滞納・未払い・差し押さえ

NHK受信料払わないとどうなる?督促や最悪は財産の差し押さえも

NHK受信料の支払率がどれくらいか知っていますか?

NHKが公表している「平成29年度末 受信料の推計世帯支払率(全国・都道府県別)について」を見ると、このような推計結果になっています

  • 全国の支払率は79.7%
  • 最も高い支払率は秋田県で97.2%
  • 最も低い支払率は沖縄県で49.8%

「払ってない人もいるのに真面目に払うのは馬鹿らしい」と思ってしまうかもしれません。

でも、テレビを設置しつつも受信料を払っていない方は要注意です!

裁判所による強制支払い命令や、財産の差し押さえという結果を招きかねません。

NHK受信料はどうして払わないといけないの?

そもそも、NHKの受信料支払いはどのような形で義務づけられているのでしょうか?そのことを理解するためには、以下2点について知る必要があります。

  • 放送法(特に64条)
  • 日本放送協会放送受信規約

まず、放送法の64条により、NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した人は、NHKと放送の受信に関する契約をしなければならないことが定められています。


平たく言えば、テレビを買って、アンテナとつなげるかケーブルテレビに加入するかしたらNHKと契約しないといけない、ということです。

放送法というくらいですから、法律です。

ですので、契約しないと法律違反になります。契約しないことに対する罰則は規定されていませんが、契約しなければなりません。

「契約自由の原則に反するから違憲だ」

といえるかというと、そうでもありません。

NHKとの契約を拒否し続けていた人物に対し契約と過去にさかのぼった支払いをNHKが求めた裁判が最高裁判まで上告されましたが、結果は「契約の義務は合憲」となりました(受信契約締結承諾等請求事件 平成29年12月6日 大法廷判決)。

そして放送法で義務付けられた契約を行うにあたり、その内容を定めた定めたものが日本放送協会放送受信規約となります。こちらは法律ではありません。金額や支払時期を定めた、どちらかというと契約書そのものとなります。


放送法で契約が義務付けられており、日本放送協会放送受信規約でその契約内容が定められているという二段構造になっています。放送法によって契約義務が生じ、日本放送協会放送受信規約に基づく契約で支払い義務が生じるということになります。

NHK受信料を払わないとどうなる

「NHK受信料は法律で定められているけど、罰則はないから払わなくても大丈夫」と考えてはいけません。法律違反というだけではなく、契約違反となるからです。

NHK受信料が支払われない場合、以下のプロセスで代金の徴収が行われていきます。

  • 訪問徴収
  • 支払督促
  • 民事訴訟

それぞれのプロセスがどのように行われていくか見ていきましょう。

請求を無視すると訪問徴収

受信料の支払いを滞納すると、請求書が何度も届きます。それでも払わないと、訪問員が家にやってくることもあります。この段階は、NHKから「支払いをお願いします」と言われている状況と言えます。

裁判所からの支払督促

NHKのHPにある「お支払いに関するQ&A」で、「受信料の消滅時効は5年」と記載されています(2018年6月30日時点)。よって、滞納が続いた場合は5年以内に支払督促へと移る可能性が高いと考えられます。

支払督促と請求書とでは何が違うのでしょうか?

支払督促は、NHKが裁判所に申立を行い、滞納者に向けて裁判所から督促状を出してもらうものです。これはNHK受信料に限らず、債権者が債務者からお金を取り立てる時に利用される制度で、

  • 滞納者は支払督促に不満があれば2週間以内に異議申立をしなければならない
  • 滞納者が2週間以内に異議申立をしない場合、2週間目の翌日から30日以内にに仮執行宣言の申立てをする

というものになります。・・・・難しいですね。要は支払督促されたら2週間以内に異議申立をしないと負け、ということになります。異議申立をした場合には、民事訴訟となります。

【関連記事】

財産の差し押さえは2パターンある!国と裁判所の強制執行を理解する

民事訴訟による裁判

民事訴訟となった場合、まず勝つのは難しいと言えます。契約している以上、受信料の未払いは契約違反に他なりません。

契約を拒んでいるケースにおいても、最高裁が契約義務を「合憲」とした以上、勝つのは難しいと考えられます。しかも、過去にさかのぼって支払いを求める判決も出ています。

支払督促で異議申立をしなかった場合、または民事訴訟で負けた場合は時効となっていない範囲で受信料を支払う必要があります。


それでも支払われない場合は、預金や給与が差し押さえられてしまいます。

  • 預金口座の差し押さえがNHKから申し立てられると、銀行に通知が行き銀行は滞納者の口座を差し押さえます
  • 給与の差し押さえが申し立てられると、勤務先に通知が行き勤務先が給与の一部が差し押さえられます(もちろん、勤務先に滞納していることがバレてしまいます)

支払督促と未契約訴訟の状況

NHKの公表資料である「平成29年度末 受信料の推計世帯支払率(全国・都道府県別)について」によると、平成29年度末時点での支払督促と未契約訴訟の状況は以下の通りとなっています。

民事手続きの種別 対象者 導入年度 累計申立数
支払督促 受信契約済みの滞納者 平成18年度~ 8,033件
未契約訴訟 受信契約に応じない者 平成21年度~ 178件
日本の世帯数は約5340万世帯と言われています。テレビの普及率を仮に90%とし、全国の支払率から滞納もしくは未契約の率を20%とした場合、1000万世帯が未納していると推定できます。したがって、民事手続きに進んでいる数は多いとはいえません。

しかし、もし支払督促や未契約訴訟の対象となったら、大きな支払いのみならず自身の信頼含め損失となりかねないことを理解しておく必要があります。

NHK受信料の意義を理解しよう

テレビ放送は様々な放送技術に支えられています。年々高度化される放送技術のおかげで、私たちはテレビを楽しむことができます。例えば、以下の放送技術がNHKにより研究・実用化され、世の中に普及することで他放送局含め放送技術の高度化が実現されています。

  • テレビ放送
  • カラー化
  • ハイビジョン
  • デジタル放送
  • ハイブリッドキャスト
  • 8Kスーパーハイビジョン
  • 空間像再生型立体テレビ


番組だけではなく放送技術も作り出しているNHK。私達がNHKの番組に限らず「テレビ」全般を楽しむためにも、費用の公平負担はとても重要な問題となります。

支払いが経済的に厳しい場合、条件を満たせば支払いを免除する制度もあります。

延滞を積み重ねて大きな金額の支払いに迫られることがないよう気をつけつつ、テレビの視聴を楽しみましょう!

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