滞納・未払い・差し押さえ

国民年金保険料が払えない!知っておくべき免除の仕組みと所得基準

突然の怪我や病気による所得・・・それでも払わないといけない年金の保険料。経済的な理由で、年金の保険料を支払うことが困難な時ってありますよね。特に、個人事業主やパート・アルバイト等で厚生年金に未加入の方は自身で国民年金の保険料を支払わなければなりません。

払えない期間があると、その期間に応じて将来受け取ることができる年金額が下がってしまいます。また、生涯に渡って保険料を支払うことができない場合には、年金がもらえないということも・・・。

しかし、経済的な理由で国民年金の保険料が払えない場合、所得が一定額を下回るなら保険料の支払を免除してもらえる可能性があること、ご存知でしょうか?

手続きしないと損をする!?年金の免除制度

もし国民年金の保険料を支払うことが難しくなってしまった場合、前年の所得が一定額以下であれば「保険料免除」の制度を利用できる可能性があります。その名の通り、支払いが「免除」される制度であり、保険料を払わなくて済むことになります。免除を受けるためには、申請手続きを行う必要があります。

「申請なんて面倒くさい!」
「どうせ払わないなら、申請しなくても同じじゃないの?」

と思われた方・・・・要注意です!!!

申請をせずに保険料を支払わなかった場合は「未納」という扱いになってしまうのですが、免除か未納かで以下のような違いが生じるんです!

  • 年金受給資格期間に免除の期間は加算されるが、未納の期間は加算されない
  • 一定額の減額はあるものの、未納にくらべ免除のほうが多く年金額が算出される

それぞれどういうことなのかを理解するため、まずは年金制度をざっくり確認しましょう。

まずはおさらい~年金制度をざっくり理解しよう

年金に加入する人は大きく以下の3つに分かれます。

  • 第1号被保険者・・・自営業、厚生年金未加入のパート・アルバイト、学生など
  • 第2号被保険者・・・厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務している者(ざっくり言えば会社員)
  • 第3号被保険者・・・第2号被保険者の配偶者(会社員の奥さんや旦那さんで所得が一定以下の方)

このうち、第2号被保険者の保険料は給与から天引されますし、第3号被保険者の保険料は会社勤めしている配偶者が支払う保険料に含まれています。第1号被保険者の方は、毎月自分自身で保険料を支払う必要があります。

第1号被保険者の方が支払わないといけない保険料は毎年変わります。平成30年4月からの保険料は月々16,340円です。ちなみに平成31年は16,410円となります。それなりの金額ですね。

年金受給資格期間について

日本の年金制度では20歳~60歳まで40年間、保険料を支払い続けることが義務付けられています。もし払えない期間があれば、将来にもらえる年金額は減ってしまいます。さらに、保険料を支払った期間が一定期間に満たない場合、なんと年金はもらえなくなってしまいます。

この、年金をもらうために保険料を払うべき一定期間を「年金受給資格期間」と呼びます。

年金受給資格期間はもともと25年でしたが、平成29年8月1日より、10年間に短縮されました。

そして、免除の認定を受けた場合、免除中の期間も年金資格受給期間に加算されることになります。

年金の受取額について

受取額はどのように考えればいいのでしょうか?厚生年金は勤務先での在籍日数や給与の額によりもらえる金額が変わりますが、国民年金の金額は日本年金機構のHPで確認することができます。

平成30年4月分からの年金額(年間):779,300円

ただし、この金額は40年間欠かさず、年金を支払った方がもらえる金額です。未納の期間があった場合は以下の計算式の通り、もらえる金額が減ってしまいます。

未納がある場合の年金額(平成30年4月):779,300円×(保険料を支払った月数÷480)

例えば、年金を払った月数が240ヶ月(つまり、半分しか年金を払っていなかった)場合は、もらえる金額は240÷480=2分の1で半額となります。しかし、免除が認められた場合は

一定期間免除での年金額(平成30年4月):779,300円×(保険料を支払った月数÷480)+ 免除により加算される額×(免除期間÷480)

となります。

未納のケースと比べ、「免除により加算される額×(免除期間÷480)」の分だけもらえる金額が増えていることがわかるかと思います。

免除は受けれる?受けられない?基準となる所得の計算方法

国民年金の免除制度では、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除があります。それぞれの免除割合に対し、基準となる所得が定められており、その基準を下回る場合に免除が認められる可能性があります。

免除と基準となる所得、もらえる年金

それぞれの免除において基準となる所得と、免除が認められた場合にもらえる年金の割合は以下の通りとなります(2018年6月24日現在)。なお、所得は本人・世帯主・配偶者の前年所得(免除の申請を1月~6月に行う場合は前々年の所得)となりますのでご注意を。例えば、本人の所得がこの基準を下回ったとしても、配偶者の所得が基準を上回っていたら免除は認定されません。

免除の種類 所得の基準 もらえる年金の割合
全額免除 (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 2分の1
4分の3免除 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 5分の8
半額免除 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 6分の8
4分の1免除 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 7分の8

扶養親族等控除額の計算方法は以下表の通りです。社会保険料控除額等は支払う社会保険料等により変わるため、源泉徴収票や確定申告の申告内容をご確認ください。

区分 控除額
16歳以上23歳未満の扶養親族 63万円
70歳以上の扶養親族 48万円
上記以外の扶養親族 38万円

実際どれくらい?免除基準のシミュレーション

では、実際に計算してみましょう。例えば、単身の方が全額免除となるためには、扶養親族等の数が0ですから、前年の所得が

(0+1)×35万円+22万円=57万円

を下回るようなら、全額免除にできる可能性があります。夫婦二人の場合は

(1+1)×35万円+22万円=92万円

となります。お子さんなどもいる場合、「扶養親族等の数」に足しこんでいただければ簡単に計算できると思います。4分の3免除や半額免除、4分の1免除の場合は、人により社会保険料控除額等が異なりますので、申告内容などを確認の上で計算してみてください。

なお、上記の計算式で「所得」という言葉を使っていますが、年収から経費を引いた額となります。(第2号被保険者なので適切な例ではないですが)サラリーマンを例にとると年収180万円までは40%(65万円に満たない場合は65万円)が経費として認められ、給与所得控除ができます。ですので、上記の金額にそれぞれ65万円を足した金額が年収の目安といえます(単身の場合で年収122万円、夫婦の場合で157万円)。ただし、免除制度は第1号被保険者のためのものであり、例えば自営業の方などは必要経費の考え方が異なりますのでご注意ください。

未納との差は?受給額のシミュレーション

例えば、3年間全額免除を受けた場合と、3年間未納した場合の年間の受給額はそれぞれ次のようになります(平成30年4月以降の受給額をベースに算出)。

【5年間(60ヶ月)未納の場合】
779,300円×(420÷480)=約681,888円

【5年間(60ヶ月)全額免除の場合】
779,300円×(420÷480)+389,650円×(60÷480)=約730,594円

年額ですが5万円に近い差が出ていますね。先に記載したとおり、免除期間も年金受給資格期間に算入されますから、仮に40年間ずっと免除となった場合は、単純に779,300円の半額である389,650円を年額として受給できることになります。

余裕ができたら後払いも検討!しっかりとした老後の備えを

免除の申請は、申請書を受理する月からさかのぼって2年1ヶ月前まで過去分を申請することができます。「未納のまま放っておいてた!」という方も、所得の基準を満たせば2年くらいなら免除申請が可能なわけです。

また、余裕ができたら後から支払うことも可能です(追納といいます)。追納することで将来の受給額を、保険料を払った場合に近づけることもできます。

保険料の支払いが厳しくとも、未納のまま放っておくことはオススメできません。

年金は老後の備えだけではなく、病気や怪我による障害で働けなくなってしまった時の障害基礎年金、加入者が亡くなった場合に遺族が受け取る遺族年金という形で支給されるものでもあります。将来の老後やもしもという時に年金を受取るためにも、保険料を払えないときはお近くの年金事務所まで相談し、可能なら免除の手続きをしっかりと行いましょう。

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