滞納・未払い・差し押さえ

携帯電話やスマートフォンの料金滞納と強制解約を防ぐポイントとは

携帯電話やスマートフォンといった通信端末は、かつては貴重品でしたが、今では日常生活に欠かせない必需品となりました。

今や一人一台どころか、人によっては用途別に数台持っていることもある携帯電話やスマホですが、同時に重要になるのが、料金の支払いです。

料金を払いそびれると何が起こるのか。今回は、強制解約について解説していきます。

毎月の料金を払えないとどうなる?催告から強制解約までの流れ

携帯電話の料金は基本的に毎月支払う必要があります。支払い方法は銀行の口座引き落としが最も浸透していますが、それ以外にも直接振り込みをすることもできます。

料金が銀行から引き落とせない(口座に残高が無い)場合、料金が未払いとなり、携帯電話会社に通知が行きます。ここからの手順は、各携帯電話会社共通ですが、その期間は業者ごとに微妙に異なります。

未払い状態のまま、引き落とし日から1週間から2週間程度経過すると、「督促状」という書面が自宅に届きます。内容は支払いの催促で、指定された期日までに未納料金を支払うようにという命令が記載されています。

未納状態になると、携帯電話の利用が停止されます。利用停止されるのは、滞納5日前後が多く、携帯を日常的に使っている場合、多くの人が何とか支払いを済ませます。

督促状を無視していると、携帯電話業者から直接電話がかかってきて、「~月~日までに支払いが行われなければ強制解約となります」と宣告されます。

これが、最終ラインであり、この期日を一日でも過ぎれば、その携帯電話は二度と使えなくなります。番号もメールアドレスも使えなくなるので、仕事やプライベートに多大な影響が出ます。

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強制解約は携帯が使えなくなるだけでなく罰金もある!

強制解約まで事態が進んでしまうと、携帯電話が使えなくなるだけでなく、延滞金という罰金のようなものまで支払わなくてはいけません。別名遅延損害金と言われるこれは、滞納者に対して支払い義務がある懲罰金であり、未納料金を元金として、年利計算で約14%程度が課されます。

普段携帯電話料金が高額であればあるほど、この延滞金の金額も大きくなるので、金銭的な観点からでも、よく使う人ほど滞納には気を付ける必要があるでしょう。

延滞金が発生するのは、最初の規定引き落とし日からではなく、再振替日や期日から一定期間が経過してからなので、例えば、ちょっと支払いが遅れたからと言って、延滞金が発生するというわけではないと知っておきましょう。

また、延滞利息の増え方は複利計算です。長期間支払いをしないと、最初は大したことが無い金額でも、最終的には思ったよりも多くの額になることがあるので、注意が必要です。

強制解約を受けると再度契約するときにペナルティはあるの?

強制解約を受けた後は、携帯が使えなくなっています。当然、新しい携帯を調達する必要がありますが、その際のペナルティは何かあるのかという点も気になることでしょう。

結論から言えば、強制解約をしたからと言って、その通信業者で二度と契約できなくなるといったようなペナルティは存在しません。しかし、滞納した料金をすべて支払わなくては新たに契約することは出来なくなります。これは、滞納したキャリアだけでなく、全てのキャリアに共通しています。

さらに、それとは別に、「強制解約をした」という事実そのものが問題になります。

金融用語で「延滞」という事実は、個人の信用価値を極端に低下させ、以後5年間にわたって厳しい制約を受けることになります。

この後詳しく説明しますが、簡単に言えば、強制解約を受けた後には、分割払いやクレジットカードの契約や利用、ローン全般など、個人の信用が契約の鍵となる取引が一切できなくなります。

このことから、強制解約自体のデメリットは、「使用していた端末が使用不可になる」、「延滞金(延滞利息)が発生する」の2点だけですが、強制解約されたという事実がもたらすデメリットが甚大なのです。

強制解約になったことで発生するデメリットと信用情報の瑕疵とは

金融取引や契約において「延滞」という経歴を持つことの意味は、「契約履行に著しい問題がある」ということと同義です。身も蓋もない乱暴な言い方をすれば、「約束した金をまともに払わない実績があります」というプラカードを首から下げて金融取引をしているようなものです。

そんな相手に長期間の金融契約をしたいと思う金融業者はいないでしょう。強制解約をされるということは、このレッテルを張られるということなのです。ブラックリストに載るともいわれるこの状態ですが、具体的にどんな制限が付くのかをまとめておきます。

ブラックリスト(通称金融ブラック)の状態では、まず大きく分けて3つの問題があります。ローンの契約不可、クレジットカードの利用不可、貸金業者との契約不可の3つです。簡単に言えば、あらゆるローンが組めず、あらゆるクレジットカードが使えず作れず、あらゆる銀行や消費者金融からお金を借りられなくなります。従って、買い物全般では手持ちの現金一括払いしかできなくなります。

信用情報の瑕疵と言われるこの状態は、発生する期間が決まっており、その間は何をしてもこの情報が消えることは無い代わりに、この期間を過ぎれば、きれいになくなり、過去にこの事実が有ったことも分からなくなります。

金融ブラックで何が一番つらいかと言えば、大きな買い物がほとんどできなくなることでしょう。何しろ、あらゆるローン分割払いが出来ないのです。家や車を一括で購入するのは極めて困難であるし、ちょっとした電化製品の買い物なども、全て一括でしか支払えなくなります。

まとまった現金が必要だからと言ってカードローンなどを利用しようとしても、審査でほぼ確実に落とされます。つまり、常に自分で多額の現金を持ち歩く羽目になります。安全面でも手間の面でも意外と鬱陶しいデメリットになります。

携帯で強制解約になりそうなときに取るべき行動を知っておこう

さて、強制解約になるといろいろと面倒なことになることが分かってもらえたところで、これを回避するにはどうすべきかについて解説していきましょう。

そうは言っても、やるべきことの選択肢はそれほど多くありません。携帯やスマートフォンの強制解約までの期間はキャリアごとに決まっているので、それを参考にして、支払いを延ばせる猶予のデッドラインを把握しておくことは必須です。

どうしても支払いが間に合わないような場合、「契約中断」を申し込むことで、一時的に形態の利用を停止させる代わりに、強制解約を防ぐ方法が非常に有効です。

というより、この手段より効果的に強制解約を回避する方法は無いといってもいいほどなので、必ず覚えておきましょう。

強制解約をされた後に取るべき手段とは

まず前提として、強制解約を受けた後にこれまで未納だった料金と延滞利息を返済するつもりがあるのかないのかで、取るべき選択が変わってきます。

支払うつもりがあるなら簡単です。働いているなら給料なりアルバイトするなり、親族から借りるなりして速やかに返済してしまいましょう。延滞利息は返済が遅れるほど膨れ上がるので、返せるうちにさっさと返すのが最善です。

問題なのは返済するつもりが無い、または返済することが出来ない場合で、こちらは債務整理が主な選択肢になります。

債務整理とは、現在の負債を合法的に減らす方法で、税理士などの依頼をして、主に3つの方法(任意整理、個人再生、自己破産)の内から現在の状況に最も適した方法で、借金を減らすのです。例外は自己破産で、発行すると全ての債務返済義務が免除されます。

ですが、「貸金業者のからの借金が増えすぎた」とか「連帯保証人の債務が返せない」といった事態とは異なり、携帯電話の未納で債務整理をするほどのケースは稀です。

なぜなら、端末料金の未納額は大半が数万円から数十万円程度で、7桁を超える債務にはならないため、充分に独力で返済出来ることが多いためです。携帯の未納料金で債務整理のため税理士と会計士に依頼したら、その依頼料の方が高かったなんて笑い話になりかねません。

債務整理をするケースのほとんどは、他に多額の借金があって、そのために結果的に携帯電話の料金も支払えなくなったというパターンなのです。

携帯の強制解約よりもその後の差し押さえの方が怖い?

強制解約は、言ってしまえば携帯端末が使えなくなるだけです。もともと大して携帯を使わないような人は、解約されて使えなくなっても「あっそう」ぐらいにしか感じないことがあります。

実際、強制解約されても何ら気にすることなく、日常生活を送っている人もいます。ローンを契約することがもうなく、大きな買い物もしない、お金をどこからか借りることもないという人は、金融ブラックのデメリットをほとんど無視できます。信用情報に傷がついても「だからどうした」と言わんばかりの生活が可能なのです。

問題はここからで、滞納した未納の料金は、差し押さえ手段を可能にするという点です。

滞納して強制解約を受けて電話が利用できなくなり、金融取引で著しい制限を受けてもケロッとしている者でも、強制執行(差し押さえ)にはさすがに慌てます。

何しろ、滞納を無視しているケースでも、資産が何もないということは極めて稀であり、大抵は払えるのに払わずにいて、デメリットが気にならない状態だからです。

差し押さえになれば、まず銀行口座が凍結され、次に給与差し押さえになり、それを回避しても債権の売却をされるからです。自宅に踏み込まれるリスクもあり、強制解約よりもその後の差し押さえを恐れる者の方が多いのです。

いずれにしても、強制解約をされていいことはありません。携帯料金を支払えない場合は、契約中断によって資金を用意する猶予を作るか、いっそのこと早い段階で契約自体を自分から解約してしまう方がトラブルを避けられるでしょう。

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