滞納・未払い・差し押さえ

共益費の滞納が引き起こす5つのデメリットとたった2つの解決策!

マンションやアパートなどの、管理運営を行うにあたって必要なのが共益費です。この共益費がなければ、電気代や水道料金、共有部分の清掃などを賄う術がなくなってしまいます。

共益費は法的に明確な取り決めがありません。故に、相場などもバラバラで良く分からない事が多い物です。しかし、私たちが気持ちよく生活する上で共益費は大変重要な働きをします。

また、最近ではその共益費の滞納が問題になっています。実は滞納を長期化させると、大きなペナルティを受け場合によっては生活が破綻してしまうかもしれません。共益費の重要性と危険性について、お話ししていきたいと思います。

共益費とは何か?働きと様々な用途を理解する

共益費は、マンションなどの様々な部分で利用されています。しかし生活する上で大切な基盤を支えているにもかかわらず、どのような働きをしているのかあまり理解されていないようです。

また住む場所によって共益費の値段が変わり、場合によってはその金額が大きな負担となり滞納問題に発展しているケースもあります。まずは生活する上で必要不可欠な共益費の働きと、共益費の相場についてお話ししていきたいと思います。

共益費が運営の全てを支えている!8つの働きを知る

そもそも共益費とは、マンションやアパートの共有部分の維持管理、そして運営をする費用として存在しています。それを、住民全員で負担している訳です。その為、共益費の滞納などがあるとその維持管理に支障が出てしまいます。

共益費は、下記のようにマンション運営にとって必要不可欠な費用です。

1.エレベーターや照明などの電気代
2.エントランスなど共有部分の清掃代
3.水場の水道代
4.駐輪場・駐車場管理費
5.ゴミ置き場の清掃・管理代
6.浄化槽の保守点検代
7.照明や防犯灯などの交換料
8.警防費

また中には、自治会などの運営費として利用する場合もあるようです。

自営消防団や防災訓練、集会場の運営など居住環境の維持や改善にも利用されています。

このように、共益費は様々な管理運営を賄っています。

故に共益費の滞納問題は、個人的な問題というよりも住民全てが迷惑を被る全体の問題に発展するケースが多い訳です。

そのため共益費の滞納は、場合よっては法的なペナルティを受ける事にもなります。

共益費も色々!支払先と相場の関係性を知る

賃貸マンションや分譲マンションなどの共益費を比べると、値段が違っていたりします。また、地域やマンションの規模によっても変わったりします。一体、共益費はどのように値段を決めているのでしょうか?

実は、細かな規定によって算出されている訳ではありません。大家さんや管理会社などが、状況や維持に掛かる費用を予測して決定している事がほとんどです。故に、統一性があまり無いと感じたりする訳です。

※余談ではありますが、共有部分の清掃や照明などが切れていたりしているのに共益費をしっかり取っているマンションなどもあります。入居の際などは、エントランスなどを注意深く確認し後悔が無いように内見をしっかりする必要があったりします。

統一性があまり無い共益費ですが、一般的な相場と言うものは下記のようにまとめる事が出来ます。

支払先 相場
大家さん(賃貸物件) 賃料の5~10%程
自治会(公営) 収入によって変化する
管理組合(分譲マンション) 面積によって算出される

<支払いが大家さんや管理会社の場合>
大家さんや管理会社などの扱う、一般的な賃貸マンションの共益費は賃料の5~10%が相場のようです。

これを大きく下回っているなら、運営に難があるかもしれません。逆に大きく上回っている場合は、多くとり過ぎているかもしれないので注意が必要です。

<支払いが自治会の場合>
県などが運営する公営住宅を利用する場合、共益費は収入によって変わります。住宅供給公社が出すしおりなどを、確認する必要があります。人によっては、支払っている家賃の20%程の金額になる方もいるようです。

<支払いが管理組合の場合>
分譲マンションなどを購入された方は、区分所有法19条によってご自身の購入している物件の面積に応じて算出される規定になっています。これにより、同じマンションに居ながら共益費が違うと言うケースも出てきたりします。

このように共益費は人それぞれ、どこに住むか、賃貸か公営住宅か分譲かなどで大きく違ってきます。もし相場より多く払っている場合は、支払いが苦しくなり滞納問題に発展するかもしれませんのでご注意下さい。また適正ならば、マンションの必要経費だと納得するようにしましょう。

共益費を滞納するとどうなるの?法的制裁の可能性を考慮する

「今月はクレジットカードの支払があるから・・・」「1度くらい滞納しても、次回まとめて払うから・・・」など様々な理由があるでしょうが、たった一度の滞納が長期化の第一歩になる可能性があります。

共益費を滞納してしまう方は、大きく分けて4つのタイプに分かれます。それぞれ滞納費の回収で違った対応をされますので、ご紹介したいと思います。滞納した場合、どのように共益費の回収が行われるのかイメージしやすいので参考にしてみて下さい。

また、滞納を1カ月2カ月と重ねた場合、どういったデメリットがあるのかも話していきたいと思います。

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4つのタイプに分かれる!共益費を滞納してしまう人達

滞納してしまう理由には、口座の残高不足、経済的な困窮、失業、行方不明、不満や何かしらの意図で支払いを拒否するなど多岐に渡ります。

滞納の原因はそれぞれですが、それよりもどのようなタイプなのか回収する方は気にしています。

タイプ①:支払日を忘れてしまっている人
タイプ②:支払う意志はあるが、経済的に払えない人
タイプ③:支払い能力はあるが、払う意志が無い人
タイプ④:お金も払う意志も無い人

滞納分を回収する方は、まず支払いの督促をします。その際、忘れているのか、払う意志があるのか、払う能力があるのか、または払う意思も能力もないのか確認します。

タイプ①への対応 注意やお願いをするだけで完了
タイプ②への対応 相談に乗って、解決策を一緒に考える
タイプ③への対応 説得を行い、ダメなら法的手続きに移行する
タイプ④への対応 継続的な督促から、時期を見て法的手続きへ移行する

ここで重要なのは滞納はあまり問題ではないと言う点と、共益費が払えない場合はまず払う意志を伝えると言う点です。

タイプ③とタイプ④の対応である、法的手続きだけは回避するよう支払いの意思だけは伝えるようにしておきましょう。

デメリットは5つある!共益費を滞納する恐怖

滞納のデメリットは、主に5つ挙げられます。

  • 遅延損害金

上限14.6%の年利で、罰金が付きます。例えば10万円の滞納があれば、1200円の遅延損害金が付きます。20万なら2400円、30万なら3600円と滞納額に合わせて大きくなります。

滞納額と遅延損害金、さらにその月の共益費をまとめて支払うとなると、かなり大変だと思います。

  • ライフラインの停止する可能性

共益費は、電気代、水道代、浄化槽の保守点検代などを賄っています。滞納の影響で、これらの利用が滞るかもしれません。そうなれば、個人的にも住民全体にも悪影響となる訳です。

  • 他の住民とのトラブル

共益費の滞納が、周りにバレる事は通常ありません。しかし長期化すると、噂や訪問、回覧板の文書などで周知となる可能性も否定できません。そうなれば、払っている方からの不満を浴びる事になりますし、それをきっかけに「自分も払わない」と言い出す方も出るかも知れません。

このように、滞納が周りを巻き込み大きな問題へ発展する可能性がある訳です。

  • 債務不履行となり契約解除

賃貸借契約や区分所有法などで、共有部分に掛かる費用は住民から徴収する事になっています。つまり、支払わないと債務不履行となり賃貸契約の場合は、契約の解除を言い渡される可能性があります。そうなれば、住居を出て行かなくてはいけないかもしれません。

共益費の滞納は、住む場所を失う可能性がある訳です。

  • 法的手続きを受ける

滞納が続けば、払う意志がないとして対話をする機会を失ってしまいます。こうなると払っている人との公平性から、滞納分の回収を早急に片づける為に法的手段を検討し始めます。

こうなってしまうと、給与や口座の差し押さえなどの最悪な処罰を受けるかもしれません。滞納は出来るだけ早く対応しなくてはいけない訳です。

共益費の滞納から差し押さえまでは、最短で半年程度!

それでは実際に滞納してから、どれくらいの期間で差し押さえになるのか全体の流れをお話ししていきたいと思います。

意外に短い期間で差し押さえられてしまう事に、恐ろしさを感じると思います。

財産の差し押さえ!支払督促は滞納の長期化が招く最悪の結果

共益費を滞納してから、下記のような流れで裁判所から支払い命令が下ります。

◆1.共益費の滞納

↓(翌日~1週間程度で連絡が来ます)

◆2.支払いの催促

↓(2~3カ月程度の期間、何度も催促が行われます)

◆3.内容証明が届く

↓(内容証明が届いてから、6カ月以内に支払督促が届きます)

◆4.支払督促が届く

↓(滞納者から2週間、異議申し立てが無ければ判決が出る)

◆5.仮執行宣言付支払督促が届く
※最短で滞納から半年ほどの期間で、仮執行宣言付支払督促が自宅に届きます

通常、共益費の滞納者へは支払督促が送られてきます。

<支払督促>
裁判所から、支払いを命じる督促状を送付して貰えるサービスです。通常の裁判ではなく、書面のみで判決まで行くことが出来ます。また通常の訴訟より、迅速で安価となっています。債務者(滞納者)から異議があった場合は、通常の訴訟へと移ります。

支払督促には、「〇日までに、滞納分と遅延損害金○○円を一括で支払って下さい」と書かれています。

もし支払督促が届いてから、2週間異議を唱えないと一括で清算する事になります。

異議とは「分納で払います」「いついつまで待ってほしい」などの、要望の事です。一括で支払う事が困難な場合は、支払督促に同封されている「督促異議申立書」で裁判所に異議を唱えるようにして下さい。

仮執行宣言だけでは差し押さえはない!強制執行までの流れ

仮執行宣言付支払督促を受取ったとしても、まだ強制執行である差し押さえはされません。滞納金の請求に従って、お金さえ支払えば解決します。もしこの段階でも滞納金を支払わないと、次の段階へ進みます。

STEP1.財務調査の為、勤務先などに連絡される可能性がある
STEP2.給与や口座のどちらかの差し押さえを、裁判所に申立てられる

裁判所に差し押さえの申立てをされると、給与の額が4分の3になったり口座から滞納分が差し押さえられたりします。ここまで来ないよう、出来るだけ早い段階で共益費の滞納分を支払うようにして下さい。

滞納額の時効を待っても意味はない!たった2つの解決方法

実は、共益費の滞納分には時効が存在します。それを知った方が利用しようと、より支払わないようにします。しかし、それはあまり意味がないので止めるようにして下さい。

滞納トラブルは時効を待つのではなく、たった2つの解決方法を行う事を心掛けるようにして下さい。

共益費の支払時効は5年!しかし支払督促の判決でさらに10年

確かに、共益費の滞納分は5年で支払い義務が失効します。ただ上記でお話ししているように、滞納が長期化すると支払督促が送られてきます。この段階で、時効期間が一旦リセットされます。

これを、時効の中断と言います。催告や内容証明などの送付後、6カ月以内に支払督促などの請求をするとリセットされる事が民法第147条に記載されています。

また支払督促に異議がなく支払いの判決が出れば、さらに時効が10年加算されます。つまり、時効などはあってないようなものなので考慮に値しない訳です。

早期相談こそ解決の第一歩!共益費の滞納トラブル

共益費の滞納をもしする可能性がある、もしくはしてしまったら、早急に大家さん、自治会、管理組合などの支払いを管理している方へ連絡と相談をして下さい。

全ては、支払いの意思がある事を早急に伝える事から始めなくてはいけません。滞納には、どのような裏技もありません。「早急な連絡・相談」と「一括か分納による支払い」しか道はないと思って下さい。

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