滞納・未払い・差し押さえ

年金滞納で差し押えになるって知ってた!?回避する方法とは

借金の返済ができなくなると、最終的に家や財産が差し押さえられてしまうのはみなさんよくご存じですよね。

しかし、年金の滞納でも差し押さえが行われるということは知らない人が多いのではないでしょうか。

年金というと「せっかく払っても将来もらえるかどうかも分からない」「払った分だけもらえるわけじゃないし、なんか無駄な気がする」など、とかくネガティブなイメージが強いもの。

給料などから天引きされるなら仕方ないけど、積極的には払いたくないよね、という人も多いかもしれません。

でも年金を滞納すると差し押さえ処分の対象になることは、法律ではっきり決められているのです。未納のまま放置していると、自分だけでなく家族に迷惑がかかることも!

ここでは、実は恐ろしい年金の滞納について、その実態と回避法をご紹介したいと思います。

対象者は要注意!年金差し押さえの条件は「所得300万円以上・滞納7ヶ月以上」

では実際に年金滞納で差し押さえられてしまう条件について見ていきましょう。

年金ってどのくらい滞納したら差し押さえられる?

平成15年度までは「年間所得400万円以上・未納7ヶ月以上」が対象になっていましたが、平成16年度からは3年連続で対象となる範囲が拡大されました。

現在では「所得が300万円以上あり、年金の滞納が7ヶ月以上」で差し押さえ対象になります。

年間所得 300万円以上
滞納月数 7ヶ月以上

現在、年金保険料の納付率は約60%と言われています。なんと40%もの人が支払っていないことに!

このまま年金を払わない人が増え続けると、年金のシステムそのものが破綻してしまうおそれがあります。

ですから今後も差し押さえのような強制徴収の条件が厳しくなることはあっても、緩和される可能性は低いと思われます。

年金滞納で差し押さえになった人はいる?

そもそも、借金ならともかく、年金滞納で財産差し押さえなんてあまり身近では聞かないため、実感がわかないかもしれませんね

厚生労働省・日本年金機構の調査によると、実際に差し押さえが実施された件数は下記のとおりです。

平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度
50件 744件 10,997件 13,970件

意外と多いですね。しかも年々増えています。強制徴収の対象枠が広がったことにより、今後ますます増えることも考えられます。

つまり「年金を滞納したままやり過ごすのは無理!」ということですね。差し押さえという最悪の事態に陥る前に、どうにかして回避したいものです。

年金滞納から差し押さえまで。回避するチャンスは必ずある

差し押さえは通常「年金滞納→納付督励→最終催告状→督促状→差し押さえ予告→差し押え」というステップで行われます。

つまり、年金未納により差し押さえの対象者となっても、実際に差し押さえが行われるまでにはかなり時間があるということです。この時点のなるべく早い時点で回避しましょう。

差し押さえを回避する最初のチャンスは「納付奨励」

年金を数ヶ月払わないと、催告のハガキや電話があります。場合によっては年金事務所職員の訪問を受けることもあります。これが「納付奨励」です。

この段階ではまだ、年金未納に対するペナルティなどはありません。だからといってスルーしていると次からどんどん厳しくなってきますよ!

できればこの時点で払っておきたいもの。払えない事情があるときは年金窓口に相談してみましょう。

延滞金を払いたくないなら「最終催告状」が最後のチャンス

納付奨励を無視し続けていると「最終催告状」が送付されます。これは「納付期限までに未納分を納めないと法的手段をとります」という内容のものです。

これが届いたということは・・・「経済的に年金支払い能力があるにもかかわらず払っていない」と国に判断されたということ!かなりヤバい状態です。

所得はマイナンバーなどですべて把握されていますので、ごまかしは不可能です。

ただ、この段階ではまだ延滞金は加算されません。しかしこれもスルーしてしまうと、次の段階では延滞金を払うことになるかも。必ずこの「最終催告状」のチャンスで支払っておきましょう。

「督促状」無視で年14.6%もの延滞金が!

最終催告状の期日を過ぎても年金を払わないでいると「督促状」が送られてきます。

督促状に書かれた納付期限までに支払いをしないと延滞金が徴収されます。延滞金は年に14.6%。消費者金融の金利がだいたい年に18%ですから、かなり厳しいペナルティと言えるでしょう。

しかも延滞金は督促状の期日からではなく、もともとの納付期限の翌日から加算されるため、トータルでかなりの金額になってしまうばかりか、配偶者や世帯主にも年金未納のお知らせが送られますので、周囲に年金未納がバレてしまいます。

差し押さえ予告

督促状が送られてもまだ年金を払わないと、いよいよ「差し押さえ予告」の通知が送られてきます。

文面は「下記の滞納保険料を徴収するため、あなたの財産の滞納処分(差押、公売)に着手することとなりましたので予告します。」などというもの。

ただ、この時点でもまだ差し押さえを回避できるチャンスは残っています。差し押さえ予告通知書には次のような記載があります。

「※滞納保険料を納付する意思があるときは、この文書を持参の上、下記社会保険事務所の国民年金窓口へ下記期限までに申し出てください。窓口に来ることができない場合は至急ご連絡ください。」

とにかく差し押さえを回避したければ、すぐに年金窓口に連絡しましょう。

差し押さえ

ある程度の所得や、家などの財産がある場合は差し押さえが執行されることになります。

実際には次のようなことが行われます。

  • 預貯金の口座が差し押さえられる(凍結)
  • 給料が差し押さえられる
  • 家・車などの資産が差し押さえられる

年金の場合、配偶者や世帯主も連帯納付義務を負うため、その人たちの財産も差し押さえの対象になることもあります。

年金の踏み倒しは無理

ところで借金と同じように年金にも「時効」があります。年金の時効は2年。この2年を超えると時効成立となるわけですが・・・

督促状が届いた時点で時効は中断されます。それと同時に期限もリセットされるため、督促状の納付期限から2年後が新たな時効となります。

時効成立を期待して踏み倒そうというのはまず不可能でしょう。

差し押さえを回避するには

前章でも述べたように、年金滞納状態になってもすぐに差し押さえが行われるわけではありません。

また、未納者がすべて差し押さえの対象になるわけではありません。対象となるのはあくまでも「年金を払えるのに払おうとしない人」です。

病気のため働けない、失業中である、生活が苦しいなど、どうしても払えない事情がある場合にはいろいろな救済制度があります。

年金の支払いが免除される「免除制度」

やむを得ない理由で年金を払えないが場合は、納付を「免除」してもらうことが可能です。

免除になった期間も受給資格期間に数えられるため、将来年金を受け取ることができます。

ただし、保険料を支払わずに支給を受けることになるわけですから当然、所得制限があります。また、受け取る年金額も全額納付した場合よりは少なくなります。例えば全額免除の場合、本来の支給額の2分の1になります。

免除額は、次の4種類です。

全額 (扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
4分の3 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

この所得基準以下である場合、免除を受けることができます。

ただ、本人の所得はもちろん、世帯主や配偶者の所得も対象となりますので、例えば本人の所得が基準以下でも、世帯主や配偶者の所得が基準を超えている場合は免除されません。

年金の支払いを待ってくれる「猶予制度」

「年金を払いたいが今は求職中なのでちょっと難しい」などという場合は、支払いを待ってくれる「猶予制度」が使えます。

これは保険料の支払いを待ってくれるだけなので、猶予期間中は、将来の年金額には反映されません。例えば免除期間が10年なら10年分の年金(本来の2分の1ですが)が受け取れます。一方で猶予期間が10年だった場合、その期間の年金額はゼロとなります。

ただ、猶予された保険料は、10年以内ならあとで払うこともできます。年金額を増やしたいなら追納しましょう。

申請できるのは50歳未満の人。所得基準は「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円」と全額免除の条件と同じです。

ですが免除の場合と違って、対象となるのは自分の収入だけ。配偶者や世帯主の収入が高くても関係なく申請できます。

あくまでも目安ですが、単身者なら57万円、夫婦二人なら自分の所得が92万円以下なら申請できるということですね。

分割払いで差し押さえ回避

年金を何ヶ月分も滞納していて、一度に払うのが難しい場合は、分割して支払うこともできます。まずは市役所の年金窓口などで事情を話して相談してみましょう。

差し押さえを回避するにはまず年金窓口に相談しよう

いかがでしたか?

今さらここで言うまでもないでしょうが、年金は老後の生活だけでなくケガや病気で働けなくなったとき、万が一のことがあったときに必要な資金。きちんと納付するのが基本です。ただ、事情があってどうしても払えないときもあるでしょう。

そんなときは早めに年金事務所や市区町村役場の年金課などへ相談してみましょう。「ねんきんダイヤル」では電話による相談も受け付けています。

差し押さえとは、あくまでも年金を払えるのに払わない悪質な未納者に対する処置。差し押さえを回避するためには、とにかく年金を払う意志はあるのだという誠意を見せることが大切です。

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