都民税と区民税が払えない!財産を差し押さえられてしまう可能性は?
住民税の金額を見て「えっ、こんなに高いの!」と驚いたことはありませんか?
例えば東京23区にお住まいの方では、都民税と特別区民税とを合わせたものが住民税となります。勤務先からの給与所得で生計を立てている方は給与からの天引きとなりますが、自営業やフリーランスなど個人事業主の方は自分で納める必要があります。失業してしまった場合や退職した場合も、銀行窓口や預金口座引き落としで支払わなければなりません。
そんな時、もし住民税を支払うことができなかったらどうなってしまうのでしょうか?
なぜ都民税や特別区民税を払うのが大変なのか
住民税は前年所得で金額が決まりますが、ここに住民税の怖さがあります。
収入が毎年右肩上がりならいいのですが、昨年より下がってしまったり、もしくは途絶えてしまった時に、大きな負担としてのしかかってきます。特に退職や廃業などで収入が途絶えた人にとっては、1年間税金だけ払わなければいけないということが現実として起こります。
だから住民税は、個人事業主のように年ごとの収入が変動したり、失業して収入が途絶えてしまった方に重くのしかかるのです。
支払いは6月から一括払いをするか、もしくは年4回に分けての納付とするかを選ぶことができます。しかし、年4回の分割だとしても、収入が大きく減った場合にはキツイ負担となります。結果、払えずに延滞してしまうということも・・・。
しかし、もし滞納してしまうことになっても、絶対にそのまま放置しないでください。
住民税の滞納を続けると大変なことになります。
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都民税や特別区民税が払えないとどうなるか
住民税は地方税法に従い徴収されるものですが、地方税法では税金の納期限を過ぎても収められていない税金に対し、以下の対応を行うことが定められています。
- 税の納期限後20日以内に督促状を送付する
- 督促状の送付日から10日を経過しても税金が支払われない場合は滞納者の財産を差し押さえなければならない
「差し押さえることができる」ではなく「差し押さえなければならない」というあたりに戦慄が走りますね。
しかし、地方自治体によっては条例などにより、自主的な催告書の送付期間を設けているところもあります。東京都23区の場合は区にもよりますが、法で定められた督促状に加えて独自の催告書というものを何度か送ったり、電話での催告をしたりします。ときには勤務先や自宅を訪問することもあります。いきなり1ヶ月で財産を差し押さえる、ということはほとんど無いようです。
とはいえ、住民税を滞納してしまった場合、法律的には最短1ヶ月で財産を差し押さえられる可能性もあるということを覚えておきましょう。例えば、過去にも滞納したことが多数ある場合や、督促を無視して支払いの意志が感じられない場合には、いきなり財産差し押さえの通知が来ないとも限りません。
実は、1ヶ月で財産の差し押さえが行われる可能性があったり、また勤務先に訪問される可能性があったりというのは、借金の取り立てよりも厳しい対応となっています。例えば、カードローンのCMなどで良くみかける消費者金融は貸金業法という法律で規制されており、その法律の中で取り立て方法がかなり制限されています。1ヶ月の延滞で財産が差し押さえられるということもまずありません。
住民税の滞納により差し押さえとなった場合、以下の財産などが対象となります。
- 給与
- 預金
- 自動車
- 宝石などの動産
- 不動産
現金化が簡単なものから差し押さえられますので、まずは現金そのものである給与や預金の差し押さえが行われます。給与の場合、生活費用は残すよう法律で定められており、以下いずれかの「高い方」が差し押さえられます。
- 手取りの4分の1
- 33万円を超える部分
一方、預金の差し押さえについてはこのような制限がありません。もし税金の滞納額が預金額を上回るなら、全額差し押さえられます(ただし、子ども手当として振り込まれたものなど対象外のものもあります)。
動産や不動産については現金化(換価といいます)の手間がかかるため、預金や給与に比べると優先順位が下がります。それでも、預金や給与の差し押さえで滞納された税金が回収できない場合には、動産や不動産も対象となります。
借金の取り立てでも、自宅に入って金目のものを取り上げることはできません。法律で禁止されています。しかし税金の滞納では、徴収員が家宅捜索をして動産を差し押さえることができます。
支払いが厳しいときは区役所にまず相談!
しかし、地方自治体も基本的には財産の差し押さえではなく、納税を完了してもらうことを目指しています。そのような中、強制手段をとるかどうかは
住民税を滞納してしまっている人が誠実に納税しようとしているか
という一点にかかっています。もし税金の支払いが厳しいようでしたら、必ず区役所の窓口に相談しましょう。例えば以下の事情がある場合には、税の徴収を猶予してもらえる可能性があります。
- 災害や盗難にあった場合
- 本人や家族が重い病気や大きな負傷をしてしまった場合
- 営んでいる事業を休止または廃止したり、大きな損失を受けた場合
また、期限通りに税金を納めることが難しい場合、相談することで1回の金額を減らしつつ回数を増やすなど、より負担の低い分割による支払いを認めてもらえる可能性があります。
ただし、分割による支払いが完了するまでの間は延滞金が発生します。延滞金の利率は以下の通りとなります(参考:東京都HP)。
期間 | 納期限の1ヶ月を経過する日まで | 納期限の1ヶ月を経過した日から |
---|---|---|
平成26年1月1日〜平成26年12月31日 | 2.9% | 9.2% |
平成27年1月1日〜平成27年12月31日 | 2.8% | 9.1% |
平成28年1月1日〜平成28年12月31日 | 2.8% | 9.1% |
平成29年1月1日〜平成29年12月31日 | 2.7% | 9.0% |
平成30年1月1日〜平成30年12月31日 | 2.6% | 8.9% |
「必ず払う」という意志を誠実に示し、出来る限りの支払いを続けていくことで財産の差し押さえを免れることができる可能性は非常に高まります。逆に、支払いの意志が感じられなかったり、支払うと誓約したものの誠意が感じられない場合には、税負担の公平性から財産の差し押さえを徹底する地方自治体もあります。
督促は絶対に無視することなく、支払いが間に合わないようなら必ず区の窓口に相談しましょう!