滞納・未払い・差し押さえ

除籍や自主退学を避けたい!学費が払えない方の5つの解決策

「どうしても学費が払えない」「滞納が続いて、これからどうなるんだろう?」など、受験戦争をクリアして大学に入っても、経済的理由から学費が払えない状態に陥ってしまう方が増えています。

義務教育が終わり、高校、大学と進学する際、家庭に大きな負担として圧し掛かるのが学費です。現在、奨学金なしで大学に通える学生は約半数以下になりつつあります。また学費の滞納問題も増加傾向にあります。

そこで、学費を払えないとどうなるのか?払えない場合は、どう対処していけば良いのか?など、現在から将来に至るまで大きな影響のある学費滞納問題についてお話ししていきたいと思います。

学費を払えないとどうなるの?滞納問題と悲惨な結果を把握する

年々上がる学費は、そこに通う学生に直撃します。その為、学業よりも学費に意識が向く学生も出るような本末転倒な状況もしばしば見受けられるようになりました。

経済的な状況から払いたくても払えない家庭が増え、そのせいで学費の滞納問題は良くニュースで取り上げられています。なぜ学費が払えない現状が生まれてしまっているのか?学費の相場などを確認していく事にしましょう。

更に、学費の滞納が長期間続くとどうなるのかについて、お話ししていきたいと思います。

学費を払えない人達の増加!40年程で14倍になった学費

大学の学費を参考に、年間の授業料がどのようになっているのか確認していきましょう。学費は、年々上昇傾向にあり、「私立は無理でも国立なら・・・」と言われた国立大学でさえ、実際の学費はそんなに安いとは言えない状況です。

データで確認すると学費の推移は、私立大学は40年程で5倍、国立大学は14倍となっています。

昭和50年 平成28年
国立大学 3万6000円 53万5800円
公立大学 2万7847円 53万7809円
私立大学 18万2677円 87万7735円

※文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より

初年度には入学費がここに加算され、国立大学を4年間過ごすだけで最低240万程の学費が必要とされています。

また博士課程、大学院、理系、文系、留学など、進みたい道によっては倍近い金額が必要とされ、さらに教科書や家賃、雑貨、食費など大学生活に必要なお金が掛かってきます。

そして文部科学省の試算では、このままでは2031年には国立大学の学費は年間93万円になるとの事です。

では、なぜこれだけ学費は上がっていくのでしょうか?「人口減少により、大学への進学率が落ちているから一人ひとりへの負担が上がっている」という意見もありますが、大学進学率を文部科学省の学校基本調査で見てみると進学率は年々上がっている事が分かります。

1970年頃は40%だった大学への進学率も、2000年の初等より50%を超え、2017年度でも52%と緩やかにですが右肩上がりとなっています。

つまり大学への進学率が下がっているので、1人ひとりの負担額が大きくなると言う論法は、実際は進学率が上がっているので的を外している訳です。全体を考慮すれば、学費は維持されるか逆に下がらなくてはいけないのです。

そもそも国立大学の運営費は、「運営費交付金」が約44%占めています。しかし、この交付金が2004年の政策転換によって下がった事が学費に大きな影響を与えています。国立大学の学費の増加は、運営費交付金の減少分を学費に転換しているからなのです。

当然、これだけが学費増加の理由ではありません。補助金の減少の他にも、各大学は学生獲得のための設備投資、研究費、教育への投資、人件費などを増加し大学の質を高めている為、学費にその影響が出てい訳です。

平成28年度:平均月収 35万
※国税庁「民間給与実態統計調査結果」より

学費は上がる事しか想像できません。そして、日本人の平均月収は残念ですが下がる事しか想像できません。学費が払えないと言う問題は、これからも続く社会的問題であり大変深刻だと言える訳です。

退学か除籍か?学費を滞納した人が辿り着く未来

学費が払えない状態が続くと、最終的には2つの結果を選択する事になると思います。それは今後の、生き方を左右する選択なの慎重に選ばなくてはいけません。

  • 除籍

学費を長期滞納すると、学校側から「除籍」を言い渡される事になります。

つまり、強制退学と言う事になります。これが学費が払えない方にとって、一番最悪な結果になるのかもしれません。通常、除籍には除籍証明書が発行され、最終学歴は大学中退です。

たまに除籍処分を「大学にいた経歴がなくなって、高卒になる」と思われる方もいるようですが、大学のデータ上にはきちんと残っています。さらに、大学によっては復学(再入学)が可能な場合もありますので、過剰に悲観する事はありません。

ただ、除籍は大学が行う処分の1つです。学費を滞納し続ける事で、大学側がやむを得ず退学という処分をした結果が除籍です。就職などで、大学から処分をされたと言う事実は厳しい判断をされる可能性はあります。

因みに、大学において抹籍と言う処分があります。この処分を下された方は、最終学歴が高卒となります。

<抹籍>
大学内のデータから、籍を完全に抹消する事を意味します。重大な犯罪を犯した場合など、非常に限られたケースのみこの処分を下される事になります。
  • 自主退学

除籍の他に、選択肢として自主退学があります。除籍と同じように、最終学歴は大学中退です。但し、除籍とはいくつか違う点があります。

まず、自主退学は大学中退証明書が発行されます。これは、除籍と同じ中退を証明するものですが、就職時の印象は除籍よりは良いとされています。これは除籍が学校側からの処分なのに対して、自主退学は本人の選択だからなのかもしれません。

また、自主退学は単位が残ります。例えば、3年の後期に退学をしても前期までの単位は残るので、もし復学をしても単位を活かして学ぶことが可能です。その点、除籍は1年からのやり直しとなります。

学費が払えない状況に陥った方の最終的な未来は、除籍か自主退学かを選ぶ最悪な未来が待っています。

学費が払えなければ、学生生活や今後の人生にも影響がある

学校を辞める選択をするのは、簡単な事ではないと思います。就職や社会的評価など、想像するだけで大きな影響が出る事は分かると思います。

また学費が払えない状態だと、除籍や自主退学を選択するまでの期間も大変辛いものになると思います。様々な理由で学費を滞納してしまう訳ですが、実際に起こるであろう影響についてお話ししていきたいと思います。

在学中のリスク!日常生活は簡単に崩れてしまう

学費が払えないとなると精神的にプレッシャーとなり、体調などの健康面に影響が出たりします。また、お金をバイトなどで稼ぐ事により学業に掛ける時間より多くなる場合もあるでしょう。学生生活において、学費の滞納が特に影響を受ける3つについて見てみましょう。

①除籍処分のプレッシャーによる、心身的な問題
②掲示板の掲載
③交友関係・学力低下

まずは、除籍です。上記でも述べましたが、最悪な結果です。そして除籍するかもしれないと言う精神的プレッシャーは、大変辛い事だと思います。本来、新たな事に挑戦しながら専門的な学問を学ぶ大学においては、本分である勉強もレベルの高いものです。

それをこなしながら、さらに金銭的な問題や学校を去る事を考慮しながら生活するのは、心身共に大変な事です。この結果、先に病気などで自分自身が倒れてしまう事もあったりします。

また、学費を払わないと学校側から支払いの督促状が届きます。それでも滞納を続けると、掲示板などに掲載されたりします。これは、本人にとって大きな精神的負荷となってしまいます。学生の方にとって滞納とは、周りに知られたくないため恥だと思ってしまう傾向があるようです。

そして、金銭的にも友人との付き合いも減り、バイトなどで学力の低下や意欲などの喪失によってより悲惨な状況に陥ってしまうケースもあったりします。

こうなると、楽しかった日常生活も簡単に崩壊してしまう訳です。学費が払えない状態は、放置すると大変危険なのです。

除籍や退学はその場限りでは終わらない!将来への悪影響

もし、実際に除籍や退学を選択した場合、どのような未来が待っているのでしょうか?大学を中退した場合、以下の3つが特に人生に影響をもたらすと思います。

④進路
⑤年収の低下
⑥社会的評価の低下

1番は、やはり進路です。つまり、就職と言う社会人でのスタートに多大な影響が出ます。大学というブランドが崩壊し、実力主義、個人主義など言われる世の中ですが、やはりまだ学歴という枠は残っています。

特に、4年生の大学を卒業していないと、面接に辿り着く事が困難な企業や業種もあったりします。大学にまで進んだのに、選択できる道が狭くなってしまう訳です。

残念な事なのですが、高卒や大学中退より大学卒の方が、年収が高いと言う統計が出ていたりもします。

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を参考にしています。

年収は進んだ業界や企業によって様々なので一概には言えませんが、除籍処分などは安定した大企業や専門職には就職する事がかなり難しいため収入面に大きな影響が出る事は予想しやすいと思います。

次に評価ですが、中退者は社会的な評価や結婚時の評価などで低く見積もられる傾向にあります。例え実績などを積み重ねても、中には大卒でないと言うだけで評価を低く見る方もいます。このような評価と言う部分は、社会に出ればより感じる事が多いものです。

学費が払えない事により、除籍や自主退学を選択する可能性はあります。但し、除籍や自主退学で大学中退となった結果で将来に多大な影響が及ぶ事を理解しておく必要がある訳です。

退学と除籍までの流れを知り、それ以外の方法を考えてみる

それでは実際に、学費の滞納から除籍までの流れを確認していきましょう。その流れの中で、どのように対処するのか見極める事が大切となります。

また、除籍や自主退学以外にも別の対処方法があります。1つの方法としては有効なので、参考にしてみて下さい。

滞納から除籍・自主退学までの4ステップ

滞納から除籍までの流れを、4つのステップにまとめました。

◆ステップ①:滞納

支払日の翌日から滞納が始まります。高校や大学の学費は、前期後期の2回となります。各学校によって支払日は違ってきますが、基本的には前期は4月末から5月上旬、後期は10月末から11月初旬あたりとなります。

学費を滞納しそうなことは事前に分かっていると思うので、この段階かもしくは前段階で1度、学校側へ相談するべきです。これが最初の、除籍を回避するポイントになります。

◆ステップ②:督促状

督促状と聞くと物々しいですが、「支払いが遅れていますので期日までに支払って下さい」というただのお知らせです。一般的な傾向として、除籍になった方はこういった学校側の連絡に対して放置する傾向があります。

学費が払えないとしても、まずは相談するべきです。学費は支払額が大変大きく、悩んでいても解決する事はまずないでしょう。現状の把握と、解決への糸口を見直す為にも学校側からの連絡には対応しましょう。

◆ステップ③:催促

学校によっても様々でしょうが、支払いの催促を定期的に行う事になると思います。基本は、住んでいる住所へはがきなどが郵送されてくるでしょうが、学内の掲示板での告知もこの頃から始まったりします。

周知にバレたくない、と言う想いもあると思いますが学校側がこういった気持ちを考慮する事はありません。呼び出されたりする事もあるかもしれませんが、何かしらの対処をしなければかなりマズイ状況に陥ってしまう段階です。

◆ステップ④:除籍

学校によって期間はまちまちですが、滞納を3~4カ月、もしくは2期分など行うと「除籍」と言う処分を受けてしまいます。

上記でも述べましたが、除籍には様々なデメリットがあります。また、学費が払えなくなってから除籍までの期間は、そんなに余裕がある訳ではありません。滞納する事が分かった段階で相談して、対応策を話し合う事が重要なポイントとも言えます。

休学を考えてみる!学校を一旦離れる事も1つの手段

どうしても、学費が払えない場合は「休学」も1つの選択肢に検討してみるのをお勧めします。但し、それなりのデメリットと言う注意点がありますので気を付けて下さい。

  • 時間的余裕ができるが、本分と離れる
  • 在籍料がいる
  • 復学する為の期間がある

休学になれば、一時ではありますが学費に悩まされていた状態から解放されます。この間に、親などからの援助が望めなければバイトに明け暮れる事になると思います。

そうなると、どうしても学業と言う学生の本分から離れて行ってしまいます。すると、大学に復学する意欲が薄れる可能性も出てくるので注意が必要です。

休学中、在籍料が掛かる場合があります。年間で数万円程度になると思いますが、大学によって違うので1度確認をしてみて下さい。除籍や自主退学を考えれば、安い金額ではありますが少なからずお金が掛かる事を覚えておいて下さい。

復学において、注意すべきポイントに在籍期間があります。大学によって期間は違いますが、概ね2年程の期間が許可されます。それ以上望んでも、許可が下りない場合があるので注意が必要です。

手続きなどは、申請する期限などがあったり休学すれば留年と同じ扱いとなり4年で卒業できないなどの影響が出てきます。

しかし、学費が払えない状態を放置して、除籍と言う最悪な結果にならない為にも休学を1度考慮する事も必要だと言えます。

除籍を回避!学費が払えない時の対処法を把握する

「1度でも入ったなら、学校は卒業したい」それが偽らざる本心でしょう。しかし、学費は年々上がっていて収入が減少する家庭が多い中、この学費の滞納問題は今後増々増えてくることが予想できます。

ただ、それでも除籍を回避できるならしたい訳です。さらに言えば、休学などで時間を消費してしまうと後々リカバーする事も大変になるので、ナントカ通いながら対処がしたいと考えてしまうと思います。

そこで、5つの対処法をお話ししていきたいと思います。

学費が払えない!辞めたくない!5つの滞納回避策

まずは、学生課(会計課、経理課、財務課など)に相談しに行きましょう。そこで、以下の3つの検討と相談を始めて下さい。

●1.分割・延納
●2.免除・減額
●3.奨学金

分割とは、前期と後期の2回の支払いをさらに分割して支払回数を増やす方法です。決められた期間に申請する事や回数は指定されるのですが、手続きをすれば行う事が出来ます。また延納とは、一定期間ですが支払いを遅らせる事が出来る方法です。

こちらも、申請するのに期間があり、伸ばせる期間は指定されますが、申請が通れば利用する事が出来ます。

経済的な理由や保護者の病気・失業、被災など正当な理由があれば、免除や減額などが認められるケースがあります。一定の学力や利用できる人数などの制限がありますが、1度検討してみる為にも相談してみると良いと思います。

学費が払えない方の多くは、日本学生支援機構が行っている奨学金を利用するケースが増えています。無利子で借りられる第一種奨学金と、利子がある第二種奨学金があり、それぞれ条件が異なっていますが毎月2~12万程度の借入が可能です。

原則として、保証人や連帯保証人が必須となり、成績や保護者の収入などにも条件がありますが、大変便利なサービスです。申込みから貸付まで数カ月掛かる場合もありますので、早めに申し込む必要があります。

注意点として、奨学金は卒業後に返済義務が生じます。就職しても収入の面から、この返済が厳しく支払えない方が出るなどの社会的な問題になっています。そういった意味で、慎重に検討しなくてはいけません。

また、2018年から本格的に始動した給付型奨学金も検討してみるのも良いと思います。国費を財源としていますので、原則返済義務がありません。始まったばかりの制度ですが、世界的に大学の授業料が無料化している中でその流れの第一歩となる試みだと言えます。

●4.国の教育ローン
●5.民間金融サービス

奨学金に似ていますが、国の教育ローンも検討の1つに挙げられます。利子は、原則1.76%と奨学金より高くなっていますが、必要な金額を借りられる事や申込時時期などがいつでも良い事など奨学金より利便性が高いと言えます。

民間の金融サービスとは、①銀行系や消費者金融の学資ローン②専門の学生ローンなどが挙げられます。①や②は12~18%と金利は高くなりますが、短い審査期間で融資が始められるのでその点は大変便利です。

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