滞納・未払い・差し押さえ

自動車税滞納するとどうなる?差し押さえまでの流れを解説!

車を所有している人と切っても切り離せない関係にあるのが、自動車税です。毎年決まった時期に払う必要があるこの税金は、もし払わないと催促され、最終的には財産の差し押さえをされてしまいます。

今回は、自動車税の滞納と差し押さえの仕組みについて解説していきます。どのような手順を経て実行されるのかを知っておけば、差し押さえそのものを防ぐことが出来るでしょう。

自動車税はいつまでに納める必要があるのか

まず、大前提となるのが自動車税の納付期限です。これを守りさえすれば、差し押さえとは無縁でいられるので、可能な限りこの期限を守るのが基本です。

自動車税を納めるべき期間は法律によって決まっており、毎年5月1日から5月31日までとなっています。

この期間中に、所有している車両に定められた金額を自動車税として納める必要があります。何らかの事情によって、定められた金額を期間中に収めることが出来なかった場合は、「滞納」とみなされ、差し押さえに向かって段階を踏んでいくことになります。

差し押さえとは別に、延滞金という罰金のようなものも支払う義務も発生します。

一日でも遅れると即罰金?自動車税制度の注意点

自動車税を滞納すると、「すぐ差し押さえされるかも」という心配に目が行くことが多いのですが、実際問題として差し押さえが実行されるのはよほどのケースなので、それほどすぐに問題になることではありません。

むしろ、これから取り上げるこちらの方が面倒です。

期日である5月31日を過ぎると、その時点から延滞金というものが発生し、この金額は1日単位で増えていきます。

この滞納金について知っておくべき点は大きく分けて3つあります。

  • 自動車税延滞金が発生するのは「支払われなかった金額に対してのみ」である
  • 延滞金の利率は6月末までは年利2.7%で、それ以降は最高で9.0%になる
  • 滞納金額が1000円に満たない場合は、延滞金自体が発生しない

延滞金は、あくまで支払いがされていない金額に対しての罰則であるため、自動車税全額に掛かるのではなく、「納付されていない金額」に対してかかるものです。

延滞金は、貸金業者の金利と同じように、利子を付けて(余計に多く)支払わなくてはいけません。その追加分が年利として計算されます。金利は滞納期間が長くなるほど高くなり、ここで貸金業者とは異なる部分です。

身も蓋もない言い方をすれば、「さっさと滞納分を払えば少ない追加金利分で許してやるが、いつまでも返さないと罰金がどんどん多くなるぞ」という仕組みなのです。そして、滞納金額が非常に少ない場合は、延滞金義務は大目に見てもらえます。しかし、滞納しているという事実はあるため、後述する督促状などはきちんと送られてきます。

滞納してからの差し押さえまでの流れとは

さて、自動車税納付期日である5月31日を過ぎた場合、どのような手順を踏んで差し押さえに至るのかを知っておきましょう。

滞納後、最初に届くのは「督促状」というものです。時期は7月の上旬です。ここに記載されているのは、「自動車税が支払われていません。~月~日までに支払ってください」というものです。

督促状は基本的に1回目が7月の上旬、支払いが行われない場合、2回目が8~9月中に計2通届きます。

この督促状というものは、それほど強制力がある書類ではなく、文面も比較的穏やかです。わかりやすく言えば、滞納の理由が明らかではない相手のため、「期限過ぎてますが、どうしましたか?」といったニュアンスで届くものです。

次に届くのは、催告書です。最初に催告書が届くのは9月です。ここから先は、毎月これが送られてきます。催告書は、文面もかなり厳しくなります。法律上、差し押さえが可能になるのは、これが送られてきてからです。

これを無視すると、最終的に送られてくるのが「差押通知書」と呼ばれる書類です。差押通知書が送られてくる時期にはバラつきがあります。早い時は10月下旬、遅い場合は翌年の3月に来ることもあります。

差押通知書には、納付期限が記載されており、その指定日までに納付しない場合は、差し押さえに移行します。ちなみに法律では、催告状の発送後10日以上経過した場合、差し押さえが可能になるとされています。滅多にありませんが、悪質な滞納では最速で8月下旬に差し押さえになるケースも有ります。

差し押さえの可能性が低い期間はどのくらい?

上記のことから、差し押さえをされる可能性が低いのは、8月末までになります。言い方は悪いですが、この時期までであれば、たとえ自動車税を1円たりとも納付しなくても差し押さえをされる可能性は極めて低いです。

しかし、9月を過ぎ、催告書が送られてきて一定期間が経過した場合、いつ差し押さえ通知書が届いてもおかしくないと考えられます。

差押通知書が届いたが最後、期日までに全額納付しなければ、いかなる理由があっても差し押さえを回避する方法はありません。そうなりたくなければ、滞納が始まった時に少なくても8月末までに納付する計画を立てることを勧めます。

返済を急ぐべき理由はもう一つあります。それが先述した延滞金です。滞納期間が長くなればなるほど、この金額も大きくなり、さらに金利も高くなっていきます。滞納から1ヶ月の間だけは年利はわずか2.7%なので、この期間内に返済するのが理想です。

差し押さえを受けると具体的に何をされる?

滞納した場合、良くある流れとしては7月と8月に督促状、9月に催告書、それ以降に差し押さえ通知書が来るという流れを理解した上で、もし差押通知書に記載された期日を守れなかったらどうなるのかという内容について解説していきましょう。

差押通知書の期日を反故にすると、「差押調書」という書類が送られ、これには対象者の特定の財産を差し押さえるという旨が記載されています。

差押調書は法的強制力があり、これに逆らうことは出来ません。では具体的に何が差し押さえの対象になるかという点ですが、結論から言えば、自動車、給与、銀行預金、有価証券、動産及び不動産のいずれかになります。

差し押されられる財産の種類と限度について

差し押さえの対象の中で圧倒的に多いのが、自動車税の対象である自動車そのものです。タイヤロックと呼ばれる手法で、簡単に言えば、「税金を納めるまで自動車のタイヤを専用器具で固定し、対象者が車に乗れなくする」という方法です。さらに滞納を続けた場合、対象の自動車をレッカーなどで回収し、競売にかけその売却分を税金の支払いに充てるという方法を取ります。

次に多いのが、給与を差し押さえることです。生活に不可欠であるとされる既定の給与下限を超える給与を、税金の返済のために差し押さえるという方法です。

これにはある決まりがあります。「生活が出来なくなるほどの額を差し押さえてはならない」という規則があり、その基準を超えて給与差し押さえをすることは出来ないのです。

どんなに滞納額が大きくても、給与差し押さえには金額の上限が決まっており、一度で返済できない場合は、数ヶ月間に分けて給与を差し押さえるようになります。

この2つがほとんどですが、場合によっては別の財産を差し押さえることもあります。例えば、企業に属していない場合(日雇いアルバイトや自営業など)、自動車が手元にない場合などは、こうした差し押さえが効力を持ちません。

その場合は、対象者の銀行口座の預金を差し押さえ、預金が無い相手であれば、最終的に住居の差し押さえになります。

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財産の差し押さえは2パターンある!国と裁判所の強制執行を理解する

どうしても自動車税が支払えないときは分割納付!

自動車税が払えないと滞納になってしまうのですが、催告書を送られないようにする方法もあります。期日までにどうしても全額納付が出来ない場合、「分割納付」の交渉をすることを勧めます。

分割納付とは、支払うべき自動車税をあらかじめ分割して納付すると各県税事務所に伝えることで、悪意ある滞納だと相手に思われないようにします。金額にもよりますが、3回から4回程度に分割して納付することが可能です。その際には、必ずこちらから~円を~回に分けて完納すると誓約書を作るように依頼しましょう。延滞金は避けられませんが、約束を守ってる間は差し押さえされる危険性はほぼなくなります。

分割納付で気を付けるべきことは、これを提案する時期です。例えば、8月末で既に滞納してかなりの時間がたっているときに分割納付したいといっても、相手の信用は得られにくくなります。相手からすれば「今まで滞納し続けていたのに何をいまさら」という印象しか湧きません。

従って、分割納付をするのであれば、遅くても6月末、どうしても一括で納付できそうにないと分かる時期に交渉しなくてはいけません。かと言ってあまりに早い時期でも良くありません。例えば、支払い期限内の最初、5月初旬に分割納付を依頼しても、月末までに完済できるのではないかという返答をされる可能性が高くなります。

分割納付は、あくまでどうしても差し押さえされたくないときの最終手段だと考えておきましょう。

車を処分しても税金はなくならない?自動車税の時効

最後に、自動車税の時効について触れておきましょう。法律だけの解釈でいえば、滞納金の時効は「5年」と定められています。つまり、5月31日に滞納が始まり、5年後の5月31日まででこの支払い義務は免除されます。しかし、そうはいかないのがその滞納金の厳しい点です。

時効が成立するためには、債権者側や納税される側が「催促」を行わない期間で規定の日数が経過しなくてはいけないのです。

何が言いたいかというと、たとえ時効成立が5年だとしても、その期間中に「支払ってくれ」と催促した場合、その催促している間は時効になるための日数がリセットされています。例えば時効5年であってもその期間中で2年間催促し続けた場合、時効が成立するのは7年後ということになるのです。

そして、自動車税の場合、滞納発覚から常に催促が続くため、「実質的に時効は存在せず、どれだけ引き延ばしても支払い義務が残り、延滞金だけが増えていく」という納税者にとってメリットがなにも無い状態になります。

とはいっても、長くても翌年には差し押さえになるため、延滞金だけが膨れ上がることはありません。知っておくべきことは、自動車税を支払わなくてもよくなる方法は存在しないということだけです。

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