滞納・未払い・差し押さえ

分割!減免!猶予!市民税の滞納を回避する3つの救済方法を理解する

市民税を支払う事は、国民の義務です。故に、滞納すれば大きなペナルティを受ける事になります。しかし、会社の倒産、失業、病気、災害など予期せぬ事になり払いたくても払えない方もいらっしゃると思います。

また、給与が下がったり、ボーナスがカットされたり、生活費が思いのほか掛かったなど、日常生活の上での想定外の出費によって、市民税を滞納してしまう事もあるでしょう。

そんな時、自治体に市民税の分割や減免、猶予など支払い方法について相談されると良いと思います。税金において最も身近である市民税ですが、意外に多くの事が知られていないように思います。

そこで、市民税について詳しくお話ししていきたいと思います。

市民税の支払いはどうなっているの?分割や支払方法を把握する

市民税は1月1日に住所を置いている、市町村へ支払う税金です。引っ越しなどをして、「前の市からなぜか市民税を払って下さいと言う通知が来た」と驚かれる方もいるようですが、問題はありません。

また市民税の支払いは、毎月支払うと言ったクレジットカードのような金融商品とは違う点が多々あります。そこで、市民税の支払いについてお話ししていきたいと思います。

市民税を理解する!2つの徴収方法と4つの支払い方法

市民税の徴収の方法は2つあります。徴収と言うと響きが少し硬いですが、ようは市民税と言う税金の回収方法です。通常、税金は納税者が自ら申告して支払う「申告納税方式」と国や地方団体が納める金額を算出して、納税者に通知しそれを支払う「賦課課税方式」の2つに分かれます。

市民税は、国などが通知してくる賦課課税方式です。さらに、勤務形式によっても徴収方法は変わります。1つは、企業勤めの給与所得者の場合。もう1つは、アルバイトや個人事業主などの場合です。

  • サラリーマンなど → 特別徴収
  • バイト、個人事業主 → 普通徴収

勤務先が納税を行ってくれる場合は特別徴収で、自分で納税する場合は普通徴収という訳です。基本的にですが、滞納トラブルがあるのは普通徴収の方のみです。特別徴収の場合は、企業が行うので滞納があったとしても個人ではなく企業側に支払いの連絡が来る事になります。

注意点として、もし退職や転職などを行い、無職期間がある場合は気を付けて下さい。特別徴収から普通徴収へ切り替わっているかもしれません。

これは退職する際の企業側の対応に注意し確認するか、もしくは自治体に相談・確認する事で対処するようにして下さい。知らない間に普通徴収になっていて、督促状が来てビックリと言う事がないようご注意下さい。

普通徴収には、主に4つの支払い方法があります。

①納付書

納付書での支払いは、年1回まとめて専用の支払い納付書が送られてきて支払い月に使用すると言う方法になります。

その際、年4回に分割して支払うか、一括で支払うか選ぶ事が出来ます。どちらを選んだとしても、金額に違いは無いのでお好きな方を選べます。

②自動引き落とし

事前の登録が必要になりますが、支払い忘れが防止できる方法です。市民税の納付書での支払いは、意外に忘れてしまうケースがあります。なぜなら、月1回ではなく指定された月に支払うと言う変則的なモノだからです。

故に、その月に支払いがあるのにもかかわらず、つい意識から外れてしまっていると言う事は起こり得る事です。しかし自動引き落としには、そのよう状態になる事すらありません。ですから、自動引き落としは便利な支払い方法と言えるのです。

③振込

各市町村が指定する金融機関へ、振込むことになります。この際、振込手数料が掛かりますのでご注意下さい。基本的に、Pay-easy(ペイジー)を利用する事になりますので、事前に利用できるようにしておく必要があります。

また、市町村によっては利用できない場合もありますので、その都度確認する必要があります。

④クレジットカード

クレジットカードでの支払いも、自動引き落としと同じように事前登録が必要となります。ただ、登録してしまえば自動引き落としと同様、支払い忘れ防止策として優れた効果を発揮します。

注意すべき事ですが、クレジットカードを利用しているので、滞納トラブルを起こすと信用情報に傷がつく事になります。

※何度も滞納を行ったり、長期滞納を行ったりすれば、信用情報機関へ「異動」という金融事故者扱いとして登録されるので気を付けて下さい。

異動と登録された場合、新規の金融商品の審査にほぼ通らなくなります。

<信用情報機関>
信用情報機関とは、個人の債務状況や債務履歴を管理している第三者機関です。金融商品を扱う企業は全て、信用情報機関に加盟する事が義務付けられています。

市民税の分割は可能?年4回を月1の支払いに変更する

市民税の分割での支払いですが、可能です。

むしろ、もし分割する事で支払えるのならスグにでも自治体に相談し分割の手続きをするべきです。普通徴収の方は、通常6月末、8月末、10月末、1月末の年4回の支払いか、一括払いの2択となります。

自治体に相談すれば、12回の分割支払いが可能となります。年4回が、毎月の支払いになるという訳です。数カ月に1回を毎月の支払いに変える事で、1回分の負担が軽減します。

自治体によっては、難色を示される可能性もあります。また、滞納を定期的にされている場合も難色を示されると思います。しかし、行政機関である自治体は、国民に最低限の生活を保障する為の期間です。相談をむげに断る事は無いので、苦しい時はしっかり頼りましょう。

一番まずいのは、払えないからと言って放置してしまう事です。それだけは、絶対に止めましょう。

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事務処理を把握する!市民税の分割手続き

それでは、実際に分割をする為の手続きの方法についてお話ししていきます。一連の流れと必要な書類など、事務処理に必要な知識をお伝えします。

行ってみれば簡単なので、毎月の支払いを希望する場合は参考にしてみて下さい。

4ステップ!納付契約書へのサインで分割手続き完了

住民税の分割の手続きは、とても簡単です。役所へ行き、窓口へまずは行って下さい。分からなければ、ロビーに立っている案内をされている係員に相談すれば案内をしてくれる筈です。

◆①窓口へ行く

◆②契約内容の相談

◆③納付誓約書の記載

◆④提出して完了

窓口へ行き、市民税の分割支払いの旨をお話しすれば、納税誓約書を受取れます。これに、市民税を今後どう支払っていくのか計画を記載する事になります。

分からない場合は、近くの係員に聞けばスグに対応してくれます。後は、再度窓口へ行き提出すれば完了です。

支払い方法は上記4つの中から選択すれば良いと思いますが、何も言わなければ納付書が郵送されて来る事になると思います。

例えば、月1回に変更なら、そのような納付書が来るので、あとはそれをコンビニなどでお支払いすれば良いだけです。

印鑑と必要書類!分割手続きに必要な物を準備する

役所へ分割の手続きに行く際、持っていくものは下記の4つとなります。

1.印鑑
2.身分証明書
3.納税通知書
4.給与明細など

印鑑と身分証明書は必須となります。身分証明書は、免許証やマイナンバーカード(写真付)を持参して下さい。

年4回、もしくは一括払いの納税通知書が手元にあると思いますので、それも出来れば持参するとスムーズに手続きが済むと思います。

実際の所得状況の確認の為に、給与明細や源泉徴収票などを必要とする場合もあります。3と4については、各自治体によって違いますので、出かける前に電話で確認しておくと良いと思います。

分割でも支払えなければどうなる?財産を差し押さえられる恐怖

もし、市民税の分割手続きをしたのにもかかわらず、計画通り支払えず滞納してしまった場合、滞納におけるペナルティを受ける事になります。

滞納トラブルによる最悪の結果、財産の差し押さえについてお話ししていきます。

差し押さえまでの6ステップ!流れを把握する

市民税を滞納してから、財産が差し押さえられるまでの一連の流れとなります。

◆住民税の滞納

◆督促状が郵送されてくる

◆催告が始まる

◆財産調査が開始される

◆差し押さえ予告書が郵送されてくる

◆財産の差し押さえ

地方税法によって、督促状は滞納から20日以内に送付される事になっています。督促状が届いても、市民税の支払いが無い場合、自治体は電話やハガキや訪問などによって滞納金の支払いを催促してきます。これが、催告です。

催告を行っても納税者に支払いの意思が見えない場合、自治体は次の手に移ります。財産を差し押さえる為に、財産調査を行います。

この際、勤務先などに給与明細の提出などをさせる場合があります。役所から個人の財産調査を行う意味を経理の方は熟知されていると思いますので、税金滞納が嫌でもバレる状況になり得る事は覚悟しておく必要があります。

当然、個人情報なので洩れないと思いますが可能性がある事は知っておいて頂きたいと思います。その後、差し押さえの予告書が郵送されてきます。執行日時については、記載されていないので次の日から財産の差し押さえがいつ行われてもおかしくない状況となります。

滞納から財産差し押さえまでの期間は、自治体によってまちまちです。2年だったり、4年だったりした方達もいます。

ただ地方税法では、督促状を自治体が送付し、10日経過すれば、財産の差し押さえを行う事が可能となっています。

市民税を滞納し督促状が届けば、財産の差し押さえまでは意外に簡単に行える状況だと言う事を覚えておく必要があります。

6つの財産を把握する!分割でも滞納すれば失ってしまう

ここでもう少し差し押さえについて、お話しします。財産を差し押さえる訳ですが、その財産とはどういった物なのか?

それは換価(現金化)できる物と言う事です。一般的には、下記の物が財産として差し押さえられる対象となります。

①給与
②預貯金
③生命保険の解約した時の返戻金
④個人所有物で現金化できる物
⑤不動産
⑥自動車

①の給与が、最も一般的な差し押さえ対象だと思います。

基本的に、国税徴収法の算出方法で金額が出ますが、ほぼ4分の1程度が差し押さえられ、滞納金を完済できるまで解除されずに続きます。

②や③は、口座内にお金があれば差し引かれ、保険などは解約を強制的に行われてしまいます。④⑤⑥は特殊で、競売などに掛けられる為、ある程度の日数を要する事になります。

市民税は自己破産しても免責にならない!但し減免と猶予は可能

苦しくなったら、自己破産をして借金を無くせばよいと考える方がいるようです。確かに、自己破産は申請さえ通れば、債務を無くすことができる行政の最終救済処置です。

しかし、残念ながら税金(市民税や国民年金保険など)は免責にはなりません。しかし、税金の減免や猶予などの対応策はあります。

市民税の減免や猶予について、お話ししていきます。

減免できる4つの理由!市民税を分割ではなく減額できる事柄

国は、国民に最低限の生活を保障する義務を負っています。その為、行政的な判断で、市民税を分割するよりも減額して対処しても良いと判断する事柄が4つあります。

①生活保護を受給している
②失業、倒産などで急遽生活に困窮してしまっている
③病気や入院により、生活を維持するのが困難になっている
④災害などにより、身体や財産に大きな損失を被っている

本来、賦課課税方式をとっている市民税は、支払える額を算出している筈なので、滞納はあり得ないという、大前提を行政は持っています。

その為、「今月は生活費を使い過ぎたので、減額してくれ」と言うような、身勝手な事は聞き入れてくれません。しかし、正当な理由さえあれば国は国民を守ってくれる訳です。

上記は、どれも自治体の判断のもと、許可が下りれば市民税が減免となります。他にも、特殊な事情を抱え、その困っている状況が減免対象となるかもしれません。その為にも、まずは悩んだら相談という気持ちで、1度自治体へ足を運んでみるのも良いと思います。

突然の出来事で払えない!市民税には2つの猶予がある

病気やケガ、失業や倒産など、想定外の事によって、市民税を払いたくても払えない状況に陥ってしまう可能性は常にあります。

やむを得ない事情が正当な理由となり、分割や減免処置をしても問題ないと自治体に判断される訳です。そしてもう1つ、場合によっては「支払いを最大1年延長」して貰える可能性があります。

それが、税金の猶予処置です。猶予には2つの種類があります。

1.徴収の猶予
2.換価の猶予

1つめの徴収の猶予は、市民税の延滞金や全額が原則1年以内の間、免許されます。この期間に苦しい状況を立て直し、納税できるようにして下さいと言う救済処置です。

2つめの換価の猶予とは、財産を競売に掛けられた時、これも原則1年以内ですが、競売に掛ける事を待って貰える救済処置です。

一般的に財産の換価では、親からの遺産や土地など大切な物の場合が多々あります。これを、1年以内の期間でですが猶予して貰える訳です。

この2つの猶予を申請し、少しでも時間を稼ぎ金策をし対処するようにしていく必要があります。

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