滞納・未払い・差し押さえ

家賃滞納は住む場所とお金を失う!契約解除を回避する3つのポイント

近年、様々な理由により給料が減ったり職を失ったりして、家賃滞納へ繋がってしまうケースがあります。家賃は、生活の中で最も大きな出費の1つです。

そのため1度でも滞納すると精神的プレッシャーも金銭的負担も大きなものとなり、2回目以降も払えずズルズル滞納していってしまうようです。

では滞納してしまうとどうなるのか?また、滞納し続けるとどうなってしまうのか?強制退去や差し押さえなど、家賃滞納で起こる危険性についてお話ししていきたいと思います。

家賃滞納するとどうなるの?滞納者が辿り着く最悪なシナリオ!

家賃の上限は、収入の3分の1以下と言うのが一般的な水準です。しかし、入居時にその水準を満たしていても、生活や環境が変わるだけで早ければ数カ月~1年程度で満たさなくなってしまう可能性があります。

実際、家賃滞納は年々増加し、滞納トラブルは社会問題としてニュースや新聞で取り上げられる事が多くなっています。ただそんな状況であっても、大多数の方は滞納する事なく家賃をしっかり収めています。

では、どんな方が家賃を滞納してしまうのでしょうか?まずは滞納するタイプを確認してみる事にしましょう。そして、家賃滞納が引き起こすデメリットと最悪な3つの結果についてお話ししていきます。

家賃滞納者の3タイプと家賃滞納で被る5つのデメリット

家賃を滞納するタイプは主に3つに分けられる事が出来ます。

1.忘れていた
2.お金がなくて払えない
3.お金が有っても無くても払わない

1のように忘れていたと言う事は家賃滞納にありがちですが、基本的には大家さんや管理会社からの連絡で支払って終了するタイプです。自動引落しで口座にお金がなかったと言うケースも、口座確認を忘れていると言うタイプとなります。

2と3が、いわゆる家賃滞納者と分類されるタイプとなります。お金が無くて払えないと言うケースは、個人的な事情もあるでしょうが払う意志は持っているので基本的には大家さんなどとの話し合いでトラブルになるケースは少ないタイプだと言えます。

ただ、変な話ですがお金があっても払わない方も中にはいるようです。またお金が無い事を理由に、払えないと開き直ってしまいトラブルに発展するケースもあります。このように、払う意志を持たないタイプの方が最も最悪な結果を招きやすいと言えます。

さて家賃の滞納は、スグに支払えば問題はありません。しかし、これが長引くと5つのデメリットが本人に重く圧し掛かって来る事になります。

  • 遅延損害金(上限で14.6%の年利の罰金)
  • 連帯保証人への催促
  • 周りの住民へバレる可能性
  • 契約解除となる(保証会社を利用していると信用情報に傷が付く可能性がある)
  • 法的手続きを取られる(差し押さえ・強制退去)

滞納とは、家賃支払日の翌日から始まります。そして遅延損害金は、遅れた罰金として支払う可能性があるお金です。ただこれは大家さんが請求する権利を持つだけで、一般的には数日程度の滞納で支払いを求められる事はあまりないようです。

また契約書に明記されていない事もありますが、その場合は原則として法廷年利の5%で請求できる事になっています。滞納の遅延損害金は、請求されれば支払わなくてはいけない訳です。

支払いが遅れた場合、連帯保証人へ請求を含める連絡が可能となります。

ただ可能と言うだけで、普通は電話・はがき・訪問などでまずは本人に連絡を行います。

家賃の滞納が続けば、大家さんは次の手として連帯保証人から回収しようとします。また滞納が長期化すると、大家さんの訪問や場合によっては噂などにより家賃滞納が周知となるケースがあります。

中には、扉に張り紙をされたと言う嫌がらせも極一部ですがあるようです。このように滞納は続けると悲惨な結果になる訳です。

滞納者は住所が不定!財産を奪われる!そして住む場所も無くす!

そしてデメリットで特に怖いのは、契約解除とそれ以降の法的手続きに移行した場合です。

◆契約解除

家を借りる時、契約者本人と大家さんの間で賃貸借契約を結ぶ事になります。契約によって、借主として家を利用する事が出来る訳です。ただ、家賃滞納を続けると契約を打ち切られる可能性が出てきます。

そうなれば、家を借りていない状態となり住所が不定になってしまう可能性が出てきます。

◆差し押さえ

これは最悪な結果の1つです。滞納分を払わないと、最終的には法的手段によって家賃滞納分+遅延損害金などの補填として財産を差し押さえられる可能性があります。

給与が突然減額された状態で支給されたり、口座から滞納分が引き出されていたり口座の残額によっては利用できなくなったりします。それも口座の差し押さえは、突然起こります。

◆強制退去

ある日、大家さんや裁判職員に突然住居に押しかけられ出ていけと宣言されます。基本的には宣言後、家を出ていくまでには1カ月程度の猶予があります。そして断行日(実際に退去させられる日)には、執行業者によって部屋の荷物は撤去されてしまいます。

荷物は一時保管されますので、後日保管場所に引き取りにいかなくてはいけません。断行日までに出ていかなければ、強制的な撤去が法の下行われる事になります。そして、全てを失ってしまう訳です。

法治国家日本では、借り手も貸し手も法で守られている

日本は法治国家です。故に、差し押さえや強制退去などの手段を取る為には司法の判断を仰がなければなりません。つまり大家さんや管理会社などが、突然家の鍵を変える事や荷物を撤去するなどの暴挙に出る事は出来ない訳です。

私たちは、家賃を払う事で大家さんから家を借りる権利を契約によって手に入れています。故に契約はとても重要です。そして当然ですが、貸し手である大家さんにも契約者に対しての権利があります。

家賃滞納をする事で、大家さんが契約者に対して「出来る事」と「出来ない事」とは何か?大家さんの持つ権利とその限界について、お話ししていきたいと思います。

家賃滞納とは賃貸借契約における債務不履行にあたる!

家を借りる際、大家さんと賃貸借契約を結ぶ事になります。細かい点は多々ありますが、重要な点は月々決まった額を支払う事を義務付けている点です。

家賃滞納とは支払日にお金を払わない債務不履行にあたり、重大な契約違反となります。

また民法では、下記のような事が定められています。

<民法541条>
当事者が債務を履行(約束を果たす事)しない場合、貸主が一定の期間を催告をし、その期間内に支払いがなければ契約の解除をする事ができる。

つまり家賃滞納とは、賃貸借契約を解除されても仕方がない行為という訳です。但し、家賃滞納=即解除とはなりません。賃貸借契約を解除されると言う事は、借り手が住む場所を失う事になるのでそれなりのステップを踏む必要があります。

ただ家賃滞納とは債務不履行であり、契約解除の第一歩である事は間違いありません。

大家さんや管理会社の自力救済は違法!よって追い出しは不可能

さて契約者と大家さんの力関係を比べると、どうしても大家さんの方に軍配が上がるような気がします。しかし、法的には大家さんの追い出し行為などの横暴を抑える働きがあります。

例えば、契約書に2カ月滞納した場合はドアの鍵を変えますと書いてあったとします。しかしこれを実行した場合、大家さんは違法行為となるのです。

民事法の概念では、権利を侵害された人が司法に頼る事なく自分の実力で回復させる事を自力救済と言います。

そして法治国家である日本では、司法による国家権力を頼らずに、他者を直接攻撃(何かしらの行為)する事を禁じています。

ですから以下のような行いは、例え大家さんであっても犯罪行為となります。

  • 鍵交換→住居侵入罪(鍵交換の際、住居に入る為) 
  • 荷物の撤去→器物損壊
  • 勝手に部屋の中に入る→住居侵入罪
  • 脅しや大きな声を上げる→脅迫罪・強要罪

これらは契約書に書いてあったとしても、原則違反行為です。公序良俗に反して無効となる訳です。1つ判例を出すと、平成16年6月2日の判決で家賃滞納を理由に玄関のカギを交換した自力救済に対して違法性が認められています。

また最悪、大家さんは損害賠償請求の対象にもなります。例え物件が大家さんの所有物であっても、賃貸借契約と法律が借り手をしっかり保護してくれているのです。

だからこそ家賃滞納をされた大家さんは実力行使を行わず、まずは電話や訪問などで支払って欲しい旨を伝えるのです。それでもダメな場合、契約の解除へと大家さんは舵を切る訳です。

大家さんの権利は契約解除まで!故に最終的には国家権力に頼る

家賃滞納をしても借り手は多少の有利性を持っていますが、大家さんは自力救済が出来ない代わりに「権利」を行使してきます。それが、賃貸借契約の解除です。

まず契約とは、基本的には契約者と大家さんとの信頼によって成り立っています。疑っている訳ではありませんが、月々支払ってくれるかどうかは契約の時点では審査があるとは言え信用するしかないからです。

家賃滞納による債務不履行は、この信用を傷つけます。賃貸借契約のような高度な信用関係を基礎とする契約は、よほどの理由が無ければ契約解除する事が出来ない事になっています。これを「信頼関係破壊の法理」と言います。

しかし、減給したり家族が増えたりすれば、家計を圧迫するなど予期せぬ出来事の影響で家賃滞納を長期化させてしまう場合があります。するとどのような理由であっても毎月支払うと言う約束を何度も破った事になり、信頼関係が著しく破壊されたと法的に認められてしまいます。

民法上での債務不履行による信頼関係の破壊は、以下の2つを満たす事で成り立ちます。

  • 3カ月以上の滞納が続いた場合
  • 継続的な催告を行うが、支払いに応じない場合

※裁判で認められやすいと言うだけで、絶対と言う事ではありません。あくまでも目安です。

これらの行動をしても滞納者が支払わなければ、契約を解除しても良い訳です。逆に言えば、信頼が破壊される前に滞納分を支払えば契約は解除されないとも言えます。

そして契約が解除されたとしても、まだ終わりではありません。

契約が解除されても滞納分を払わず住居に居座っていると、大家さんは司法に頼り強制的な支払いや退去を求めてくるようになります。

差し押さえや強制退去までの期間は、早くても半年から1年

実際に契約解除までの期間は、家賃滞納から最短で3カ月程度となります。あくまでも目安であり、大家さんや管理会社によっては、それ以上の猶予を貰えるかもしれません。

それでは実際の滞納から契約解除までの流れと、その後差し押さえや強制退去がどのように行われるのかお話ししていきたいと思います。

家賃滞納から契約解除までの流れを把握する

家賃の滞納から1つの期限である3カ月までの流れは、一般的には以下のようになります。

1.滞納(支払日の翌日から開始)
2.催告(電話・はがき・訪問などで支払いの催促をする)
3.内容証明郵便が送付されてくる(契約解除予告を宣言される)
4.連帯保証人への連絡
5.3回目の支払日(1つの期限)
6.契約の解除、そして法的手続きへ移行する

家賃を滞納すると早ければ、滞納初日には連絡が来ます。「家賃が振り込まれていませんよ」「どうされましたか~」など、最初は催促というよりお願いに近いでしょう。その後、電話や訪問が何度もあり口調は強くなっていく事になります。

この何度も催促をするのは、上記でお話しした信頼関係の崩壊と認められる条件の1つである「継続的な催告」にあたります。

内容証明とは、手紙を出した日付や内容を郵便局が証明してくれるサービスです。これは、裁判で有効な証拠となります。内容証明が届いた場合、これは注意が必要です。将来、裁判を考慮している可能性が示唆されるからです。十分気を付けましょう。

連絡が通じない、支払いの意思が感じられないと、連帯保証人へ支払いを請求する場合もあります。2~4は順位不動で、連帯保証人へ真っ先に連絡する大家さんも中に入るので注意して下さい。

そして、1つの区切りである家賃の3回目の支払日まで滞納が続くと、契約解除と同時に大家さんは司法を頼る事を検討もしくは実行する手続きに入ります。

ここで注意が必要ですが、上記で話している3カ月とは最初の家賃滞納から約60日後の事を指しています。

最初の滞納日で、1カ月の滞納となります。2回目の支払日で2カ月、3回目の支払日で3カ月の家賃滞納となります。つまり、1回目の滞納日から3回目の滞納日までは約60日しかないのです。これは意外に短い期間なので、注意が必要です。

滞納分の家賃は支払督促で差し押さえられる!

3カ月以上の家賃滞納をすると、契約解除予告や契約解除を通達する内容証明が送られてくる事になると思います。この段階まで来ると、一刻も早く滞納分の支払いをしなくてはなりません。もしこの段階でも、支払いをしないと法的な手続きへと移行します。

まずは、滞納分の差し押さえの流れを見ていきましょう。

1.裁判所へ支払督促の申立てをされる
2.申立書が審査され問題が無ければ、督促状が自宅に届く
3.督促状に異議がなければ、仮執行宣言付支払督促が届く
4.強制執行される(給与もしくは口座の差し押さえ)

一般的にですが、家賃滞納分の回収は支払督促で行われる傾向があります。

<支払督促>
債権者(大家さん)が裁判所に依頼して出す督促状です。裁判をする必要が無く、費用も時間も短縮できます。支払督促は金銭の差し押さえ専門の為、金銭以外については通常の裁判を行う必要があります。

裁判所から届いた支払督促状には、異議申立書が同封されています。

もしこの段階で分納などの相談があるなら、2週間以内に裁判所へ異議申し立てをしなくてはいけません。

しない場合は、大家さんの申し立てが通る結果になるので、給与もしくは口座の差し押さえが執行される事になります。支払督促が届いてから強制執行が行われるまでは、最短で2~3カ月程度が一般的だと言われています。

つまり家賃滞納日から強制執行までは、最短で4~5カ月程の猶予と言えます。また、給与の差し押さえをされると会社へ知られる事になるのでお気を付け下さい。

最悪なシナリオ!住む場所を失う強制退去

契約解除後、支払督促とは別に住居からの退去を求められることになります。もしこの退去を断ると、強制退去を執行される可能性が出てきます。

1.裁判所へ建物明渡しの申立てをされる
2.裁判
3.判決
4.明渡し執行予定日の宣言を受ける
5、断行日に明け渡す

裁判で敗訴した場合、任意で明け渡すのなら問題はありません。しかし、転居先の用意や金銭面の問題などで移動する事が出来ない場合、大家さんと裁判職員が住居へ突然来る事になります。そこで「明渡し執行予定日」を宣言されます。

宣言を受けると1カ月程の猶予がありますが、断行日には執行補助者と呼ばれる業者が荷物の撤去を行います。荷物は、執行官が指定する場所に1カ月程保管されます。
 
裁判自体は、3~6カ月程掛かる傾向にあります。つまり家賃滞納日から考えると、強制執行が行われるまでは最短で半年~1年程の時間が掛かる事になります。ただ、様々な要因で時間にはずれがありますのであくまでも目安としてお考え下さい。

早急な相談と支払いこそ、家賃滞納の解決策!

これまで滞納から契約解除、そして差し押さえや強制退去までの流れを見てきました。では実際にそうなら無い為にはどうすれば良いのか、家賃滞納してしまった時の対処方法をお話ししていきたいと思います。

家賃滞納してしまったら、3つの対処ポイントを大切にする

最悪な結果にならない為には、まずは賃貸借契約を解除されないように注意する必要があります。その為には、大家さんや管理会社などと相談して滞納金をどう支払うのか決めなければなりません。

大家さんとの相談するポイントは3つあります。このタイミングを逃すと、最悪な結果になってしまうので十分注意する必要があります。

契約解除されない解決方法は、残念ながら滞納金をどうするのか明確にしておくしかありません。分納で払うのか?いつまでに払うのか?次回の支払日に一括で払うのか?など、「滞納金の支払いをどうするのか」相談する事が家賃滞納時の解決方法だと言えます。

1.連絡で対処する(電話・はがき・訪問など)

滞納すると催促の連絡が来ます。まずは、この連絡に必ず出るようにしましょう。滞納する事自体は、問題ではありません。個人的な事情は、人それぞれです。ただ、連絡に応答しないのは問題です。

本来なら、連絡が来る前にこちらから滞納する事や支払方法を伝える事がベストです。まずは普通の連絡段階で対処する事が、最も重要な対処ポイントとなります。

2.内容証明で対処する

内容証明の恐ろしいところは、裁判で証拠となる書類だと言う点です。内容証明を心理的なプレッシャーとして利用されている大家さんもいますが、同時にその先を見越している可能性も大いにある訳です。

内容証明が送られてくると言う事は、契約解除について告知されているかもしれません。またされていなくても、近い将来告知されるほど切迫している状態だと言えます。

ここでも打てる手は、滞納金の支払いと相談しかありません。お金が無いから滞納している事は、大家さんも重々承知しています。しかし、賃貸借契約は債務不履行を行わないという信頼の上に成り立っている約束です。

内容証明が送られてくるタイミングは、2つ目の対処ポイントとなります。

3.3カ月以内に対処する

家賃滞納から3回目の支払日を迎えると、大家さんにとって3カ月の滞納期間を迎える事を意味します。これは賃貸借契約の信頼を破壊するのには十分な期間となり、契約解除をしたとしても不当な扱いではないと裁判所で判断されてしまいます。

つまり、この段階まで来るといよいよ契約解除以降の法的手続きの現実味が出てきます。早急にお金を用意し、信頼回復に努めなければ住む場所も住所も無くす結果になってしまいます。

家賃を滞納してしまったら、3カ月(最初の滞納日から約60日)という期間が3つ目の対処ポイントでありデットラインだと考えておいた方が良いと思います。

裁判で敗訴しても、まだ強制執行はされない!和解への道

もし裁判で敗訴しても、まだ強制執行はされません。強制執行をするのには、大家さんが裁判所に再度申立てる必要があります。

ここが最後です。もし敗訴となっても、諦めないで下さい。この段階では滞納金以外にも、支払わなくてはいけない延滞金や裁判費用代などがあるでしょう。しかし、「和解」さえ出来れば給与や口座の差し押さえや強制退去を執行される事だけは避けられます。

ただ、この和解の方法も基本的には費用全額の支払いとなります。

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