誤ると、際限のない借金地獄に足を踏み入れる危険性が出てきます。

その事実を裏付けることではありませんが、銀行カードローンや消費者金融の個人向け借り入れの利用目的の欄には、「※投機資金は除く」という文面が必ず記載されています。

貸金業者でも、自社が融資した金を利用者が投資に使うのを禁じています。返済できなくなるリスクが高く、貸金業者としても債権を回収できなくなるリスクを重く見ている証左です。

株式運用で利益を出すか損失を出すかは運否天賦です。無論、完全な投資の素人よりも、経済や市場に精通した者の方が利益を出せる確率は高くなりますが、それでも確実ではなく、損を出すこともあります。

貸金業者としては、契約者がどの程度資産運用に精通した人間かを測ることは出来ないため、投機資金目的の融資は完全に断っているのです。

株による破産者が後を絶たない貸金業界の制度上の落とし穴

さて、「貸金業者がきちんと投資目的の融資を断っていれば安心だな」と考えた人、残念ながら当ては外れてしまいます。

例えば、株で失敗したAという人がいるとしましょう。Aは、株式投資で巨額の損失を出し、余剰資金の大半を失ってしまいました。幸い生活するだけのお金には余裕がありますが、まともに株式投資を続けるのは困難になったしまいました。ここでAは株式運用自体をやめる気はない時、何を考えるでしょうか。

先述したように、貸金業者から投資のためにお金を借りることは出来ないと、貸金業者の約款に定められています。このようなケースになっている例は極めて多いです。

このような状態になった時、多くの人が、貸金業者からは、「生活費の補填」という名目で金を借り、生活費として確保している自己資産を投資に回すのです。

どういうことかと言うと、毎月の生活費をそのまま投資資金にしてしまいます。当然、それでは生活できないので、貸金業者から当面の生活費分の金を借ります。借りる金の目的は「投機資金」ではなく生活費目的です。そのため、約款には引っかからずに借りることが出来ますが、要は規則の抜け道を利用しているだけで、実際は投資のために金を借りているのです。

こうして、生活費を借金し、投資資金に回した資金が回収できなくなり、借り入れの借金だけが残るという状態が出来上がるわけです。貸金業者は、借りようが借りた資金が実際に生活費になっているため、実は投資に使われた生活費の補填だと調べることが出来ないため、その利用者にお金を貸すことを防ぐことは出来ません。

株式運用は、短期間で利益を出しやすい反面、リスクの高い金融商品です。特に短期運用は、有価証券の中でも特にハイリスクハイリターンな手法です。株式運用による破産の大部分は、この短期運用に失敗したケースと言われています。

貸金業者としても、この問題は深刻なのですが、利用者一人一人の資産の流れを追うことは不可能であるため、実質放置せざるを得ない問題です。破産を防ぐには、利用者の認識自体を改善させるしか手が無いのが現状です。

株式運用で資金としても良い範囲とは

株式運用による借金からの破産は、身も蓋もない言い方をすれば、欲をかいた結果の自業自得なのですが、投資というのは、どうしても損失を取り返したくなる性質のシロモノです。

投資を新たに始める人に対して、経験者が常套句として伝える格言があります。曰く、「無くなっても良いと思える金だけでやること」、これさえ守っていれば、借金してまで投資にのめり込む危険性を理解できるでしょう。

「資産運用」とは、自身の資産を増やすことを目的として行われるものですが、その元手になる資金は、「失っては生活に支障をきたす類」のものであってはいけないのです。

これを見誤ってしまうと、株で損をしたときに何としても取り返そうとムキになり、手を付けてはいけない金を使ってしまい、そのあげく、借金してでも取り返そうとしてしまうのです。

株式運用で破産を防ぐためにもう1つ重要なのが、長期運用と短期運用を組み合わせることで、短期間で多額の損失を出すような運用にしないという点です。

これはリスクヘッジの手法の1つですが、損失を短期間に多く出してしまうと、資産運用自体に影響が出てしまいます。そのため、リスクの高い金融商品を扱う場合、同時に低リスクの商品を同時に運用し、もし短期運用で失敗してもそのフォローが出来るように立ち回ることが出来れば、それほど焦らずに済みます。

資産運用で投資家が肝に銘じている事柄があります。それは、「損した分を取り返そうと深追いしない」ということです。株式運用で破産する人は、これが確実に出来ていません。「失った資産を何としても取り戻したい」、この思いだけが頭に強く残っており、後先考えずに借金に駆り立てるのです。

こうならないためには、何度も言うようですが、「失っては困る金」で株式取引に手を出してはならないということです。

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