滞納・未払い・差し押さえ

都民税は高いの?滞納したときのリスクと納付が困難な時の対処法

田舎から上京してきて驚くのは、東京のモノやサービスの値段の高さ。これから慣れない都会での生活が始まる人の不安は、大きなものでしょう。

さらに、6月からは「住民税」の納付が始まってきます。東京では「都民税」や「特別区民税・市町村民税」といわれるものです。

「物価が高い東京では、きっと都民税も高いのでは?」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、日本にいる限り住民税から離れることはできません。高かろうが安かろうが、滞納も許されません。

ここでは、都民税と道府県民税についての違いと、滞納した場合にどのようなことになってしまうかを簡単に解説していきます。

特別徴収ならば納め忘れはない

都民税や道府県民税には特別徴収と普通徴収の2種類があります。

特別徴収・・・給与支払先(勤め先)が納税対象者(従業員)に代わって、給与から課税額を天引きして納付する方法。普通徴収・・・個人事業主や、勤め先を退職した無職の人が、自治体から送付されてくる納付書などを使って、個人的に納付する方法

特別徴収の場合は、納付のし忘れはありません。

普通徴収で納付する方は、自分で納付をしに行かなければならないため、納付のし忘れのリスクがあります。

都民税を滞納した場合のリスクは大き過ぎる

都民税の納付は東京都民であれば原則として、納税の義務があります。では、納税対象者にもかかわらず、都民税を滞納した場合はどのようになるのでしょうか。

1 督促状の送付
2 勧告書の送付・電話や訪問による勧告
3 財産調査
4 差し押さえ
5 換価

まずは、督促状によって、都民税が納められていない旨を告げられます。普通徴収の場合は基本的に年4回(6月末・8月末・10月末・翌年1月末)に分けて納付をします。

都民税の場合は、納付期限から概ね20以内に督促状が発送されるようです。

督促状が送られてきたのにもかかわらず、それに従わなかった場合、今度は勧告書の送付や電話や訪問による勧告が行われます。ここは、区または市町村によって方法は異なってくるでしょう。

ですが、督促状よりも重みのある内容であることに変わりはありません。

勧告書で納付を促されてもなお、納付しない場合は、納税の意志がないと判断されます。都民税は、都民の行政サービスのために使われる税金です。納税の意志がない場合は、まず対象者の財産を徹底的に調べられてしまいます。

財産調査の後に待っているのが、「差し押さえ」です。

給与所得の方は、勤め先に都民税の未納が分かってしまいますし、給与の振り込みが止められてしまいます。銀行口座が凍結されるので、給与、預金をおろすことができません。

個人事業主であっても、パソコンやスマホや店舗などといった生活に直結する可能性のある財産を差し押さえられてしまいます。

差し押さえまでいくと、生活に大きな支障が出ることが簡単に想像できると思います。

最後の「換価」とは、差し押さえによって売却したお金で延滞分を納付するということです。売却された財産は二度と戻っては来ません。

悪質な滞納に関する処置の流れは、東京都と他の都道府県では概ね変わりません。

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都民税の延滞は延滞税というものが付く

都民税の滞納には延滞税という延滞金が付きます。

これは各都道府県でも変わりはありません。納付期限から2ヶ月以内の利率と、それ以降ではかなり利率が変わってきます。

無駄に納税することがないように、納付期限内に納税することが大切です。

納期期限から2カ月以内 納期期限から2カ月以降
26.1.1~26.12.31 2.9% 9.2%
27.1.1~28.12.31 2.8% 9.1%
28.1.1~28.12.31 2.8% 9.1%
29.1.1~29.12.31 2.7% 9.1%
30.1.1~30.12.31 2.6% 8.9%

都民税が決して高いわけではない

冒頭でも述べたように、都民税というと「高い」イメージが付いて回ります。はたして都民税は他の道府県に比べて高いのでしょうか?

まず、都民税は住民税の1つです。

都民税+特別区民税(23区の場合)または市町村民税=住民税

都民税だけでなく、道府県民税や市町村民税は前年の所得がベースとなっています。前年の所得によって割り当てられる金額を「所得割」といいます。したがって、前年所得が高ければ都民税も高くなるし、低ければ安くなります。

都民税:所得の4%
特別区民税および市町村民税:所得の6%

さらに定額で割り当てられる金額があります。これを「均等割」といいます。

この2つを併せて納付するのが住民税です。以下の表は、代表的な都道府県と市区町村の所得割のパーセンテージと、均等割の金額を載せました。

都道府県 市区町村 都道府県均等割 市区町村均等割 都道府県所得割 市区町村所得割
北海道 夕張市 1,500円 4,000円 4.0% 6.5%
宮城県 2,700円 3,500円 4.0% 6.0%
東京都 1,500円 3,500円 4.0% 6.0%
神奈川県 横浜市 1,800円 4,400円 4.025% 6.0%
愛知県 名古屋市 2,000円 3,300円 4.0% 5.7%

どうでしょうか。

決して東京都の住民税が高いわけではないことが分かると思います。

納付が困難な場合は自治体に必ず相談する

日本に住んでいる以上、住民税の納付は避けて通ることはできません。しかし、状況によっては困難な場合があるでしょう。

その場合は、必ず各自治体に相談しましょう。困難な理由を必ず伝えることが大切です。

収入によって困難な場合は以下の書類を持参していくことをお薦めします。

  • 直近2~3ヶ月分の給与証明書
  • 源泉徴収票
  • 家賃が明記されている賃貸契約書
  • 運転免許証 など

各自治体は総合的に判断し、分割納付や減免などの措置を取ってくれる可能性があります。ただし、分割納付の場合は、12回の分割が原則となりますので、滞納額によっては高額になってしまうこともあります。

また、分割納付の場合は一回でも滞納した場合は、分割納付自体が無効になる可能性があります。

分割納付期間中に、大きな買い物などで納付ができなくなってしまうというようなことは絶対に避けましょう。

住民税は原則として住民が必ず納付するものです。滞納することに良いことは1つもありません。少しずつ確実に納税しましょう。

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