滞納・未払い・差し押さえ

自動車保険料の滞納を回避する方法。事故で補償が受け取れない!?

「収入が減って生活費もやっとなのに…」「急な出費でお金がない」など、経済的な不安を抱えて日々生活されている方にとって、自動車保険料は大きな負担となってしまう事でしょう。

ただ、自動車保険料の滞納が増える中、実際に滞納した時のリスクをもう1度見直す必要があるのではないでしょうか?滞納が続けば、自動車保険を強制解除されてしまいます。しかし、これは大変危険な状態です。

自動車保険が無い状態がいかに危険なのか、そしてそれをどう回避していくのかお話ししていきたいと思います。

自動車保険料の滞納トラブル!保障と補償のない悲劇

保険はとても大切です。自動車事故は日々起こっていますが、実際に自分の身に起きないとなぜか根拠のない自信が、自動車保険料の滞納へと向かわせているのかもしれません。

しかし、ちょっとした不注意や操作ミスなどで、簡単に自動車事故は起きてしまいます。そして、保険が失効していた為に本当に取り返しのつかない状態に陥った方もいらっしゃいます。

自動車事故の怖さと、滞納の引き起こすデメリットを確認しながら、自動車保険料を支払う意識を高めて行けるようお話ししていきます。

賠償金額5億2853万!自動車保険料を滞納した時の末路

自動車保険に入らなくても、運転は出来ます。「今まで事故を起こしたことが無い!俺は大丈夫」などと言う考えが、時に恐ろしい結果を引き起こします。

これから見て頂くのは、実際に自動車事故の裁判で認定された損害額のデータです。過去数十年の内、特に高額な案件を確認してみましょう。

判決日 職業・性別・年齢・態様 認定損害額
H23年11月1日 開業医:男性41歳:死亡 5億2853万円
H28年3月30日 公務員:男性30歳:後遺症 4億5381万円
H28年12月6日 教諭:女性58歳:後遺症 4億3961万円

※損害保険料率算出機構「自動車保険の概況」より(平成27年度のデータです)
※認定損害額とは裁判所より認定された被害者への損害額です

認定されている金額が、トンデモナイという事が分かると思います。認定損害額は年齢が若い、特殊な職業であったなどで変化はありますが、本来健全に生きた場合得られただろうと言う試算のもとだされた金額です。

これを逸失利益と言いますが、もし自動車保険料を滞納し保険が失効もしくは解約された状態だった場合、この認定損害額を加害者がなんの補償も無く支払っていかなくてはいけないのです。

故に、自動車保険の加入は絶対にしておかなくてはいけないですし、さらに対人賠償保障は「無制限」にする事が必須になって来る訳です。

滞納のデメリットは6つある!安心を自動車保険が保障している

自動車保険料の滞納が長期に渡ると、主なデメリットが5つ出てきます。1つひとつ見ていきましょう。

  • ①更新が出来ない可能性

1カ月程の滞納なら問題はないですが、2カ月、3カ月となるとかなり厳しい状況です。

一般的に自動車保険は、滞納3カ月で強制解約をされると言われています。

滞納が長期に渡り、ギリギリ3カ月越さなかったとしても、次回の保険の更新が出来ないケースも保険会社によってはあるようです。また滞納をし過ぎると、これまでは分割での支払いがOKだったのに、「年払いのみ」の支払いしか受け付けなくなる保険会社もあるようです。

※自動車保険料の支払方法は、一般的に「一括」か「分割」か選ぶ事が出来ます。

各保険会社によって対応は変わりますが、長期滞納は更新が出来なかったり支払方法の選択を狭めてしまう場合がある訳です。

  • ②信用情報期間への登録

自動車保険料は、金融商品です。つまり、支払いが滞納するとクレジットカードなどと同じように信用情報に傷が付きます。

3カ月の滞納で、信用情報機関という個人の債務情報や債務履歴を管理する第三者機関に「事故」扱いとして登録されます。これはいわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。

この状態だと、新規の金融商品の審査にほぼ通る頃がありません。クレジットカードやカードローン、車のローンなどもほぼ審査に通らなくなってしまいます。

また、新規の自動車保険にも入る事が難しくなると思います。自動車保険料の滞納は、大きな意味で影響力が強い事を覚えておかなくてはいけません。

  • ③強制解約

自動車保険料を滞納したら、即契約が切られる訳ではありません。一般的には、滞納が3カ月になると強制解約されると言われています。また、強制解約の前に滞納が2カ月になると自動車保険の失効という処置があるようです。

これは、保険会社によってまちまちなのでご自身の保険会社に確認してみて下さい。滞納日から失効、もしくは強制解約の前に事故を起こした場合、補償は出ます。

但し、滞納が続き最終的に強制解約になると、滞納日までさかのぼって保険の効力がなくなりますので注意が必要です。

例えば、5月1日が支払日だとすると、5月2日から滞納開始となります。次の6月1日に2カ月分の滞納金を含んだ支払いになるのですが、もし5月20日に事故を起こすとどうなるのでしょうか?

この段階では、補償は問題なくされます。しかし、6月1日、7月1日と3カ月滞納が続いた場合は強制解約となり、滞納日までさかのぼって保険の効力がなくなるので5月20日の事故の補償は無くなってしまいます。

3カ月の滞納と強制解約は、常に意識しておかなくてはいけない訳です。

  • ④等級が引き継げない

保険には、事故歴に応じた等級制度が導入されています。初めは6級から始まり、1年間、保険を使った事故が無ければ次年度に等級が1つ上がる仕組みです。6級の次は7級になります。

等級が上がれば、保険料が安くなります。逆に、等級が5、4、3と低くなれば保険料高くなります。もし自動車保険料の滞納で、強制解約されるとこの等級がリセットされてしまいます。

なので、新たに自動車保険を契約する時に、最初の6級からスタートする事になります。すると、保険料も上がってしまうので大きな痛手となってしまいます。

  • ⑤補償が受けられない

滞納が続けば、強制解約となります。それは、補償が受けられない事を意味しています。最初にもお話ししていますが、自動車の事故は人身、物損と対象物があると途方もない金額が賠償金として圧し掛かってきます。

ある意味、人生が終わると言っても過言ではありません。自動車保険料の滞納は、絶対に3カ月してはいけません。滞納は3カ月以内を常に意識するようにして下さい。

自賠責保険と任意保険の違い!補償の範囲と限定を知る

保険には自賠責保険と任意保険があります。どちらも大切な保険ですが、自賠責は強制的にはいる保険なのですが補償の範囲が狭い欠点を持っています。

また任意保険は、範囲は広いのですがプランによっては高額になったりするのでどちらも一長一短です。ただ、この2つをしっかり理解する事で、自動車保険を有効に利用する事が出来ます。2つの特徴についてお話ししていきます。

自賠責は強制保険!最低限をカバーする補償

自賠責保険は、自動車損害賠償保障法13条に基づく自動車損害賠償保障法施行令2条によって加入が義務付けられています。

自賠責保険は強制保険と言われ、加入しないと1年以下の懲役または50万以下の罰金と言う重い罰則があったりします。

交通事故には3つの慰謝料があります。

1.入院慰謝料(怪我や治療での入院や通院に支払われる)
2.後遺障害慰謝料(完治せず後遺症が残った場合に支払われる)
3.死亡慰謝料(死亡事故により、亡くなった本人と遺族に支払われる)

自賠責保険は、自賠責保険基準によって最低限の補償を行ってくれます。

<自賠責基準>
1.入院慰謝料(怪我や治療での入院や通院の費用として最大120万円)
2.後遺障害慰謝料(完治せず後遺症が残った場合、最大4000万円)
3.死亡慰謝料(死亡事故により亡くなった本人と遺族に対して、最大3000万円)

自賠責は、最低限の補償をしてくれます。但し、対象となる範囲が決まっていたり、金額が限定されていたりと、最初に見て頂いた認定損害金などを考慮すると全くカバーしきれない保険であると言える訳です。

故に、任意保険の意味が大きな影響を持ってくるのです。

自動車保険料の滞納が、7つの任意保険補償を喪失させる

自賠責保険でカバーしきれない部分を、任意保険で補う。これが、最も大切な考え方ではないでしょうか。幅広い、任意保険の対象範囲を確認していきましょう。

①対人賠償保険
②対物賠償保険
③人身傷害保険
④搭乗者傷害保険
⑤車両保険
⑥自損事故保険
⑦無保険者障害保険

①と②の対人・対物賠償補償は、相手側に掛かっている保険です。もし怪我や障害などを負わせた場合、もしくは物損事故などの場合、補償してくれる保険です。どちらも、高額になりやすいものなので、自賠責だけではカバーできない補償です。

③と④の人身・搭乗者傷害保険は、本人や社内の搭乗者に対して掛かって来る保険です。車は、家族や友人などを乗せて走ります。故に、本人とそれ以外の人達を補償してくれる保険です。自賠責保険には無い対象範囲なので、任意保険でカバーするしかありません。

⑤と⑥の車両・自損事故保険は、車両や電柱やガードレールなどにぶつけて、自身に損害があった時に補償が受けられる保険です。

⑦の無保険者障害保険は、相手が自賠責保険のみで任意保険が使えない場合などに補償が受けられる保険です。①~⑦の補償は、自賠責には無いものばかりです。だからこそ、幅広い任意保険の加入によって事故に備える事は必然だと言える訳です。

自動車保険料を滞納するとどうなる?強制解約までを把握する

自動車保険料の滞納から強制解約までは、どのような事が起こるのか?一連の流れを、まとめてみる事で、どのタイミングが本当にマズイのか把握できると思います。もし滞納をしたら、参考にしてみて下さい。

自動車保険料の滞納は、些細なミスから起こってしまう!

まずは、見落としがちな支払い方法のミスについてお話しします。自動車保険料の支払い方法は3つあります。

  • 口座振替
  • クレジットカード
  • コンビニ支払い

口座振替とクレジットカードは、自動で毎月引き落としされるので、支払いを忘れる事がない便利な方法です。

ただ問題なのが自動で引き落としが掛かる為、口座の中にお金が無かったりクレジットカードが何かしらの理由で使用できなくなったりしていて、気付かないうちに滞納していると言う事がある点です。

実際、保険会社から督促状が届いて驚いたと言う事もあるようです。自動引き落としなので、見落としやすいですが口座にお金があるのか、クレジットカードが利用できるのかは定期的に確認しておくようにして下さい。

コンビニ支払いは、郵送されていた納付書によって行います。郵送されて来る為、受け取った時は覚えているのですが、ついつい先延ばしにして支払期日を忘れてしまうと言う事があります。注意しましょう。

支払い方法は色々選べるので便利な反面、その特徴を理解していないと些細なミスで自動車保険料の滞納が始まってしまいます。

このような事で滞納されるのは勿体ないので、些細なミスなので気を付けて下さい。

滞納から強制解約までの7つのステップ!

それでは、強制解約という最悪なシナリオを見ていきましょう。

◆①滞納(支払日翌日から開始)

◆②督促状が届く(次回支払日に2カ月分支払う指示)

◆③2カ月目の支払日

◆④自動車保険の失効

◆⑤督促状(次回支払日に、3カ月分一括支払いの指示)

◆⑥3カ月目の支払日

◆⑦契約強制解約

これは、あくまでも一般的な流れです。保険会社によっては、若干違うところはあるでしょうが、概ねこのように進んでいくと考えて頂いて問題ないと思います。

上記でもお話ししていますが、3カ月と言うのが契約解約の1つの期限です。まずは自動車保険料の滞納から、数日後に督促状が届きます。督促状は、支払金額と支払期日のお知らせです。

基本的には、滞納分は次回の支払いと併せるように指示されると思います。その2カ月目の支払日も滞納してしまうと、保険会社によっては強制解約の一歩手前の自動車保険の失効をする場合があります。失効後は事故を起こすと、補償されないので注意が必要です。

そして、3カ月目の支払日を越えると、契約の強制解除通知が届く事になると思います。これが、滞納から強制解除までの流れです。最悪でも、2カ月目の支払いで滞納額の完済を目指すようにしなくてはいけません。

相談と解決策を理解する!滞納トラブルを上手く乗り切る方法

自動車保険料の滞納が事前に分かった場合、もしくは滞納してしまった場合、最初に取るべき行動は決まっています。「滞納してしまうかもしれない」「滞納してしまった、どうしよう」と思った時、まずは保険会社へ相談をしましょう。

また、滞納トラブルの解決方法はたった1つです。保険会社への相談と滞納の解決方法ついて、お話ししていきます。

事前の相談こそ、最も正しい対応策!

滞納したら、保険会社へまずは連絡して下さい。長期滞納者の方に多く見られる傾向に、頑なに連絡を避ける事が挙げられます。支払えない状況で苦しいのは分かりますが、放置するとそれだけ苦しさは増えるだけなので、是非相談をして下さい。

①期日の延長
②分割での支払い
③プランの変更

出来るだけ自分に合わせて支払えるように、支払期日の延長や分割を提案してみるのが良いと思います。当然、保険会社としては良い顔をしないかもしれませんが「支払う姿勢」を見せる事が出来ます。

苦しい状況だからこそ、保険会社に誠実に向き合うと良い方向に動くと思います。また、自動車保険の失効や強制解約について、この段階で明確にしておいても良いと思います。最終デッドラインを把握すれば、1つの指針となるので精神的負荷の緩和になります。

プランの変更は、現段階より安いプランがあるかもしれないので確認してみて下さい。上手くいけば、自動車保険料の減額が出来るかもしれません。

たった1つの解決方法!自動車保険料の滞納は完済するしかない

自動車保険料の滞納も、2カ月、3カ月分となると大きな負担です。しかし、車は大変危険な乗り物です。お話ししてきたように、事故と言う突発的な出来事で人生に多大な悪影響が振り掛かる事を考えたら、どうしても滞納は解消しておかなくてはいけません。

1.お金を集める

親、金融業者などを頼って、補填する事も1つの手です。もし滞納を放置して、その油断が最悪な結果を引き起こしてしまうかもしれません。

当然、お金を借りたりする事は、慎重にしなくてはいけません。しかし、その場を凌ぐ為にも、1度考慮してみるのも良いと思います。

2.他の保険会社に替えてみる

自動車保険料の滞納は、完済しか解決方法がありません。ただ補足として、現在利用している保険会社を変更してみるのも1つの手段かもしれません。例えば、通販型自動車保険など安いサービスは意外にある物です。

これは保険料を安くする為の方法なので、参考としておいて下さい。もし、保険会社を変更する場合は「中断証明書」を発行して貰って下さい。

今の等級が、他の保険会社でも引き続き維持できるので必ず発行して貰うの忘れないようにして下さい。

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