滞納・未払い・差し押さえ

駐車場を失ってしまう!駐車場代の滞納トラブル3つの解決方法

家賃や生活費などを使っていると、どうしても駐車場代にまで手が回らないと言うような状況もあるでしょう。景気の影響で、給料が上がらなかったり、失業したり、所得と言う部分で多くの方が困っています。

滞納トラブルは、年々増えています。駐車場代を滞納した場合、どうなるのでしょうか?「車を突然レッカー移動されるの?」「新たな駐車場が見つからないから、何とか継続して借りたい」と言った声があります。

世間では意外に多い、駐車場代滞納トラブルについてお話ししていきたいと思います。

危険!駐車場代の滞納はお金と駐車場を失ってしまう

意外に家計の中で大きな出費になる駐車場代ですが、滞納してしまうとどうなるのでしょうか?まずは簡単な催告から徐々に強めの催告になり、精神的に大変つらい状況になっていきます。

また最悪なケースでは、法的手続きによってお金を失ったり、駐車場の利用する権利を失ったりします。駐車場代の滞納が、どのような結果になるのか確認していきましょう。

5つのデメリット!駐車場代滞納トラブル

駐車場代を滞納すると、5つのデメリットの可能性があります。絶対に起こる訳ではありませんが、注意しなければ実際に起こってしまいます。

①遅延損害金と滞納額が意外に圧し掛かる

滞納した日から支払いがされるまで、日数計算による遅延損害金が発生する場合があります。貸主によっては、滞納金のみで問題ない場合もありますが請求された場合は支払わなければいけません。

基本的には、契約書に記載された利率で計算されます。記載がなければ、法定金利の6%が適用されると思います。

<10000円の駐車場代を25日滞納した場合>
10000円(駐車場代)×6%(金利)×25日÷365日 = 41円

単体で見れば安く感じるでしょうが、例えば2カ月分の滞納分+遅延損害金を一気に払うとなると大きな金額になってしまいます。

滞納は時間が経過すればする程、支払うべき「金額」が上がっていくので注意が必要になる訳です。

②催告を放置すると、車に張り紙やポストにチラシなどを入れられ住民にバレる

駐車場代の滞納は仕方がない事です。別に犯罪行為ではないのですが、恥やプライドなどが邪魔をして出来るだけ知られたくないのも事実だと思います。

催告とは、電話、はがき、訪問など、滞納すると「滞納分を支払って下さい」と言う支払いの催促の事を指します。大家さんや管理会社の催告を放置すると、他の手段を持って連絡しなくてはなりません。

その行為が、住民の方の目に触れる機会ができてしまう可能性がある訳です。

【関連記事】

支払督促の概要と防ぎ方とは。放置や無視は絶対に避けよう!

③契約解除される

催告を無視し続けると、悪質な滞納者と認識されます。これは、貸す側としては次の手段に移る検討をしなくてはいけません。

通常送られてくるはがきは、ただの督促状というお知らせです。ただ、その郵送物が内容証明に移った場合は注意が必要です。

内容証明は、いつ、どんな内容を送ったのか郵便局が証明してくれる書類です。

裁判所でも有効なので、内容証明が郵送されてきたと言う事は最終的に裁判も考慮していますと言うメッセージでもあります。

そして内容証明の内容は、期日までに滞納分を支払う事、支払わなければ契約の解除と法的手続きに移る事を示唆したものとなります。

内容については、それぞれの大家さんによって異なりますが、基本的には「支払わなければ契約解除します」か「契約を解除するので、一括で支払って下さい。意義がある場合は法的措置をします」という裁判を考慮していないパターンと裁判も考慮したパターンになります。

ただ内容証明は、どちらも契約の解除について言及されていますので慎重な対応をしなくてはいけません。

④契約解除されると、新たな場所を探さなくてはいけない

契約が解除されれば、新たな駐車場を見つけなくてはいけません。車は多くの場合、生活や仕事に欠かせない物です。通常、現在借りている場所が最も利便性(近い、交通に便利)が高いと思います。

現在利用している駐車場を失うのは、生活においてかなりの打撃を受ける結果になると言えます。

⑤解約解除されると、法的処置を取られるかもしれない

法的措置。これが最悪な結果となります。大家さんにとって、支払って貰えない、契約を解除したのに車を駐車場に放置するなどの問題は対処が大変難しいものです。

そこで、法的な手続きによって、第三者に任せる選択をする可能性があります。確かに民間のトラブルは司法の力を利用した方が、スムーズに終わるので仕方がありません。また問題の長期化を避ける上でも、法的措置に訴えられる可能性がある訳です。

契約解除をされた後の2つの法的措置

契約解除と同時に、住居の明渡しと滞納金の支払いを内容証明で通達されると思います。もし、それを拒んだり放置すると、法的手段を実行される事となります。

一般的には、駐車場代の滞納での法的措置には以下の2つが利用されています。

◆支払督促
金銭の支払い、有価証券や代替物の引渡しを求める場合のみに限った訴訟方法です。簡易裁判所に申立てるだけの簡単な手続きなので、多くの大家さんが利用されています。簡単、費用が掛からない、判決までの掛かる期間が短いなど、多くのメリットがあるので駐車場代の滞納トラブルでは良く利用される方法です。同封されている督促異議申立書で、「いついつまで待ってほしい」「分納したい」と言う異議を申し立てないと、相手側の要求を全てのむ形で敗訴しますので注意しましょう。◆少額訴訟
1回の審理で、判決を行う事が原則の特殊な訴訟です。60万円以下の金額の支払いを求める場合に利用されます。訴訟の途中で話し合いにより、解決する事が出来ます。これを「和解」と言います。

支払督促も少額訴訟も判決で敗訴となれば、給与の差し押さえや預貯金口座の差し押さえなどの強制執行へと移ります。

駐車場代の滞納トラブルの結末は、大変恐ろしいものなのです。

契約解除は駐車場を利用する権利を剥奪される!

駐車場の契約とは、利用する権利を有する事になります。しかし、契約が解除されれば駐車場を利用する権利はなくなってしまいます。

滞納トラブルで契約解除を通達された場合、それは法的措置の第一歩を意味します。そこで契約解除をもう少し詳しく見ていきましょう。

駐車場代の滞納は債務不履行なので契約を解除されてしまう

契約解除で駐車場が利用できなくなるのですが、実際には簡単に貸す側も解除する事が出来る訳ではありません。

契約の解除は、一般的には2つの方法で行われます。

◆契約が満了した時(更新日に解除を通達する事が出来ます)
◆解約を申し入れて6カ月経った時(取り壊しや修繕の為などの理由で解除します)

これ以外では何かしらの違反を起こさない限り、貸す側からの契約解除は出来ない訳です。契約書にも記載されている通り、駐車場を借りる側には賃料を支払う義務があります。

駐車場代の滞納は賃料支払の義務違反であり、債務不履行となります。よって貸す側は契約解除の権利を得る訳です。また民法541条では、債務不履行した場合の契約の解除についてが書かれています。

<民法541条>
借りた者がその債務を支払わない場合、貸した側が相当の期間催告をしその期間内に支払いが無ければ、貸した側は契約の解除をすることができる。

法的措置を阻止する!知っておくべき2つの条件

本来、賃貸物件や土地などを借りると借地借家法によって借りる側は強力に保護されているので、1カ月2カ月の滞納で即解除とはなりません。

しかし、駐車場には借地借家法が適用されません。その為、1~2カ月でも駐車場代の滞納をすれば貸した側の判断にもとづいて契約解除を通達される訳です。

ただ、一般的には上記の債務不履行の相当の期間催告をすると言う条文に従う傾向にあります。では「相当の期間」と「催告」とはどれ位の期間でどんな事を伝えるのでしょうか?

  • 一定期間の目安は3カ月以上(裁判で相当の期間と認められる)
  • 催告は、電話・はがき・訪問などで支払いを何度も行う事

この2つの条件を満たした時、貸した側はほぼ勝訴できる条件をクリアした事になります。

つまり、駐車場代の滞納期間が3カ月以上あり、その期間何度も催告をされていた場合、もし訴えられたとしたらほぼ敗訴する事になります。

故に、滞納の期間は3カ月がリミットだと覚えておき、その前には滞納を解消しておいた方が良いと思います。

駐車場代を滞納するとどうなる?全体の流れと疑問を解消する

それでは実際に、駐車場代を滞納してから法的手続きに訴えられるまでの流れを確認していきましょう。

また、駐車場の滞納トラブルで良くある質問を2つ取り上げたので、そちらも確認していきましょう。

駐車場代滞納から差し押さえまでの6ステップ

このステップは、最悪の結果までの流れとなります。出来れば、ステップ③までで流れを止められれば問題ありません。しかし、ステップ④以降は駐車場もお金も一気に失う危険があります。注意して下さい。

ステップ①滞納(支払日翌日から滞納日開始)

ステップ②催促(3カ月の間、何度か繰り返し催促される)

ステップ③内容証明

ステップ④契約解除(契約解除により、滞納金一括支払いと駐車場の使用禁止)

ステップ⑤2つの法的措置(支払督促か少額訴訟)

ステップ⑥判決が出れば従わなければならない(差し押さえなど)

ステップ①~③までは、最短で3~4カ月程度です。ステップ④~⑥までも、3~4カ月程度の期間となります。最短で滞納から半年で、駐車場を失ってしまう可能性がある訳です。

こういったケースはどうなるの?2つの疑問にお答えします

滞納トラブルで最悪なケースは、法的措置です。では、次の2つの疑問はどうなるのでしょうか?

「滞納して契約解除言われたけど、再契約はできる?」

こういった疑問を持つ方がいますが、答えは交渉次第となります。契約上も法律上も、契約解除されても再契約する事は全く問題ありません。しかし、滞納トラブルで契約解除まで言われてしまうと言う事は少なくとも3カ月以上の滞納をした事を意味しています。

そうなると、大家さんや管理会社の判断はかなり厳しいものになると思います。それまでの対応や付き合いかた次第ではどうなるか分かりませんので、不可能ではないと思います。ただ、あくまでも再契約は交渉次第だと思います。

「滞納を続けていたら、大家さんが勝手に車をレッカー移動する事がありますか?」

滞納を続けていたり、契約解除を伝えられたりすると、駐車場代を滞納している後ろめたさが有るので移動させられても仕方がないと思うかもしれません。しかし、大家さんが車をレッカーなどを利用し勝手に移動させる事は民事法的に罰せられてしまいます。

民事法の概念では、自力救済を禁止しています。

<自力救済>
何かしらの権利の侵害をされた人が、司法の手続きをせず自分の実力を持ってその権利を回復させる事です。

日本では法的手続きを取らずに、実力(過剰な行為)を持って解決する事を認めていません。

車のレッカー移動やタイヤロックで足止めするなどは自力救済にあたりますので、行った側が逆に罰せられます。

ただ大家さんなどはその辺を理解されているので、催告などの話し合いの解決をしようとしてダメなら法的手続きに訴える事になると思います。

駐車場代を滞納した時の注意点と対応策

債権には時効が存在します。つまり、駐車場代の滞納分も、時効によって消滅する可能性があります。時効を知ると、つい「使えるかも」と思ってしまうのも仕方がありません。しかし、時効の成立は大変難しいものです。

それよりも、確実な解決方法があるので、そちらを実行して下さい。

滞納金が消滅する!時効の成立を理解する

滞納金や借金などの債権には時効が存在します。一定期間経てば、時効が来て債権がなくなると言う制度です。

<消滅時効>
一定の期間、債権があるのにそれを回収しなかった場合、その権利が消滅してしまう制度の事です。民法167条で原則10年で消滅時効は成立します。しかし民法169条により、駐車場代の滞納金の消滅時効は5年となります。<時効の中断>
時効の進行をリセットできる制度です。例えば、滞納期間が4年程経過した場合はあと1年で時効となります。ここで時効の中断を利用すると、それまでの期間がリセットされて再度5年の時効となります。時効の中断を行うには「請求」「差し押さえ」など、裁判所に訴える事で可能となります。支払督促や少額訴訟を行われると時効はリセットされる訳です。

基本的に滞納トラブルで時効を考えた場合、「時効の中断」がある為かなり成立させるのが難しいと言えます。

早急な相談と支払いこそ駐車場代滞納トラブルの唯一の解決策です

滞納すると精神的に圧迫されます。そこで滞納トラブルを解決する為の方法を、3つお伝えします。

1.できるだけ早い相談
2.計画的な支払いと分納
3.支払方法の確認と注意

<1.できるだけ早い相談>
駐車場代の滞納は、そんなに珍しい問題ではありません。しかし、大家さんなどが連絡した時に繋がらないなど接触できない場合、それは大問題です。

当然、すぐに出られない事もあると思いますが放置する事は絶対に避けましょう。むしろ、滞納しそうと言う段階で連絡を入れる事こそ対応としては正解であると言えます。

今後の状況や支払計画などの相談をすれば、放置するより何倍も返済が楽になると思います。

<2.計画的な支払いと分納>
1~2カ月程放置して、内容証明などが郵送されてから「分納でお願いしたいのですが・・・」と言われても、なかなか難しいと思います。故に早い段階での相談が必要なのですが、その際に支払う意志と計画的な返済方法(分納など)を含めてしっかり伝えなくてはいけません。

どのような理由で遅れ、いつなら支払えるか、どう支払っていくのかなど伝えれば、大家さんもひとまず安心できると思ます。

<3.支払方法の確認と注意>
とても単純な事ですが、駐車場代の支払い方法をしっかり確認しておきましょう。振込、引き落とし、手渡し、家賃に含まれているなど多種に渡ると思います。

振込や手渡しなら、支払日を忘れてはいけません。引き落としなら、口座にお金が無かったなどのミスは避けなくてはいけません。家賃に含まれている場合は、住む場所に関する事なのでなかなか忘れがたいと思いますが注意が必要です。

実際、支払いの督促状が届いた時に、「配偶者任せで支払っていると思っていた」などのミスもあったりします。忘れていた、口座にお金が無いのに気付かなかったなどがないようチェックを怠らないようにして下さい。

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