滞納・未払い・差し押さえ

医療費払えない場合の対処方法。相談と4つの対策で差し押さえ回避!

災害、事故、病気、些細な体調不良など、病院で診察して貰う時は突然やってきます。医療保険、民間の保険、医療制度などを利用するとしても、医療費の負担を考えると不安になると思います。

給料の減少で貯金に余裕がない時に、いざ診察、いざ入院となった場合、「医療費払えない場合はどうしましょうか?」と病院に相談しなくてはいけないかもしれません。

では実際に医療費が払えない場合、病院はどのような対応をするのでしょうか?未払いの医療費を放置するとどうなるのでしょうか?医療費の滞納トラブルについてお話ししていきます。

医療費の相場と払えない時のデメリットを把握する

医療費で特に困ってしまうのは、入院や手術、出産など高額な医療費が必要になって来る時でしょう。実際、その時になるまで金額の想像などをした事も無かった方が、値段を聞いて驚くと言ったケースは多々あります。

そこで、まずは良く聞く高額な医療費の相場を確認し、1日にどれほどの費用が掛かるのか確認していきましょう。また医療費が払えない場合、4つのデメリットを被る事になります。最悪な結果も踏まえ、その点もお話ししていきたいと思います。

医療費は高額!入院すれば1日1万円ほどの費用が発生

大きな手術や入院などは、高額になりやすいです。ただ、高いだろうと言うイメージはあっても実際の価格と言うものを知る機会はあまりないと思います。そこで、急性心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病の相場をまずは確認してみましょう。

入院費用 1日の入院費
急性心筋梗塞 約 182万円 約 13万円
脳梗塞 約 127万円 約 7万円
糖尿病 約 63万円 約 4万円

※2017年度「全日本病院協会 医療費の平均」を参照しています。

社会保険や国民健康保険が適応されるので、実際に支払う医療費は3割となります。つまり、急性心筋梗塞は約4万円、脳梗塞は約2万円、糖尿病は約1万円となる訳です。

大きな病気になればなるほど簡単に医療費は高くなりますが、嘆息、肺炎、胃潰瘍、白内障などは糖尿病と同じレベルの医療費なので1日約1万円掛かる事になります。

手術をして入院と言う流れになる場合は、最低でも1日1万円以上掛かるとイメージを持たれると良いと思います。そして、入院や通院の期間が長ければ長いほど医療費は高くなり払えない状態になる事を知っておかなくてはいけません。

医療費が払えない場合はどうなるの?4つのデメリットを知る

滞納した医療費を、病院は回収しようとします。その影響で、自分の体調が悪くなったり、保証人になってくれた方へ迷惑を掛けたりしてしまいます。医療費が払えない場合の、4つのデメリットを見てみましょう。

■①治療・通院が難しくなり、体調が悪化する

医療費の滞納は、病院側に負担を掛けますが自分自身にも当然影響が出ます。見落とされがちですが、精神的にも肉体的にも金銭的トラブルは自身に大きな影響を与えます。

払いたくても払えない精神的負荷は体調に悪影響を与え、支払いができないので通院したくても出来ない状態なので体調の悪化をさらに招く結果に繋がってしまいます。

また医療費が払えない場合、健康保険などの保険料の支払いができない傾向になりやすいです。そうなれば、保険料が利用できなくなり負担額が10割となる危険性も出てきてしまいます。医療費の滞納トラブルは、このような負の連鎖が続く大変怖いものなのです。

■②保証人への連絡で迷惑を掛ける

通常、手術・入院などは、保証人もしくは連帯保証人を付ける場合があります。その場合、本人に医療費が払えない為、保証人に連絡がいく事になります。

多くの場合、親、親族などが保証人になると思いますが、大変な迷惑が掛かってしまいます。

■③強制退院の可能性がある

通常、病院側が強制的な退院を迫る事は禁じられています。その為、まずありえない事です。しかし、医療費が払えない事が影響して、退院を勧められたりするケースは実際にあるようです。

これは社会的問題でもありますが、病院側も医療費によって売上を得ているので払える方に入院して欲しいと考えてしまう部分があるのかもしれません。当然、そのような非人道的な事を行う病院は無いと信じたいのですが、可能性の話として肝に銘じておく事が賢明だと思います。

また、医療費を払っていない病院に再度診療を受けに行けば、滞納金の支払いの要求や場合によっては診療を見送られる可能性がありますので、この点も注意が必要です。

■④法的手続きにより、差し押さえの危険性がある

医療費が払えない場合、いくつかの手続きを踏まえますが最終的には法的手続きを病院側は行ってきます。どのような訴訟なのかは額に応じて変わってきます。

医療費の滞納は額が大きくなる事が多いので、最終的には滞納分を財産の差し押さえによって補填する事になります。その際、病院側は弁護士を通じて通達してくる事になると思います。

滞納から差し押さえまでの期間は、半年~1年以上と病院によって様々です。

しかし、大きな病院であればあるほど滞納時のマニュアルに徹底している傾向にあり、時にその対応が大変厳しいものになったりします。

医療費は弁護士が回収し、医師は診療に専念する

医療費が払えない場合、通常は病院が回収を行います。しかし、場合によっては弁護士が関わって来るケースがあります。

医療費の滞納は、一般的な金融商品(クレジットカードや車のローンなど)の滞納とは違います。回収には病院職員か弁護士のどちらかにしか行えません。そのため債権譲渡が出来ないので、すぐに弁護士に回収が渡り差し押さえまでアッという間と言うケースも中にはあったりします。

それを踏まえ、医療費の特性を理解していきましょう。また、医師はどんな状態の患者でも正当な理由が無ければ診療をしなくてはいけない義務があります。では医療費が払えない場合はどうなってしまうのでしょうか?

医療費の未払いは、診療を受ける機会を得られなくなってしまうのか?医療費の特性と医療を受ける権利についてお話ししていきたいと思います。

医療費の未払いは、通常の借金ではありません

医療費の特徴を2つ挙げていきます。この2つの特徴によって、実は医療費の滞納は意外と簡単に差し押さえまで流れて行ってしまう可能性があります。そうならないよう、まずは基本的な部分を押さえておいて下さい。

  • ①医療費は特定金融債権ではない

1999年施行の「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」に基づき、法務大臣が許可した債権回収専門会社が債権を回収できるようになりました。

本来、債権の回収は弁護士にしか行う事が許されていませんでした。

特別措置法により回収できる債権を、特定金融債権と言います。この特定金融債権は、債権回収専門会社でも回収が許可された債権です。しかし、特定金融債権ではないものは未だ弁護士にしか債権の回収が委託できないようになっています。

そして医療費は特定金融債権ではないので、病院もしくは唯一の委託可能な弁護士のどちらかが回収を行う事になる訳です。

医療費の額が少なければ経費削減の為、病院職員が回収を行います。しかし、額が大きければ回収は弁護士に回される事になります。ここで注意が必要なのですが、弁護士は交渉と同時に法的手続きで手早く処理しようとする傾向があります。

その為、意外と簡単に裁判所から通知がくると言うケースも可能性としてはあり得る訳です。

  • ②保険者徴収制度

本人は医療費が払えない場合、実は病院は自治体や健康保険組合などに医療費を請求できる制度があります。それが、保険者徴収制度です。これは自治体や健康保険組合が未収金を回収して病院側に払う制度となります。

弁護士に債権回収を委託する事と同じように、地方自治体などに医療費の回収を委託しても良いと言う特例的な制度という訳です。

これだけ聞けば、病院は医療費の滞納トラブルになる事がないように思えます。しかし、現状はその制度が有効に働いているとは言えないようです。

病院側が制度によって自治体などにお願いしても、回収が上手くいかなかったり、逆に病院の回収に足しする姿勢の努力不足を指摘されたりして上手くいっていないケースが多々あるようです。そのため、病院側もこの制度を利用する事無く、簡単に弁護士に依頼するとなる訳です。

それはつまり、弁護士による判断で回収が行われる事を意味し、法的続きに移行しやすい事も意味している訳です。

特定金融債権でない事と、保険者徴収制度が上手くいかない事で、医療費の回収を必然的に弁護士が行いやすいのだと、頭の隅に置いておいて下さい。

誰にでも診療を受ける権利がある!応招義務と病院の判断

例えば医療費を未払いの状態でも、体調が悪くなる事があります。そのため病院で診察が受けなくてはいけないと、不安になる事も想定する事が出来ます。この場合、病院側は診療を拒否してくるでしょうか?

いいえ、拒否する事は出来ません。病院側は医師法第19条によって、診療する義務があります。これを応招義務と言います。

<医師法第19条>
医師は、患者から診療を求められた際、正当事由が無ければ、診療を拒否できない事になっています。診療をする義務です。医療費の未払いは、原則この正当事由に当てはまらない事になっています。

ただ、注意点があります。法律的には、医療費を滞納している病院でも、診療を受ける事は可能です。しかし、病院側からの印象はとても悪いでしょうし、当然未収金の支払いを催促されます。また、医療費を支払わない事が正当な理由として判断されるケースも最近ではあるようです。

そのため医療費を滞納している場合は、診療は各病院の判断によると言うのが、正しい認識になると思います。ただ、体調不良などのやむを得ない場合は命が優先されますので、そういった事を無視して一旦病院へ行くことをお勧めします。

医療費の未払いは無くならない!差し押さえまでの流れを知る

それでは医療費が払えなくなった場合から、実際に差し押さえされるまでの流れについて見ていきたいと思います。7つのステップで、最終的に差し押さえと言う流れになります。1つひとつどのような事が行われるのか把握して行って下さい。

また、たまに医療費の時効について気にされる方がいますが、それはかなり難しいので考えない方が良いと思いますので、注意点を踏まえつつ時効の特性についてもお伝えしていきたいと思います。

差し押さえまで7ステップ!全体像を理解する

医療費が払えない場合、最終的には法的処置として財産の差し押さえを執行される場合があります。もし実際に差し押さえられるとしたら、どのような流れなのか確認していきましょう。

◆①病院からの督促状(支払額と支払期日の連絡)

◆②病院からの催告(電話・はがきなどで複数回の催促)

◆③保証人への連絡

◆④弁護士へからの連絡(病院側が裁判を意識している段階)

◆⑤内容証明

◆⑥訴訟(金額に応じて、支払督促、少額訴訟、通常訴訟に分かれる)

◆⑦差し押さえ(強制執行)

督促状や催告など、支払いの催促が病院側からあります。それを放置すると、保証人を立てているとそちらへ支払いの催促が行きます。もし、それでも支払いがされない場合、病院は次の手段に移ります。

弁護士から連絡が来た段階で、医療費の支払いが完済できれば問題ありませんしかし、出来ない場合は内容証明が郵送されてくると思います。

内容証明には、支払期日と支払金額、それが完了されない場合は法的手続きに移る事が記載されています。

その後、訴訟が行われ判決が下ります。基本的に、この判決はほぼ敗訴となります。この段階で異義を申立てなければ、一括で支払う命令を裁判所から下されると思います。ただ、判決が出たからと言って、即差し押さえではありません。

そこから1~2カ月程の後、差し押さえ予告書が届き、その1カ月後ほどで強制執行となります。滞納から差し押さえまで、早くても半年~1年程は掛かると思います。

医療費の時効は3年!しかし、訴訟で10年延長する

医療費には、時効があります。さらに、条件によってさらに時効が延長される場合があります。

1.医療費の時効は3年
2.判決が出れば、その場で「10年」時効が延びる

通常の債権は時効に5年ありますが、医療費は3年と短くなっています。但し、上記の流れで言う⑥の訴訟が起こされ判決が出ると、10年時効が延長される事になっています。

そのため、ほぼ時効が成立する事はありません。あまり時効については、考えない方が賢明な判断だと思います。

「医療費払えない場合どうしたら良い?」相談と制度の利用

医療費の滞納から法的手続きまでの流れを確認しましたが、差し押さえは絶対に避けなくてはならない結果です。まず医療費が払えば位場合は、病院側に相談する事が最も大切な事になります。

支払い方法や自分の状況を踏まえたアドバイスを、ソーシャルワーカーなどが丁寧に教えてくれると思います。また社会保障などを利用し、医療費の負担を軽減させる事も1つの手段です。この社会保障についても、ソーシャルワーカーは相談に乗ってくれます。

事前の相談!早急な相談!ソーシャルワーカーを活用する

病院には、ソーシャルワーカーなど保険分野について相談できる方がいると思います。社会福祉、漢書の家族や心理的、社会的な面からアドバイスや解決策を提案して貰えます。

医療費が払えない場合、以下の3つについて確認すると良いと思います。

①分割で支払う
②支払いの猶予期間を貰う
③利用できる制度の確認

支払いを、一旦分割で納めるか、もしくは支払日を延長して貰えるようお願いしてみると良いと思います。病院の制度上、申請すればほぼ問題なく通ると思いますので、まずは分割と支払の猶予について相談するところから始めるとスムーズにいくと思います。

またその際、社会制度の利用も視野に入れ、相談してみて下さい。

制度や保険を活用する!4つの対応策

日本に住所を持っている方なら、国民皆保険制度によって全ての方が何かしらの保険に加入している状態なはずです。そこで、保険制度の利用を考慮すると良いと思います。また、他の民間・金融サービスの利用を考慮して、医療費の滞納を解消するのも1つの手だと思います。

  • 高額療養費制度

手術や入院など高額になった医療費の自己負担限度額を超えた金額分を、後日申請する事によって全国健康保険協会が払い戻してくれる制度です。申請後、払い戻しの給付まで3~4カ月程かかるので、その点は注意して下さい。

※自己負担限度額は、年収や年齢などによって変わってきます。厚生労働省のホームページなどで算出きますので参考にしてみて下さい。

もし後で申請するのではなくその場で終わらせたい方は、事前に役所で「限度額適応認定証」を発行して貰って下さい。この認定証が有れば、その場で払い戻し分を差し引いた額の支払いで済ませる事が出来るようになります。一旦全額払うよりも負担が少ないので、お勧めです。

限度額適応認定証を事前に発行しなかった為に医療費の支払いが苦しい場合は、高額療養費貸付制度を利用してみるのも1つの手段です。これは、払い戻し金額の8~9割分を「無利子」で借りる事が出来る制度です。

このあたりの社会保障の制度は、ソーシャルワーカーと相談し、ご自分に合ったものを選ぶようにして下さい。

  • 生命保険

高額療養費制度にも対象外のモノがあります。入院時の食事代、日常用品、差額ベッド代、交通費、先進医療など手術や入院費以外のものです。

これらの費用を保険を掛けておく事でカバーすると言うのも1つの手です。但し、これはあくまでも事前に掛けておく必要があるので、1つの対処策として確認しておいて下さい。

  • 一時負担金厳免制度

特定の理由で、医療費の支払いが困難になった場合の自己負担額の減額、免除、猶予して貰える制度です。

災害、失業などが理由として認定されるのでこちらも確認と手続き方法も踏まえ相談されるとよと思います。

また、無料定額診療事業と言う、低所得者、ホームレス、DV被害者などの社会保障窓口もありますので、こちらも併せて確認してみて下さい。

  • クレジットカード・金融会社を利用

最終手段として、クレジットカードや金融会社(銀行や消費者金融のカードローン)でお金を借りる事も考慮してみると良いと思います。但し、慎重に考慮し行動して下さい。医療費が払えても、クレジットカードの支払いを滞納したでは意味がありません。

返せる見込みをしっかり把握し、慎重にご利用を検討して下さい。

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