固定資産税を滞納してしまったときの処分と対処法。早めの対策を
不動産を所有している人に課税される「固定資産税」。対象者であれば、必ず納税しなければなりません。
しかし、日々の生活に追われ、様々な税金を納税しなければならない中で、固定資産税の納税のし忘れは誰しも起こりうる話です。ここでは、固定資産税を滞納することによるリスクや、納税の意志がなく、再三の督促を無視した場合にどのような処分が下されるかを時系列でご説明します。
自宅やマンションなどを所有している方は是非、参考にしてみてください。
固定資産税を滞納した結果、最終的には財産を差し押さえられる
固定資産税の納税時期は、各自治体によって若干の違いがありますが、5月・7月・9月・12月の四期に分けて納税するところが多いようです。
まず、ご自身の市区町村で固定資産税の納期がいつなのかを把握しておきましょう。それが納税し忘れを防ぐ第一歩です。
住宅ローンの支払いや市県民税、自動車税などの納税が義務付けられている中で、固定資産税の納税を忘れてしまい、督促状をそのまま放置してしまうと最終的には財産を差し押さえられてしまい「自宅の競売」となってしまうケースがあります。
ここで問題となるのが、督促状をそのまま放置してしまうことです。
各自治体からしてみれば、そのまま放置してしまうことが「納税の意志がない」と判断されてしまうからです。
差し押さえまでの基本的な流れ
督促状が送付される
電話や訪問などの督促および書面による督促
財産調査
財産の差し押さえ
競売などによって滞納を解消する
納付期限内に納税すれば全く問題ありません。しかし、家計状況などによって納付が難しい場合は、電話や自治体の窓口への訪問によって、現状を速やかに報告し、適切な処置をしてもらいましょう。先程も述べたように、そのまま放置することは厳禁です。
万が一、納付期限を過ぎてしまった場合は、おおよそ20日程で督促状が届きます。ここでようやく納付に気付いても遅くはありません。電話などで忘れていた旨を告げて速やかに納付しましょう。
督促状が届いても、なお放置し続けた場合は「納税の意志がない」とみなされてしまいます。自治体によっては、電話や自宅訪問などによって納付を促すところもあります。
納税の意志があるのであれば、誠実に対応してください。
それでも無視し続けた場合、自治体は滞納者の「財産調査」を行い、資産差し押さえの準備に入ります。滞納者の勤務先から預金額まで、ありとあらゆる情報を調べられてしまいます。
最終的には、給与や預金、車、家などの資産が差し押さえられます。自治体はその資産を売却することによって滞納を解消していくという流れになっています。
【おすすめの記事】
財産を差し押さえられることによるリスク
会社勤めの方であれば、まず差し押さえられるのは「給与」です。
給与を差し押さえられてしまうということは、勤め先に滞納が必ずバレてしまうということです。
各自治体は、課税対象者の勤め先に「債権差押通知書」というものを発送します。それによって分かってしまいます。
会社にも大きな迷惑を掛けてしまうのは言うまでもないことです。しかし、それよりもご自身の信用に大きな影響を与えることでしょう。
給与の他に、財産調査によって、預金も調べられます。預金を差し押さえられてしまえば、まだ支払い終えていないローンにも影響が出ます。ローンは信用で成り立っていますから、ローンが支払えないとなれば「信用情報」というものに傷が付いてしまいます。
信用情報とは、個人のローンの支払いやカードローン、キャッシングの利用などの情報です。
ローンを組む際は、お金を融資するかどうかをこの信用情報を参考に判断しますので、信用情報に信用できない情報が記録されることによって、ローン自体組めなくなる可能性が高くなります。
また、保険も差し押さえの対象です。もしあなたが、解約返戻型の保険に加入しているとしたら、その保険は差し押さえられてしまいます。せっかく積み立てたものが差し押さえられてしまうリスクは大きいものでしょう。
会社からの信用、金融機関からの信用、保険会社からの信用を失うリスクは相当なものであると想像できます。もし、あなたが個人経営者だとしても、取引先との関係が悪化することは避けられないでしょう。
固定資産税の滞納は、生活にダイレクトに関わってくることをしっかりと頭に入れておいてください。
自治体が講じる施策
このように、固定資産税を納税する意志がない場合の処分は相当重いものとなりますが、納税する意志があるにもかかわらず、どうしても全額納付が難しい場合もあります。
その場合は、今後どのように進めていけば良いのでしょうか?実は以下のように、どうしても納税できない方のための救済策があります。あくまでも処置程度の救済策なので、最終的には全額を納付します。
納税の猶予
換価の猶予
最初の「分割納付」は文字通り、納税額を分割して納付することです。納付回数は通常よりも増えてしまうため、滞納税を課せられるデメリットがあります。クレジットカードの分割払いと同じような仕組みです。
しかし、分割納付をしたいからといって勝手に分割はできません。必ず各自治体の担当職員に相談してください。また、分割納付をする場合、1回でも納付を怠ったときに分割納付が許されなくなります。甘い考えは捨てましょう。
納税の猶予は、条件にあてはまる納税対象者であれば、納税を分割などで猶予をしてもらえるということです。免除ではありません。
- 災害・盗難にあった場合
- 本人、本人の家族・親族が病気・ケガの場合
- 事業を廃止・休止した場合
- 事業で著しい損失を被った場合
- 災害・盗難・病気・ケガではないが、それと同様とみなされることが起こった場合
- 事業の廃止・休止・著しい損失を被ったわけではないが、同様とみなされることが起こった場合
ただし、上から5番目と最後のケースの場合、範囲があいまいなところがあるため、延滞税が50%掛かってくることに注意しましょう。上から4番目までは100%延滞税が掛かりません。
万が一滞納してしまった場合は納付計画を確実に立てる
「納税の意志」これが差し押さえから身を守るために一番必要なことです。
万が一は誰にも起こり得ることです。ですから、もし一括での納付が現実的に厳しいようであれば、担当職員との打ち合わせの上、しっかりとした納付計画を立てましょう。
いい加減に計画を立てて、また「滞納してしまった」は許されません。分割納付も許されなくなってしまいます。
自分の資産を守るのは自分自身であることを忘れないでください。