国民年金の支払いが厳しい…免除にしてもらう方法はあるの?
日本には年金制度というものがあり、これが多くの方の老後の生活を支えています。
企業に属して働いていると、毎月「厚生年金」などの名目で年金の保険料を納めていますよね。自営業者などの場合は「国民年金」となり、個人で保険料を納める必要があります。
年金は20歳を迎えると保険料を納める義務が始まりますが、中には支払いが厳しいという方もいらっしゃるかもしれません。
年金保険料の支払いが厳しい場合、一体どうすればよいのでしょうか?免除などの措置を受ける事が出来るのでしょうか?
今回は、年金保険料の支払いが難しい時に受ける事が出来る措置やその申請方法などについて調べてみました。
国民年金の支払いが難しい時は救済措置があります!
日本に居住する満20歳以上60歳未満の方は国民年金の被保険者となり、厚生年金などに加入していたり、第3号被保険者となっていない場合は、保険料を支払う義務があります。
しかし、中には保険料の支払いが厳しいという状況の方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合、3つの救済措置のいずれかを受ける事が出来る可能性があります。
支払いが難しい場合、保険料の免除を受ける事が出来る可能性も
そもそもの収入が少なかったり、急な失業により収入が途絶えてしまった場合、国民年金の保険料の支払いについて免除を受ける事が出来る可能性があります。
免除となると、「国民年金保険料の支払いをしなくても良い」ということになるのです。
免除については、以下の4種類があります。
- 全額免除
- 3/4免除
- 1/2免除
- 1/4免除
どの免除にあたるかは、申し込み後判断されます。
【関連記事】
年金が免除されるケースは?年金免除の手続き方法を詳しくご紹介!
免除の他にも納付猶予という手続きもあります
今は支払いが厳しいけど将来的には納付が見込める…という場合などは、納付猶予という措置を受ける事が出来る場合があります。
納付猶予とはその名の通り、納付期限を先延ばしするというもので、将来的に支払うことが前提となります。
ただし、支払わなかったからといって、その間の受給資格期間が取り消されるわけではありません。
現在は50歳未満の方が対象となっていますので、現在50歳を過ぎている方は注意してくださいね。
学生の場合は学生納付特例制度を受ける事が出来る
国民年金保険料の支払い義務は20歳から始まります。しかし、20歳の場合、まだ学生…という方も多いですよね。
学生の場合は、親の仕送りで生活していて、収入が全くないという方も少なくありません。そんな学生の方は、学生納付特例制度を受ける事が出来るので、是非検討しましょう。
ただし、学生であってもアルバイトなどで一定の収入を超える場合は、この特例は受ける事ができない可能性があるので注意してくださいね。
保険料の免除と納付猶予・学生納付特例制度の違いは?
保険料の免除・納付猶予・学生納付特例制度はすべて同じような制度に感じますが、実は年金を受け取る事態となった時にその違いがはっきりと分かれます。
下記に、簡単に違いをまとめてみました。
受給資格期間への加算 | 障害基礎年金・ 遺族基礎年金 の受取 |
老齢基礎年金額への反映 | |
---|---|---|---|
全額免除 | あり | 可能 | あり(1/2で計算) |
3/4免除 | あり | 可能 | あり(5/8で計算) |
1/2免除 | あり | 可能 | あり(6/8で計算) |
1/4免除 | あり | 可能 | あり(7/8で計算) |
納付猶予 | あり | 可能 | なし (ただし追納されるとその分は反映される) |
学生納付特例 | あり | 可能 | なし (ただし追納されるとその分は反映される) |
※障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取るには一定の条件があります。
どの措置も、年金の受給資格期間への加算は行われます。
しかし、納付猶予や学生納付特例の場合は、後からきちんと追納しないと、老齢基礎年金額への反映が無く、年金を満額受け取ることが出来なくなってしまうのです。
追納は10年となっていますが、一定期間を超えると、納付すべき保険料が当時の保険料+αとなりますので注意しましょう。
知りたい!保険料の免除を受けるためにはどんな条件あるの?
納付猶予や学生納付特例だと結局保険料を支払わないと、将来受け取る年金の額が大きく減ってしまう可能性もあります。
なら保険料の免除を受けたい!と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、保険料の免除は誰でも受ける事が出来るというわけではありませんのでご注意ください。
学生は、保険料の免除を受ける事ができません!
いくら収入が少なくても保険料の免除を受ける事が出来ない方々がいます。
それが学生です。
学生の場合、学生納付特例の対象となる為、年金保険料免除の制度を受ける事が出来ないのです。
学生の方で、年金保険料の支払いが厳しい方は、ぜひ学生納付特例のパンフレットなどを見て、ご自分の所属する学校が対象校となっているか確認しましょう。
日本年金機構のホームページからも確認することが可能です。
年金保険料免除には収入についての一定の条件があります
年金保険料の免除を受けるためには、収入について一定の条件があり、免除の金額等によって異なります。
審査を受けるのは以下のような人です。
- 厚生年金に未加入の方の場合→
本人・配偶者・世帯主 それぞれの所得審査 - 失業した方の場合→
配偶者・世帯主 各々の所得審査
配偶者がおらず、世帯主がご本人の場合は、本人の所得審査が行われます。
また、収入についての条件は以下のとおりです。
免除の範囲 | 前年度の所得 (計算式の範囲内であること) |
---|---|
1/4免除 | 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など |
1/2免除 | 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など |
3/4免除 | 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など |
全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円 |
失業をされた方については失業特例免除となりますので、上記を超えていたとしても免除が受けられる場合があります。
生活保護などを受けている方も保険料は免除となります
次の受給等をされている方についても、国民年金保険料の納付が免除となります。
- 生活保護
- 障害基礎年金・障害年金(2級以上)
- ハンセン病療養所などで療養している
ただし、申請が必要となりますので、該当する場合は、年金事務所か、市区町村の年金窓口に相談してみてくださいね。
平成31年4月からは産前産後の一定期間の免除も!
平成31年4月からの話になりますが、出産する本人が国民年金第1号の被保険者の場合、出産時の一定期間国民年金の保険料免除の措置があります。
免除の期間 | |
---|---|
単胎妊娠 | 出産予定日(または出産日)の月の前月~4か月間 |
多胎妊娠 | 出産予定日(または出産日)の月の3ヶ月前~6か月間 |
ここでいう出産は妊娠期間が85日以上経過した場合で、流産・死産・早産でも適応されます。
こちらも申請が必要で、平成31年4月以降、出産予定日の6か月前より申請が可能となっています。
教えて!免除を受けるにはどこに申請すればいいの?
では、次に、国民年金の保険料の免除を受けるための申請先などについてご紹介していきましょう。
申請は市区町村各自治体の窓口へ!
免除や猶予についての問い合わせはお近くの年金事務所でも行うことができますが、申請は、市区町村の各自治体にある国民年金の担当窓口にて行います。
窓口に直接赴いて申請・相談を行うことも出来ますし、申請用の書類を郵送で提出することも可能です。
まずは、電話などで一度相談されてみる方が無難でしょう。
申請に必要な書類はどんなものがあるの?
申請においては、専用の申請書がありますので、必要事項を記載し提出しましょう。
申請書は、日本年金機構のホームページをはじめ、各自治体の窓口、年金事務所などにあります。
また、それ以外の書類については、申請する人の状況によって異なります。
必ず必要なのは、国民年金手帳(基礎年金番号通知書でも可能)です。
そのほかの書類については以下のようなものがありますが、どの書類が必要か不明の場合は、必ず問い合わせておきましょう。
- 失業による申請の場合は、雇用保険受給資格者証・雇用保険被保険者離職票のいずれかの写し
- 前年度の所得を証明する書類
- 事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し など
また、申請の内容を確認し、スムーズに申請できるよう、日本年金機構のホームページには「セルフチェックシート(国民年金保険料免除・納付猶予申請用)」がありますので、是非活用しましょう。
たんなる未納と免除ではその後の年金生活に大きな差ができます!
いかがでしたでしょうか?失業などの理由や収入が少ない場合、国民年金の保険料が免除または納付猶予される可能性があることをご紹介してきました。
ご自身が「該当するかも」と思われるのであれば、是非窓口に相談し、免除の申請をすることをオススメします!
未納のまま放置するのと免除ではその後大きく異なってくる!
国民年金の保険料が払えないからとりあえず放置しておく…というのは一番最悪の選択です。
なぜなら、国民年金は、未納のままだと最悪の場合将来年金の受け取りが出来なくなってしまう可能性があるからです。
国民年金を受け取るためには一定の条件が必要で、その中でも「受給資格期間」が大きくかかわってきます。
また、国民年金には国のお金も相当金額が注がれています。国のお金の大半は税金です。未納で国民年金を受給できない人は、税金だけ払って1円ももらえないので余計損ですよね。
国民年金の未納は、愚かな選択と言わざるを得ないのです。
支払いが難しい!と思ったらまず相談をしてみましょう
国民年金保険料の支払いが厳しい!と感じた時点で、まずは、各自治体の窓口や年金事務所に相談をしてみましょう。
状況によっては何らかのアドバイスをもらう事ができます。
また現在、免除等の申請は2年を超えない期間さかのぼって行うことが可能です。
失業で収入がなく、既に半年未納してしまっている…なんていう場合は一刻も早く相談をして、申請をするようにしましょう。
年金は老後の大切な収入源となります。将来の為にも早めの行動をとるようにしてくださいね。