滞納・未払い・差し押さえ

なぜ払わない?給食費の滞納問題を理解し解決する方法

「給食費の滞納が続いたらどうなるのか?」年々滞納する世帯が増え、社会的な問題として給食費の滞納問題が度々取り上げられるようになりました。

給食に対する意識が変わり、2つの考え方が滞納問題をより大きなものに発展させています。払うべきか?それとも払わずに放置するべきか?

もう1度、給食の意義を理解し、滞納トラブルの未然に防ぐ解決策についてお話ししていきたいと思います。

差し押さえと支払の義務!給食費の実態を把握する

「義務教育なんだから、給食費も無料にして!」「頼んでないのに勝手に出してきて迷惑」など、給食費を滞納されている方にも理由はあります。しかし、実際に滞納しているので回収をされる訳です。

ただ、「給食費で差し押さえまでするの?」と言う疑問はあると思います。そこで、過去のニュースから給食費の差し押さえ記事を確認し実態を把握していきましょう。

また、そもそも給食費を払う必要はあるのでしょうか?その根本的な疑問にもお答えしたいと思います。

給食費の滞納で差し押さえ?2つのニュースから確認する

世間的に、給食費の滞納が本当に財産の差し押さえにまで発展するのか?過去のニュースを実際に確認して確かめてみましょう。

<産経ニュース:2015年6月4日>
未払い給食費の6万5000円の支払いを求め、川越市が保護者を提訴しました。小学校の給食費を未払いのまま卒業した保護者へ、内容証明付きの催告書を発送。昨年の3月に給食費の未納で提訴し、その際は支払い命令が出た後、強制執行前に被告が支払っている。

記事を読むと、未払いの提訴はこの段階で2回目のようです。1回目は差し押さえ手前で、支払いが完了しているみたいです。差し押さえまで行きませんでしたが、このように給食費の滞納で、実際に差し押さえされる可能性は十分ある訳です。

<埼玉新聞:2015年8月21日>
給食費4万円を滞納した保護者に、差し押さえの強制執行が行われました。再三の支払い要請にも応じず、手紙や訪問などを無視されやむを得ず強制執行を申立てました。さいたま地裁は、給与の差し押さえを強制執行し5万6647円を回収した。

これは、実際に差し押さえがされたケースです。1年程の給食費の滞納分を、差し押さえられたみたいです。この差し押さえは、埼玉市にとって初めての事だったようです。現段階でも、給食費の滞納を差し押さえで解決する事は珍しいケースとなります。

しかし、給食費の滞納が増えてきて、学校側も強硬な姿勢に出て、状況を打開しようとしています。今後も給食費の滞納は社会問題として、より厳しい対応を学校側は取っていく可能性が考えられます。

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そもそも給食費は払わないといけないの?保護者負担の義務です

給食費を滞納されている方の中には、義務教育の一環として給食も無料にするべきという考えがあるようです。

しかし、実は給食費は学校給食法11条によって保護者が負担するべきであると義務付けられているのです。

つまり、給食費は払わないといけないのです。法律的に。

<学校給食法 第11条>
学校給食に必要な施設や設備に関する経費は、義務教育諸学校の設置者が負担する。また、学校給食に掛かる費用は保護者の負担とする。

故に、行政側も最終的に法に則って、差し押さえと言う手段を取る訳です。このまま、滞納が増加し続ければ法的手段をより活用していく可能性は大きいと思います。

給食の必要性と滞納を引き起こす2つの本質を理解する

本来の給食は、ただの食事ではなく学校教育の一環です。ただ、おいしいかまずいか、給食費を払うか払わないかという事で図るものではないのです。

また、滞納を引き起こす原因は経済的要素だけではありません。その点を踏まえ、給食の意義と滞納の原因についてお話ししていきたいと思います。

給食の意義!子供の成長に欠かせない3つの視点

給食費の滞納が、給食をただの食事という問題にまで落としてしまっているのかもしれません。確かに、給食は食事ですが子供にとって大切な成長の場でもある事を忘れてはいけない筈なのです。

  • 集団行動を学べる

一般的に、家庭と学校を比較したうえで最も重要なのが、集団行動という人間関係の構築になると思います。多くの子供たちが、家族以外の人間と同じ食事を取ると言う事を学校で学ぶと思います。

学ぶ、遊ぶ、そして食事。これらは、全て子供たちの成長に起因しています。故に、お弁当も良いのですが、小学生ぐらいまでは給食を通じて人間関係を学ぶ場と考える方が健全ではないでしょうか?

給食費の滞納が続くと、給食自体の存続も危ぶまれるので、慎重に考慮する必要があると思います。

  • 栄養と食習慣

給食はバランスを考慮された食事です。出来るだけ品目を増やし、家庭では食べなれていない物や嫌いな物も集団という状況だからこそ食べられると言う事もあります。

それが、栄養となり身体の成長を促します。また、一汁二菜、一汁三菜と日本の食生活の習慣を学ぶ事が出来るのも、給食の良さではないでしょうか?

栄養と食習慣を学ぶ上で、給食の存続は大いに役立ちます。

だからこそ滞納問題は、出来るだけなくす方が良いと思う訳です。

  • 地域の文化産業に対する理解

これは、地域性の話になります。給食には、地元の食材や名産品が利用されます。それが、地元の文化に触れる絶好の機会になっている面がある訳です。

給食を通じ、自然と地元の食文化などに触れさせる事は、家庭だと中々難しい面があると思います。故に、給食は大きな役割を担っているのです。

貧困かモラルか?給食費の滞納を引き起こす2つの本質

年々、給食費の滞納は増えていますが、では実際の給食費はどれくらいなのでしょうか?小学生と中学生の1月分と1年分を確認してみましょう。

1カ月 1年
小学生 約4000円 約5万円
中学生 約4500円 約5万5000円

現在は、少子化と言われ、数十年前と比べると1クラスの人数も、クラス自体の数もかなり減少しました。その為、給食費の滞納はかなり給食の運営を脅かしている訳です。

なぜこのように滞納が増えてきたのでしょうか?その原因を2つ挙げていきたいと思います。

①経済的問題

給食費の滞納問題は、この経済的要素が多分にあると言われています。家庭の事情によって、身体的理由(病気・障害)、育児、失業、給料の減少など時間とお金に余裕が無いからこそ支払えないという訳です。

経済的問題は、貧困の問題として大変難しい状況です。支払えない理由としては、正当性を持つと思います。故に、そのような場合、まずは学校や役所などに相談する事が大切になります。きっと、丁寧なアドバイスが貰えると思います。

②責任感・規範意識の欠如

実は、文部科学省の調べでは、給食費の滞納問題は責任感や規範意識がなくなっているから起こる問題だと示しています。

調査に参加した約60%が、モラルの欠如が給与の滞納を引き起こすと考えている訳です。

「義務教育だから、給食費は出さない」「給食がまずいので、払わない」「お弁当の方が良い」「勝手に押し付けて、さらにお金まで要求するな」など、この発言を見るとモラルの欠如と言いたくなってしまうのも、うなずけるかもしれません。

昔は、給食費を払う事が当たり前で、給食費を滞納している方に対しても「保護者の経済的事情が原因で、給食が食べれないのは不公平」と言って、普通に食べさせていました。

しかし今は、どちらかと言えば滞納した人間には制裁的処置をするという傾向にあるように見えます。これは払っている人が不公平感を持たない為の処置なので仕方がないのですが、給食本来の意義を見失ってしまっているのかもしれません。

給食費の滞納問題は、貧困とモラルの2つが大きな影響を与えています。しかし、ここに給食本来の意義を踏まえて考え出すと、また違った意見が出るのかもしれません。参考にして、考えてみて下さい。

差し押さえまでの流れと、給食費の時効を把握する

それでは、滞納から差し押さえまでの流れをお話ししていきます。最初にニュースの記事で確認して頂いたように、差し押さえは起こり得る事です。

実際の流れを把握し、もし滞納した場合はどう対処するべきなのか参考にして下さい。また、給食費に時効が存在します。成立は、かなり難しいのでその点も踏まえお話ししていきます。

差し押さえ8つの段階!給食費を滞納してからの流れ

差し押さえまでの流れは、全部で8つに分ける事が出来ます。

◆①滞納(支払日の翌日から開始)

◆②督促状((再度の支払い期日と金額を記載した、お知らせです)

◆③催告(電話・はがき・訪問などで滞納金の催促を行います)

◆④内容証明(法的な手続きに移行した事を通知する書面です)

◆⑤支払督促(給食費の滞納なら、一般的に支払督促で提訴されます)

◆⑥判決

◆⑦強制執行の申立て

◆⑧給与・預貯金の差し押さえ

期間はまちまちなので、滞納から差し押さえまでが1年以内だったり、2年近くあったりします。これは、それぞれの自治体によって異なるので明確にする事は出来ません。

問題は、④の内容証明です。①~③までの段階で、滞納金の支払いや相談などで対応していれば問題はありません。しかし、滞納を放置した状態で内容証明が来ると、自治体側の法的準備が開始されている可能性が大きいです。

①~③、最低でも④までで、滞納トラブルを解決するように心がけましょう。

給食費の時効は2年!但し、ほぼ成立は不可能

給食費は、民法第173条3号に規定されている「教育・衣食の代価」に該当するので、滞納しても2年で消滅時効を迎えます。

ただし判決を受けると、それまでの時効がリセットされ、その日から新たに10年の時効が開始されます。

これを時効の中断と言います。この為、時効の成立はほぼ不可能なので、あまり考えない方が良いよ思います。

相談と制度を利用する!給食費の滞納を解決する方法

払いたくても払えない。だからこそ、給食費を滞納して辛い思いをされてしまうかもしれません。そこで滞納してしまった時、どのようにすれば良いのか解決策をお話ししていきたいと思います。

まずは学校へ相談!滞納トラブルの解決への第一歩

1人で悩んでいても仕方がありません。まずは、学校や役所へ相談してみる事こそ、解決の第一歩です。

1.分割を提案する
2.支払いを伸ばす
3.お金を集める

まとまったお金を用意するのが厳しいなら、分割や支払日を伸ばす提案をして、支払う意志を伝える事から始めて下さい。分割や支払日を伸ばす事なら、意外に簡単に許可が下りるものです。

お金を集めるのも1つの手段です。お金を集めるとは、親やカードローンなどを利用するの手段となります。但し、返済計画がしっかりできていないのに借りてしまっては意味がありません。より辛い状況になるだけです。

お金を集めるのには1つの手段なので、慎重に考え行動して下さい。

どうしても給食費を滞納してしまうなら就学援助を考えてみる

就学援助とは、文部科学省が学校教育法19条に則り、経済的理由で、就学が困難だと判断された場合、市区町村が援助をしなければならない制度です。

下記2つが、受けられる条件です。

  • ①生活保護を受けている世帯
  • ②生活保護を受けていないが、総所得が各自治体の定める基準値より低い世帯

※条件をクリアできないと判断された場合は、受けられませんので注意が必要です。

また以下のようなものが、就学援助の対象となります。

<就学に分類されるもの>
1.学用品費
2.体操服・体育帽
3.児童生徒学用品費
4.通学用品費
5.修学旅行費
6.校外活動費
7.学校給食費
8.生徒会費
9.PTA会費

申請も、学校から受け取れる申請用紙に記入し提出するだけなので、給食費を滞納しそう、している方は是非ご利用下さい。

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